シティポップボカロ(ボーカロイド)、R&B、レゲエ……。よく耳にするあの音楽ジャンル名って、実際はどんな音楽を指しているの? そんな疑問に答え、音楽を一歩踏み込んで知ってもらうため、タワーレコードの音楽ガイドメディアMikikiが新連載〈音楽ジャンル再入門〉をスタートさせます。第3回は、初心者でもわかるK-POP入門。K-POPの魅力や世界的な人気を誇る理由、代表的なグループやソロアーティスト、名曲や専門用語などをしっかりと紹介。これを読めば、音楽を聴くことがもっと楽しくなるはず!

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K-POPとは?

K-POPとは、韓国発のポピュラー音楽で、ダンス、ビジュアル、独自の空間演出などを高次元で融合させた総合エンターテインメントのこと。欧米のポップスやヒップホップ、EDMといったトレンドのサウンドを巧みに取り入れ、緻密に計算されたパフォーマンスやコンセプト性の高い世界観を打ち出し、アジアのみならず北米、中南米、ヨーロッパなどでグローバルな人気を博している。

 

K-POPの3つの魅力と特徴

なぜK-POPは国境や文化を超え、これほど多くの人々を熱狂させつづけるのか? デビュー前に実力を磨き上げる練習生制度をはじめ、一糸乱れぬパフォーマンスや中毒性の高い楽曲、緻密な世界観など、K-POPならではの特徴と魅力を紹介しよう。

K-POPの魅力・特徴1:世界基準の実力を生む〈練習生システム〉

オーディションを勝ち抜いた候補生が、数年にわたり歌やダンス、語学、マナーまで徹底的に叩き込まれる独自の育成制度が存在する。厳しい競争のなかで磨かれたメンバーだけがデビューを果たすため、新人であってもプロとして完成された高い表現力を備えている。

また、過酷な下積み時代を共に乗り越えることで生まれるメンバー同士の強い絆やストーリー性も大きな魅力だ。挫折や努力を重ねて夢を叶える成長プロセスを共有することで、ファンが長年応援しつづけたくなる強力な感情移入を生み出している。

K-POPの魅力・特徴2:ミリ単位で揃えららえた高精度なシンクロパフォーマンス

K-POPの代名詞とも言えるのが、手足の角度やジャンプのタイミングまで一糸乱れぬ〈刀群舞(カルグンム)〉だ。メンバー同士で単に動きを合わせるだけでなく、曲の激しいビートや繊細なメロディの緩急に完璧に同調させるダンス表現が大きな特徴となっている。曲の展開とともに複雑なフォーメーションが目まぐるしく変化し、時にダイナミックに、時にしなやかに視覚的な物語を描き出していく。音と動きが完璧に合致した瞬間の爽快感とエネルギーは言葉の壁を超え、見る者を一瞬で引き込むステージを作り上げる。

K-POPの魅力・特徴3:作品ごとにガラリと変わる緻密な世界観

新曲を発表するたびに、楽曲、衣装、メイク、ミュージックビデオに至るまでが、ひとつの統一されたテーマのもとで徹底的に構築される。単に新しい歌を届けるだけでなく、作品ごとにダーク、SF、レトロなど、まったく異なるコンセプトへ変身するため、メンバーの新たな魅力やギャップを楽しめるのも大きな醍醐味だ。

また、伏線が綿密に散りばめられたMVの深読みや考察を楽しむファン文化も根付いている。リリースを予告するビジュアルや映像はファンの想像力を刺激し、MVではグループ独自のストーリーや架空の世界観を軸に展開されることで、音楽の枠を超えた映画やゲームのような立体的なエンタメ体験を提供している。

K-POPの魅力・特徴4:最新のグローバルな音楽性と中毒性の高い楽曲構成

世界各国のトッププロデューサーや作曲家陣を起用し、ヒップホップ、R&B、EDMのようなダンスミュージックなどの最新トレンドを自在に融合させた音楽性が、K-POPの特徴だ。それだけでなく、一度聴いたら耳から離れないフレーズの繰り返しや印象的なサビを効果的に取り入れることで、強力な中毒性を生み出している。

