現代ジャズヴォーカリストの至高グレッチェン・パーラト、5年ぶりのソロアルバム

 ウェイン・ショーターやハービー・ハンコックなど大御所から、ロバート・グラスパー、エスペランサ・スポルディング、マーク・ジュリアナなど現代ジャズの重要人物までコラボレーションを重ね、数多くのアルバムに名を連ねるジャズヴォーカリスト、グレッチェン・パーラト。その20年という長きに亘る経験やリレーションを注ぎ込み、自己の新たなビジョンを映し出すことに挑んだのが本作だ。まず特筆すべきは彼女の歩みそのものとも言える豪華なゲスト陣。ロバート・グラスパー、アンバー・ナヴラン、ミシェル・ンデゲオチェロ、マーク・ジュリアナ、アラン・ハンプトンなど世代を超えたアーティスト達が彼女のヴォイスを支える。

GRETCHEN PARLATO 『The Wise Ones』 Edition/コアポート(2026)

 アルバムを通して聴けば彼女の音楽的変遷が理解できる。幼少期に影響を受けたという緩やかで心地よいブラジリアンテイストのサウンドで幕を開け、そこから一転マーク・ジュリアナとミシェル・ンデゲオチェロとの重心の低いビートミュージックが展開する。この場面転換だけで本作の懐の深さが充分感じられる。ロバート・グラスパー参加曲では一世を風靡した2000年代後半から10年以降の世界観も垣間見える。そしてアルバムタイトル曲である“The Wise Ones”は、ゲストヴォーカルのアンバー・ナヴランのシルキーなファルセットとパラートの絡み合う歌声が聴きどころ。しっかりとビートに乗せつつも緩やかでそして時折現れるシンセのオブリガードやそのアレンジが現在のジャズであることを認識させる。〈過去の自分を尊重しながら、未来の自分を受け入れるにはどうすればよいのか?〉というアルバムコンセプトが表現された1曲だ。

 最後にこのアルバムの秀逸なポイントとして上げておきたいのがその録音の素晴らしさ。とにかく音はクリアで分離よく、それでいてドライにならず瑞々しい。歌の情感もたっぷり伝わるサウンドクオリティは現代最高水準の音質ではないだろうか。

 満を持してリリースしたアルバムに相応しい楽曲群とその仕上がり。個人的には今年の名盤TOP 10にランクインは確実だ。

 


LIVE INFORMATION
Gretchen Parlato “The Wise Ones”

2027年1月31日(日)-2月2日(火)東京・南青山 ブルーノート東京
出演:グレッチェン・パーラト(ヴォーカル)、テイラー・アイグスティ(ピアノ/キーボード)、アラン・ハンプトン(ベース/ギター)、マーク・ジュリアナ(ドラムス)
https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/gretchen-parlato/