アルバムの冒頭を飾るに相応しい、圧倒的な昂揚感と華やかさを纏った“Shots”。小気味良いシンセ・リフと伸びやかなファルセットが耳に残るこの曲は、ジェイムズ・マーフィーに指揮を委ね、80sディスコとアリーナ・ロックの融合を図った本作と非常に類似点が多いです。
不規則でノイジー、ダークでエキセントリック――時代の流れを変えたカニエのビートメイクを、“Gold”で自分たちなりに実践してみせたイマジン・ドラゴンズ。物凄く複雑に構築されているのに、イイ意味で芸術性の高さを感じさせない仕上がりなのが凄い! 技アリ!!
コールドプレイの“Clocks”と“Paradise”を混ぜたようなメロディー展開を持つ“Smoke And Mirrors”。その美旋律を最大限に引き立てるべく取られたアプローチが、HTDW流儀の脱ローファイ化した寝室R&Bです。クリアなボトムに誘われて、気付けば横揺れ。
コテコテのエレクトリック・ブルース“I'm So Sorry”は、『Smoke + Mirrors』内でも異色の一曲。強烈に歪んだノイズ・ギター然り、珍しく雄叫びを上げるダンのヴォーカル然り、これって完全にジャックを模倣していますよね!? 曲名とは裏腹に反省する気ゼロの確信犯!
前作でもマムフォード・ジャムな曲を披露していましたが、引き続き“I Bet My Life”や“Trouble”といったアンセミックなフォーク・ロックを発見! 一方、本家はこの新作でエレクトリックに移行し、何となくイマジン・ドラゴンズに歩み寄ってきた雰囲気も。
ドラマティックな音飾や込み上げ系の歌メロを得意とするイマジン・ドラゴンズは、かねてより2000年代前半のUK叙情派ロックと比較されてきました。で、ここへきてスノパトの出世曲“Run”ライクな“Dream”を発表。この潔さ、奇を衒ってない感じも彼らの魅力だったりします。
ダン本人がディスターブドを意識したと語る“Friction”。確かにニュー・メタル成分も多めですが、バングラを演っているわけではないものの、南アジア的なメロディーとアッパーなムードから、私は本作収録の“Get Ur Freak On”を思い出しました。
“Summer”ではハイライフやソウェトに通じるユニークなリズムを用いていますが、ダイレクトにアフリカ音楽とコネクトした様子でもなく。そのアーバン・ポップを介した咀嚼の仕方は、昨年大ブレイクした彼らの“Last Time”を手本にしたと考えられます。