さらに、TikTokやInstagramなどのSNSで誰もが真似して踊れるポイントダンス(象徴的な振付)を巧みに盛り込んでいることも大きい。参加型であることによって世界中のユーザーによる二次創作動画の投稿を促し、瞬く間の拡散と大ヒットを引き起こしている。

 

K-POPが世界的な人気を誇る2つの理由

次に、圧倒的なパフォーマンスと時代の象徴としてのアイコン性、そしてファンを巻き込むグローバル戦略という視点から、K-POPが世界的なブームを巻き起こしている理由を解説する。

理由1:言葉の壁を越えるパフォーマンスとアイコン性やメッセージ性

前述した練習生制度やシンクロパフォーマンス、中毒性の高い楽曲は、〈言語の壁を無効化する力〉を持つ。圧倒的なダンスやメロディ、洗練されたビジュアルの魅力は海外の視聴者にもダイレクトに刺さるのだ。

さらにK-POPは、音楽だけでなくファッションや生き方を含めた〈憧れの象徴〉としてアーティストをブランディングする手法に長けている。BTSが国連総会でのスピーチや全米チャートの制覇で世界中の若者の代弁者となったように、各国の高級ブランドや巨大フェスの顔として存在感を発揮しながら、現代カルチャーの最先端としての価値を確立。圧倒的なステージ表現力に加え、国籍や文化の違いを超えるスタイルとメッセージ性が融合することで、世界中の人々が惹きつけられる最強のエンタメ体験を生み出している。

理由2:ファンダムを巻き込むグローバル戦略

K-POPは、デジタル空間での情報拡散力やプロモーションの展開スピードにおいて大きな強みを持つ。楽曲や映像などの権利関係(IP)や展開方針を事務所側が集約・調整しやすい構造が、世界規模のキャンペーンや新曲配信をタイムラグを抑えてスムーズに展開する機動力に繋がっている。公式がYouTubeやTikTokを通じて密着映像やショート動画を世界同時配信するほか、ファンによるSNS上の二次創作や動画の切り抜き、ダンスカバーを積極的に活用する傾向がある点も大きな特徴だ。

これにより、世界中のファンが単なる視聴者にとどまらず、自ら情報を拡散するプロモーターとしての役割も果たす。SNS上で熱狂的なファンコミュニティ(ファンダム)を形成し、一致団結して魅力を世界中へ拡大していく独自のムーブメント構造が確立されている。

 

K-POPの第1~第5、各世代の特徴

ここではK-POPシーンの特徴を、1990年代後半からはじまる第1世代から現在の第5世代まで世代毎に解説していく。各世代の特色や音楽的なトレンド、シーンの広がりなどを知り、K-POPシーンの成長と進化を辿ってみてほしい。

第1世代(1990年代後半〜)

現在のK-POPシーンの基盤となった黎明期で、〈K-POPアイドル〉という概念が定着した時代でもある。H.O.T.、S.E.S.、g.o.dなどを代表格として、現在まで続く事務所主導による育成システムや、グループ内でのポジション分担(メインボーカル、ラッパーなど)の雛形が、この時期に完成した。ヒップホップやユーロビートなど、当時の欧米の音楽シーンのトレンドを大胆に取り入れたサウンドは若者たちの心を掴んだ。

また、グッズなどを所持して特定のグループを熱量高く応援していく〈ファンダム文化〉の下地も、この世代で形成されていった。2000年代初頭にはBoAがデビューして日本でも人気が爆発し、次世代へ続くグローバル展開への道を切り拓いていった。

第2世代(2000年代後半〜)

韓国ドラマ「冬のソナタ」がヒットし、〈韓流ブーム〉がアジア全域へと広がっていった2000年代前半。そのムーブメントが日本へ本格的に押し寄せ、お茶の間にまで浸透した時代に登場したのが、東方神起、BIGBANG、少女時代、KARAといったグループだ。誰もが口ずさめるキャッチーなメロディ、真似しやすい印象的なダンスを特徴に、日本の音楽シーンでも活躍した。

アジアだけでなく、北米やヨーロッパを含めた大規模なワールドツアーを開催するアーティストも登場し、現在のK-POPビジネスの主要な戦略が確立されていった時代でもある。

