この夏、恋する気持ちが踊りだす♪
最強に“明るい”ミュージカル・エンタテインメント

 

 

 

太陽燦燦、避暑地の恋のハッピーミュージカル映画!
~MTV世代が胸騒ぎの腰つきになるメガヒット満載~

 夏の扉はいつだって突然開かれる。国道を曲がると唐突に現われる遠い水平線、砂丘を駆けあがると瞳に拡がる波穂の煌き…その刹那、身も心も即座に衣替えを終えて、いきなり爪の先まで夏に包まれてしまう。心の花火も点る季節の到来だ。

 今夏公開の『踊るアイラブユー♪』(原題:Walking on Sunshine)はそんな導火線的な空港シーンから始まる痛快作だ。ミュージカルの食わず嫌い派には「演者が突然歌い出す不自然さ」を苦手理由の筆頭に挙げる人が相変わらず少なくないが、その唇を指でふさぐような勢いで本作はたちまち、観る者を銀幕の世界へといざなってくれるから大丈夫。気難しい構えの表情も、対のような腕組も自然と解かれるはずである。

 三年前は学業に専念するため、避暑地の恋を成就未満で切り上げて英国へ帰国したヒロインのテイラー(ハンナ・アータートン)。内心未練たらたらの歳月を経て再び、件の南イタリアの空港に降り立った。入国審査官から「仕事?それともバカンス?」とお決まりの質問をされるや、「♪Holiday~!」と歌声で切り返す主人公。誰もがご存じ、世界中で売れに売れたマドンナのあの全米16位曲に誘われて構内中の旅客・送迎者・空港関係者らが華麗な舞いを踊りだす。そこからはもう80年代メガヒット曲搭載のJuke boxにコインを入れ続けるような流れで物語が動き出す…97分間のロマンティックが止まらない一本だ。 

VARIOUS ARTISTS 踊るアイラブユー♪ オリジナル・サウンドトラック Sony Music Japan International(2015)

 歌唱はもちろん(銀幕上もサントラ盤も)映画出演キャストのパフォーマンスが採用されているが、メガヒット曲満載の作品となれば耳がついオリジンとの比較や出来・不出来を詮索したがるのも、うるさ型の人情だろう。が、音楽面はかの『レ・ミゼラブル』や『フル・モンティ』のアカデミー賞スタッフが結集し、英国映画史上最も海外で成功した作品『ストリートダンス/TOP OF UK』の二人三脚組(マックス・ギーワ&ダニア・パスクィーニ)が監督した渾身の本作は各有名曲へのリスペクトに彩られ、いずれの選曲も差し替えが利かないほどの必然性に裏打ちされた構成・演出・順路で全編を魅せてくれる。腰の揺れに委ねよう!

 物語自体は、避暑地で再会した実姉マディ(アナベル・スコーリー)から婚約者を紹介されたら「まさかの、三年前の元カレで…」というオチを伏せるのが無意味なほどのラブコメ。しかも挙式は明後日に迫ってて…さぁ、どうなる・どうする。この性格も恋愛経験もまるで正反対な姉妹の単純明快三角恋愛劇を起伏に富む作品にして余りある第一の理由は“絶妙な配役”に負うところ大である。

 (有吉&マツコの怒り新党「新・3大○○調査会」の口上を借りれば)まず、有権者に訴えたいのは「演じて/歌えて/踊れる」の三拍子揃った役者陣を根気強く選抜しては見事に配してみせた制作関係者たちの手腕だろう。そこには(キョンキョンの業界痛烈批判として話題を呼んだ)「政治的なキャスティング」なんぞが入る余地は一切ないはずだ。それぞれの主要な役柄にマッチし、歌い踊って違和感のない命を吹き込める演技陣が求められた。

 『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』(2013年)でも知られる本作の振付師は、主要キャストに見合う「プロの踊り手」を探すという選択肢は敢えて取らなかったそうだ。「俳優たちに求めたのは技術的に素晴らしいダンスが出来るということよりも、踊りながら演技が出来ることでした」「大事なのは何よりも雰囲気なの。良い俳優というのはそれが出来る人のこと、ダンスで感情を表現できることが重要だったのよ」と振付師はキャスティング作業の秘話を明かしている。

 最良の配役が得られた証左は正にその裏側の、苦労の航跡を微塵も観衆に感じさせないという点に現われている。そしてJuke box的彩りで真夏の恋愛劇を盛り立てる80年代メガヒット曲の数々。どれも、どの時代でも再評価に値するニュースタンダードばかりが劇中で並ぶ。日本盤OSTにはボーナス・トラックとして音楽監督:アン・ダッドリー(=実は“ZTTの象徴”アート・オブ・ノイズの鍵盤奏者!!)の筆によるオリジナル・スコアが5曲収録されているが、全19曲を通して聴くと名曲群を繋いで遜色ない融合性がよく解る。主題歌的な《Walking on Sunshine》のリード・ヴォーカルを務めるのは、劇中で姉妹の親友エレーナ役を好演しているシンガーソングライターのレオナ・ルイス=英国の国民的歌姫である。

 そもそも本作使用の許諾曲たち、バナナラマで再燃した《Venus》にせよ、ヒューマン・リーグの《Don't You Want Me? 》やバングルスの《Eternal Flame》にしても、本来はこの映画の魅力を最大限増幅させる目的でいずれの曲も書き下ろされたのではないか…そんな逆転の想像をそそる程に曲の並べ方(=起承転結の貢献度)が冴えている。また、挙式前夜祭でのコスプレ場面ではMTV世代の笑みが零れるコト必至。細かく観て行くとミュージカル好きは「今の場面、待って!」と反応しそうな「小ネタ」は幾つも発見できそうだ。宣伝口上は「恋も人生もノッたもん勝ち」と謳う。夏の扉は『踊るアイラブユー♪』で開かれる!

 

 

 

映画『踊るアイラブユー♪』

『レ・ミゼラブル』のアカデミー賞®スタッフが贈る
マドンナ♪ホイットニー・ヒューストン♪シンディ・ローパー♪など、
踊りたくなるメガヒット曲満載のハッピー“ラブ”ミュージカル!

監督:マックス・ギーワ&ダニア・パスクィーニ
脚本:ジョシュア・セント・ジョンストン
音楽:アン・ダッドリー
出演:アナベル・スコーリー/ハンナ・アータートン/ジュリオ・ベルーチグレッグ・ワイズ/レオナ・ルイス/他
配給:ファントム・フィルム(2014年 イギリス 97分)

◎7月10日(金)よりTOHO シネマズ シャンテほか全国ロードショー

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