コラム

「ASTERISK 女神の光」、ストリート系とストーリーテリングを融合させたグルーヴ感溢れるダンサー集団の舞台

「ストリート」から跳躍する
dance & performance『ASTERISK 女神の光』

 

Koharu Sugawara (C)Tadamasa Iguchi @ In Focus

 

 前世紀から21世紀に至るサブカルチャーの流れで、もっともグローバル化しているものはなんだろうか。日本を中心に考えれば、「かわいい」「マンガ」「アニメ」、それに美術の村上隆の「スーパーフラット」などを加えてもいい。より地球規模で、サブカルのメインストリームへの影響力を眺めたとき、ひとつのキーワードを求めれば、それは間違いなく「ストリート」である。

 ストリートファッションと言えば、ロンドンの音楽プロデューサーのマルコム・マクラーレンセックス・ピストルズの生みの親)とファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドが火付け役となったパンクがある。一方、ストリートダンスは、ニューヨークである。これは60年代末から70年代初め、ニューヨーク・ブロンクス地区のアフリカ系アメリカ人の貧困層の若者たちからヒップホップとして生まれた。DJ(スクラッチ、ターンテーブルも使う)、MC(ラップに発展する)、グラフィッティ(壁への落書き)、B-Boy(ブレイクダンスなど)は、その軸となる要素である。

 ブロンクスの裏町で生まれたヒップホップを、そのわずか2、30年後には日本の大学のキャンパスやビルのガラスの前で若者たちが夢中になって踊っているなんて、誰も想像しなかっただろう。ストリート系のダンスは、それどころか、いまや文字通り地球全域に広まっている。どうしてこれほど急速に伝統や身体文化の枠を超えて、世界中の若者たちの心を捉えるのか。一言で言えば、動きが非常にフィジカルでテクニカルであっても、その根底では心身ともに「自由」を躍らせているからだろう。

 

原田薫(C)Tadamasa Iguchi @ In Focus

 

 日本にも、国際的なレベルの優れたダンサーたち、あるいは集団が存在している。ASTERISKは、所属やグループに関係なく、圧倒的な力をもったストリート系の個人とカンパニーが一堂に会する。これは画期的な集団だ。多彩な実力派の面々を見るだけでも楽しいのだが、ASTERISKのもう一つの大きな特徴は、全員が一丸となり一つの「物語」に挑戦するということである。つまり、「ストリート系」と「ストーリーテリング」の融合―これは単なる語呂あわせではない。この難事業に挑む若者たちは、見ているだけで爽快だ。ビート、スピード、グルーヴ感が会場にあふれる。

 

仲宗根梨乃(C)Tadamasa Iguchi @ In Focus

 

 誰が、どのグループが、「ストーリー」のどの部分でどんな踊りを見せるのか? これはASTERISKの最高の楽しみである。これまでの舞台を見ると全体が緻密で、しかもスケールのある舞台だった。「ストリートの進化形」とでも呼びたくなる。こういう隙のないつくりは日本以外ではなかなか見られないのではないだろうか。3回目となる今回は、予測できない奇妙奇天烈が飛び出すダンスで人気の東京ゲゲゲイMIKEYが総合演出をする。ニューヨークのブロンクスで生まれたストリート系は、MIKEYにより大変身して、着地点の見えない、とんでもないところに跳躍するはずである。

 

〈dance & performance『ASTERISK 女神の光』〉

5月8日(金)~5月10日(日)

会場:東京国際フォーラム ホールC
総合演出振付/脚本:MIKEY(東京ゲゲゲイ)
出演:Koharu Sugawara原田薫仲宗根梨乃(特別出演) and more…

http://asterisk-web.net/

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