第3世代(2010年代半ば~)

SNSの普及により、アジアを越えて欧米など全世界へ市場を拡大した〈黄金期〉とも言える世代で、それを象徴するようにBTS、BLACKPINK、TWICE、EXOなどが世界の音楽チャートを席巻した。

Twitter(現X)やYouTubeを通じてファンと直接コミュニケーションを図り、巨大なファンダムを形成していったのもこの時期で、音楽面でもトラップやEDMといったトレンドのサウンドをリアルタイムで取り入れ、グループ独自の世界観(ストーリー性)を強く打ち出す手法が定着。ファンが歌詞やMVを考察し、それをSNS上で共有していくような新たなエンタメの楽しみ方も誕生した。

第4世代(2018年~)

Stray Kids、ITZY、IVE、aespa、NewJeans、LE SSERAFIMなどを筆頭に、圧倒的な実力と独自のコンセプトを持ったグループが多数登場した。

新型コロナウイルスの影響によって対面イベントが制限されるなか、メタバースやオンラインライブを駆使して新たなファンダムを築き、音楽面ではTikTokなどのショート動画で映える楽曲や、〈イージーリスニング〉と呼ばれる聴き心地のよいトラックが新たな道を切り拓いていった。

第5世代(2023年~現在)

過酷なサバイバル/オーディション番組から誕生したグループがひしめき合い、ZEROBASEONE、RIIZE、BOYNEXTDOOR、TWS、ILLITなどがシーンを牽引している。第3世代の複雑な世界観や前衛的なサウンドから一転、わかりやすいコンセプトやイージーリスニング、清涼感のある等身大のポップスなどがこの世代の特徴だ。

デビュー前からオーディション番組を通じてファンの熱量を高めていったり、SNS経由でグループではなくメンバー個人がブレイクするなど、K-POPシーンの多様化が加速している。

 

〈女性/男性〉〈グループ/ソロ〉別で見るK-POPの代表的アーティスト

K-POPの歴史の中で特に大きなムーブメントを巻き起こしたアーティストを紹介していく。各世代を牽引し、音楽チャートを席巻するだけでなく、ヘアスタイルやファッションなどカルチャー面でも影響を与えたアーティストたちを、男女それぞれソロ/グループ毎にまとめた。

女性グループ

・S.E.S.
・KARA
・少女時代
・2NE1
・BLACKPINK
・TWICE
・NewJeans

いずれのグループも同性(女性)に憧れられる存在であり、KARA、少女時代、TWICEのようにキャッチーなダンスや楽曲で共感を得るグループがいる一方、2NE1やBLACKPINKはクールで自立した女性像を打ち出して同性の憧れの的となった。NewJeansはY2Kやレトロポップを取り入れた音楽性やビジュアルで人気を博し、女性グループに新たな可能性をもたらした。どのグループもメンバー個人がトレンドセッターとして活躍することで、グループそのものの価値を高めてもいる。

女性ソロ

・IU
・TAEYEON(少女時代)
・CHUNG HA(元I.O.I)
・LISA(BLACKPINK)
・JENNIE(BLACKPINK)
・HWASA(MAMAMOO)

ソロで活躍するK-POPアーティストは少ないものの、グループ活動やオーディションで培った確かな実力と、強烈な個人のアイデンティティを両立しているのが特徴。IUやTAEYEONのように、圧倒的な歌唱力と表現力で全世代から愛される存在もいれば、CHUNG HAやHWASAのように独自のスタイルを築き、そのカリスマ性で唯一無二の表現を追求していく人もいる。LISAやJENNIEは、BLACKPINKとしての成功を背景に、世界的なファッションアイコンやポップスターとしての影響力も誇っている。

男性グループ

・H.O.T.
・BIGBANG
・東方神起
・BTS
・EXO
・Stray Kids

H.O.T.、東方神起、EXOは計算された刀群舞と強烈なコンセプトで熱狂的なファンダムを生み、BIGBANGやBTSはメンバー自身が楽曲制作に参加することで、社会的なメッセージや等身大の姿を音楽に投影して多くの共感を集めている。Stray Kidsもメンバーの高いクリエイティビティを活かし、独自の表現を確立していったグループだ。女性グループ同様、ソロでマルチに活躍するメンバーも多く、そうした活動がグループをより豊かなものにしている。

男性ソロ

・RAIN
・PSY
・G-DRAGON(BIGBANG)
・JUNG KOOK(BTS)
・ZICO

ソロならではの自由度の高いパフォーマンスや、トレンドを創り出す高いプロデュース能力を発揮することができるのが特徴。RAINは、たくましくもしなやかなダンスと肉体美で男性ソロアーティストとして絶対的な地位を確立。また、PSYのように世界的なダンスブームを巻き起こし、世代を超えて大衆を熱狂させる異色のスターも登場した。G-DRAGONやZICOは、作詞作曲からプロデュースまで自身で手がけたり、ファッションアイコンとしての一面も持つ。JUNG KOOKは“Seven (feat. Latto)”がグローバルヒットし、ソロアーティストとしても大きな成功を収めた。

男女混成グループ

・KARD
・AKMU

K-POPシーンにおいて代表的な男女混成グループといえばKARDだが、残念ながら2026年7月にワールドツアーを行ったのちに活動を終了することを発表した。男性メンバーの深みのあるボーカルと女性メンバーの艶やかな歌声によるハーモニーは、同性のみで構成されたグループにはない強みだ。また、グループではないが兄妹デュオとして“Love Lee”がスマッシュヒットしたAKMUも、K-POPシーンにおいては特異な存在である。

 

K-POPの名曲・人気曲・代表曲16選

それでは、具体的な楽曲でK-POPを体験しよう。初期のシーンを象徴する曲から最新ヒットナンバーまで、全時代の名曲・人気曲・代表曲を16曲選んで紹介する。K-POPはビジュアルや映像が音楽と一体になっていることが重要なので、ぜひMVを見て聴いてほしい。

서태지와 아이들(ソテジワアイドゥル)“난 알아요(僕は知っている)”(1992年)

現代K-POPの原点とされる男性3人組の伝説的なデビュー曲にしてヒットソング。ヒップホップやニュージャックスウィングといったブラックミュージックと、ハードロック/メタルを融合した大胆な音楽性、そして歌とラップを織り交ぜたボーカル表現は、従来の歌謡曲などを中心にした韓国音楽を更新するものだった。韓国で初めて商業的に成功したヒップホップ曲とも言われ、熱いエネルギーに満ちた歌と音やダンスが一体になった表現はまさにK-POPの源流だ。

H.O.T. “Candy”(1996年)

SMエンタテインメント初のアイドルグループであり、高い人気でK-POP黎明期にその名を刻む男性5人組の2ndシングル。ヒップホップのビートにのせ、キャッチーな電子音とメロディを前面に出したポップソングに仕上がっている。男性的な力強さよりもかわいらしさを打ち出していることは、カラフルな着ぐるみ風の衣装が印象的なミュージックビデオを見れば一目瞭然。ダンスやグッズが人気を博し、韓国の若者たちをムーブメントに巻き込んだ点も重要だ。

東方神起 “MIROTIC”(2008年)

ここ日本でも人気を博した男性5人組(現在は2人組)の代表曲。デンマークやドイツの作曲家が制作しており、EDMのようなダンスミュージックとR&Bを掛け合わせたサウンド、セクシーかつエロティックなボーカル&ダンスが特徴的だ。まさに呪文のような中毒性(日本語版の曲名は“呪文-MIROTIC-”)と洗練された音楽性で、圧倒的な歌唱力とダンススキルによって見る者を魅了する。なお、本国では歌詞が扇情的とされ、政府から有害指定を受けたことも当時を象徴するエピソード。

KARA “ミスター”(2009年)

日本におけるK-POPブームの火付け役になった、女性5人組によるヒット曲。韓国語版の原曲から歌詞を変えて日本デビューシングルに仕立て上げられたものだが、一度聴いたら忘れられない〈la la la la la la〉という繰り返すフレーズとメロディ、お尻を振る振付がインパクト抜群の〈ヒップダンス〉で圧倒的な支持を集めた。へそ出しルックのファッションも強い印象を残し、KARAは日本でも一躍人気アーティストになった。

少女時代 “Gee”(2009年)

デビュー後間もなく発表した曲でありながら、韓国ですぐにヒットした女性9人組(当時)の代表曲。速いテンポのビートが軽快で、〈Gee Gee Gee Gee Gee〉と繰り返すキャッチーな歌のフレーズとかわいらしいダンスが老若男女の心を掴んだ。また、カラフルなスキニーパンツやショートパンツで〈美脚〉を打ち出したファッション、さらにメンバーをマネキンに見立てたMVは、新たなトレンドを生んだ。彼女たちをトップスターに押し上げた重要曲である。

BIGBANG “FANTASTIC BABY”(2012年)

その後のK-POPに大きな影響を与えた、G-DRAGON率いる男性5人組(当時)のヒット曲。EDMを軸にした派手なパーティーソングで、だんだん盛り上げていきながらブレイク(無音の部分)で〈WOW FANTASTIC BABY〉というフレーズを挟み、一気に解放感に満たされるサビに向かう構成が見事。メンバー個々の強い個性も発揮されており、K-POPが欧米などでグローバルに評価されるきっかけになった曲でもある。

PSY “GANGNAM STYLE”(2012年)

“江南(カンナム)スタイル”の邦題でもお馴染みの、言わずと知れた世界的な特大ヒットソング。デビューから11年経っていた男性シンガーの曲だが、YouTubeを通じて世界中で聴かれ、K-POPをグローバルな現象に押し上げた重要なナンバーだ。音楽的にはEDM調のポップスで、中毒性抜群の歌と電子音のフレーズ、何よりユーモラスな〈乗馬ダンス〉の振付が、国境や言葉の壁を超えて広がった。誰もが真似してみたくなる、参加型のバイラルヒットの先行例だろう。

TWICE “TT”(2016年)

日韓で人気を博す9人組ガールズグループのヒット曲。曲名と歌詞は、涙や泣き顔、悲しみを表現する顔文字〈TT〉に由来している。ダンスに取り入れられたキュートな〈TTポーズ〉は誰もがやってみたくなるもので、これもブームを巻き起こし、参加型のバイラルヒットの典型例になった。ハウスのようなダンスミュージックをポップに仕立て上げたサウンド、〈I’m like TT, just like TT〉というサビのフレーズのキャッチーさも抜群。

BLACKPINK “DDU-DU DDU-DU”(2018年)

いまやK-POPを世界に発信する代表的なアーティストになった女性4人組のヒット曲。トラップ(ヒップホップのサブジャンル)のビートとEDMの楽曲構成を用いたクールでかっこいい攻撃的なサウンドとリズミカルな歌は、〈ガールクラッシュ〉と呼ばれる彼女たちのイメージを体現している。銃を撃つようなセンセーショナルなダンスも話題になった。圧倒的なオーラを放つメンバーそれぞれの個性的な佇まいを含め、ガールズグループの新たな標準を作った記念碑的なナンバーだろう。

iKON “LOVE SCENARIO”(2018年)

別れの哀愁を親しみやすいポップさとミディアムテンポにのせて表現した、男性7人組(当時)による名曲。パワフルなダンス曲が主流のK-POPシーンだが、この曲は、誰もが口ずさめる優しいメロディと歌詞が子どもから大人まで幅広く愛され、ロングヒットを記録した。弾むビートを通じて温かみが心に響くこのサウンドも、K-POPのひとつの側面を表している。

Red Velvet “Bad Boy”(2018年)

女性5人からなるグループの代表曲のひとつ。シックなイメージを打ち出したR&Bサウンドが光っており、洗練されたボーカルによるハーモニーは美しくて滑らか、タメの効いたリズムは実にグルーヴィー。彼女たちの大人な魅力がたっぷりと表現されていおり、どこかミステリアスな映像の世界観はグループのコンセプトを存分に体現している。

BTS “Dynamite”(2020年)

K-POPを象徴する男性7人組による、説明不要の大ヒット曲。BTSのキャリア自体は長いが、この曲は全米チャートのBillboard Hot 100で初登場1位を獲得(しかも2週連続)、各曲でヒットして世界中にその名を知らしめた。また、2020年8月というリリース時期も重要。陽気でレトロなディスコ系の音楽性と軽快なポップさ、そしてポジティブな歌詞のメッセージは、コロナ禍によって暗く落ち込んでいた人々に笑顔と活力を与えたのだ。K-POPのみならず現代のポップミュージック史に刻まれた、燦然と輝く名曲である。

NewJeans “Ditto”(2022年)

女性5人(当時)からなるグループがデビュー1年目に放った話題曲。ボルチモアクラブ(ダンスミュージックのサブジャンル)のビートを用いつつ、軽やかなイージーリスニング系の洗練されたサウンドに仕上がっているのが特徴。また、聴き手の胸を打つエモーショナルなメロディと、声を張り上げない繊細なボーカル表現が、過剰な装飾を削ぎ落とした音楽性に見事にマッチしている。その後のK-POPのトレンドや流れを変えた革新的な曲だろう。

IVE “LOVE DIVE”(2022年)

元IZ*ONEのメンバーを含む女性6人組の2ndシングル。〈Woo〉という印象的なハミングをフィーチャーした魅惑的なダンスブレイクと、自信に満ち溢れた力強さが、聴く者を惹きつける。〈自愛〉をテーマにしており、自己肯定感を高める歌詞もあいまって、IVEの魅力を雄弁に語った曲だ。少女的なかわいらしさがありつつ、少々ダークでアダルトかつ華やかな魅力を絶妙なバランスで表現している点も特徴。

FIFTY FIFTY “Cupid”(2023年)

女性4人組(当時)がデビュー2年目にリリースし、世界的にヒットしたディスコ調のポップソング。英語版(“Twin Ver.”)の〈Sped Up〉と呼ばれるテンポを上げた音源がTikTokのBGMとして多用され、人気を博した。多様な世代に響いた理由は、洗練されていながらもレトロでノスタルジックな懐かしさがあるサウンド。また、シルキーで爽やか、透明感のあるボーカルを中心にした聴き心地のよさは、イージーリスニングの潮流を加速させた。中小規模の事務所(ATTRAKT)からグローバルなヒットが生まれたことも重要な事実だ。

ROSÉ & Bruno Mars “APT.”(2024年)

BLACKPINKの一員とアメリカのトップスターによるコラボレーションにして世界的な特大ヒット曲。韓国の飲み会ゲームからインスパイアされたナンバーだそうで、〈アーパツアパツ〉と歌うフレーズと印象的なリズムには、一度聴いたら忘れられない中毒性がある。強烈な魅力とポップさによってグローバルなブームになっただけでなく、2人の圧倒的な歌唱力と遊び心が炸裂した音楽性、国や言語を問わないキャッチーでコミカルなムードは、音楽の楽しさをシンプルかつ力強く伝えるものだったことも重要。

 

K-POPの大手・有名事務所は?

K-POPにおいては、アーティストが所属する芸能事務所も重要だ。単にタレントをマネージメントする日本の芸能プロダクションや欧米のエージェンシーとは異なり、アイドルの発掘から育成、トータルなプロデュース、ファンコミュニティの運営、世界展開までを一括して行う総合プロデュース企業としての役割を担っていることが特徴。それぞれに特色や歴史があるが、ここでは〈4大事務所〉と呼ばれる大手企業を取り上げる

HYBE

2005年に作曲家のパン・シヒョクがJYPエンターテインメントから独立して立ち上げた、Big Hit Entertainmentを前進とする会社。代表的な所属アーティストはBTS、SEVENTEEN、TOMORROW X TOGETHER、ENHYPEN、LE SSERAFIM、NewJeans、BOYNEXTDOOR、ILLITなど。BELIFT LABのような子会社も多数抱えている。

SMエンタテインメント

K-POPアイドル市場を初めて開拓した代表的な事務所。フォークシンガーとしてデビュー、プロデューサーや司会者として人気を博したイ・スマンが1989年に設立したSM企画が改名した企業だ。BoA(2025年に契約終了)を日本でブレイクさせたほか、代表的なアーティストとして東方神起、SUPER JUNIOR、少女時代、SHINee、EXO、NCT、aespa、RIIZEなどがいる。

JYPエンターテインメント

1996年にシンガーソングライターのパク・ジニョンが設立したテホン企画が、改名して現在の社名になった。コーポレートスローガンは〈LEADER IN ENTERTAINMENT〉、〈真実、誠実、謙虚〉をモットーにしており、〈ガールズグループの名家〉と評される事務所だ。代表的なアーティストはTWICE、Stray Kids、ITZY、NiziU、NMIXXなど。

YGエンターテインメント

ソテジワアイドゥルの元メンバー、ヤン・ヒョンソクが1996年に立ち上げたヒョン企画から改称した企業。アメリカンな音楽性と実力主義が特徴で、パフォーマンス力の重視や世界進出への注力で知られている。代表的な所属アーティストにBIGBANG、BLACKPINK、WINNER、TREASURE、BABYMONSTERなどがいる。

 

推し活に役立つK-POP独特の用語を解説

独自の文化を持つK-POP。主にファンの間で使用される独特の専門用語も数多くある。そこで、推し活に役立つ代表的な言葉をいくつかピックアップして解説しよう。

カムバック(カムバ)

新作をリリースして、本格的なテレビ番組出演などのプロモーション活動を再開すること。

チッケム

パフォーマンス中に、特定のメンバー1人だけをカメラで追いつづけて撮影した映像のこと。

エンディング妖精

曲のパフォーマンスが終わり、最後の数秒間に1人で画面にアップで映し出されるメンバーのこと。

ペン

ファンを意味する韓国語。

カルグンム(刀群舞)

刃物のように鋭く、手足の角度やジャンプのタイミングまで全員が一糸乱れぬ完璧なシンクロダンスのこと。

マンネ

グループのなかの最年少メンバーのこと。

ヨジャ/ナムジャ

ヨジャは女性、ナムジャは男性を意味する韓国語。〈ヨジャグループ(女性グループ)〉〈ヨジャドル(女性アイドル)〉〈ナムジャグループ(男性グループ)〉〈ナムジャドル(男性アイドル)〉といった形で使用されることが多い。

キリングパート

K-POPソングにおいて特に印象的な部分、聴き手や観客の心を掴むパートのこと。歌や表情、ダンスなどでキメを見せるところで、フォーメーションで表現することもあるが、特定のメンバーがフィーチャーされることも多い。

ガールクラッシュ

男性目線の〈かわいい〉〈ピュア〉〈セクシー〉ではなく、同性である女性から見て憧れの対象になる〈パワフル〉〈かっこいい〉といった属性を持っていること。

 

K-POPをもっと聴きたい 、知りたい、楽しみたいなら〈Mikiki〉

K-POPをもっと聴きたい 、知りたい、楽しみたいなら、ぜひMikikiの過去記事をチェックしてほしい。当記事内に埋め込んだ関連記事だけでなく、記事ジャンルの〈K-POP〉を選択してもらえれば該当するすべての記事にアクセスできる。

また、アーティスト別のタグもあるので、そちらでアーティストごとの記事を読むことも可能だ。この記事で紹介した代表的なアーティストのタグは次のとおり。〈BTS〉〈BLACKPINK〉〈東方神起〉〈BIGBANG〉〈TWICE〉〈SEVENTEEN〉〈NewJeans〉。

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Mikikiは、今後もK-POPに関係するインタビューやコラムなどを積極的に制作していく予定なので、X(旧Twitter)InstagramFacebookなどSNSの公式アカウントをフォローして最新情報をチェックしてもらいたい。

 

まとめ

K-POPは、欧米のブラックミュージックやダンスミュージック、日本のJ-POPなどから影響を受け、1990年代の韓国で誕生した。そして、音楽だけでなく、ダンスパフォーマンスやビジュアル、映像なども一体になった総合的なエンターテインメントとして発展・進化していき、世界を舞台に展開される巨大なカルチャーに成長した。30年強の歴史を持ちながらも成熟するどころか、新たな才能を持ったアイドル、見たことがないコンセプトのグループが次々と登場している現在も、K-POPは熱いシーンでありつづけている。そんな熱狂的な文化に触れるきっかけにこの記事がなれたら幸いだ。