インタビュー

中村達也と斉藤和義によるロックンロール・デュオ・MANNISH BOYSから軽快なスカのビートが心地良いニュー・シングル到着

MANNISH BOYS “曲がれない” Pt.1

〈2ケツ〉のセッションを突き詰めたらルード・ボーイ化したロックンロール・デュオ。どうあっても曲がれないパンク・スピリットを浴びて、陽気に踊れ!!

 

 

微妙にズレてるのがいい

 日本で最上級に忙しいロック・ドラマーの一人、中村達也と、日本で最上級にマイペースな(!?)シンガー・ソングライターの一人、斉藤和義が組んだユニット。のんびりと気の向くままに活動するのだろうなと思っていたが、予想は嬉しい方向に外れた。2012年から快調にリリースとライヴを重ね、すでにフル・アルバムが2枚、シングルは今度が3枚目で、全国ツアーも2度目。斉藤は「まぁ、時間が空いた時はやろう、という話はしてるけど」とトボけるが、MANNISH BOYSとしての活動は、二人にとってより重要なものになってきているのは間違いなさそうだ。

 「なかなかスケジュールが合わないから、合った時はスタジオでひたすらジャムり倒すんだけど。セカンド・アルバム(2014年作『Mu?Mu?Mu?MANNISH BOYS!!!』)の時も16時間ぶんぐらいの音があって、アルバムに入れたのはそのうちの一部だし、ファースト(2012年作『Ma! Ma! Ma! MANNISH BOYS!!!』)の時のも同じくらいいっぱいある。ほかに二人で勝手にスタジオに入ったり、レコーディングの合間にやったセッションもあるから。歌モノにしなくて良ければ、すぐに7枚ぐらい出せます(笑)」(斉藤)。

MANNISH BOYS 曲がれない スピードスター(2015)

※試聴はこちら

 軽快なスカのビートが心地良いニュー・シングル“曲がれない”もセッションの成果の一つだが、その成り立ちは少々複雑だ。レコーディング自体は今年3月、3日間の集中セッションで完成させたもの。だが、そもそものきっかけは、中村が斉藤に送ったデモ音源だった。

 「たっつぁんのデモは、〈口デモ〉なんですよ。この曲も、スカッぽいリズムを口でチキチキ、ドコドコ言ってて。〈若者たちがライヴに来てモッシュできる、そんな曲になったらいいと思ってます〉みたいな解説が付いてたよね?」(斉藤)。

 「なんとなく覚えてる。でも〈曲がれなーい♪〉ってところは、また別のセッションじゃないの?」(中村)。

 「あそこは去年のシングル“I am Dandy”の時のセッションから。たっつぁんが突然〈曲がれなーい♪〉って歌い出した曲があって、それと、さっきのデモがくっついた。よし、タイトルは“曲がれない”だと思って、そこから〈じゃあ何が曲がれないんだ?〉という話になって……」(斉藤)。

 エピソードはさらに続く。スカからの連想で中村が言い出した〈ルード・ボーイ〉という言葉が、クラッシュの映画「ルード・ボーイ」に繋がり、その場でDVDを買ってきて観賞する事態へと発展。スタジオの楽しげな雰囲気が目に浮かぶ話だが、そんな自由さこそMANNISH BOYSらしさ。〈失敗なんて知らねーよ 正解なんて知らねーよ〉と歌い飛ばす歌詞も、トゲはあっても結局は陽気でピースフル。それがこの二人のスタイルだ。

 「最初は〈なんちゃらかんちゃらルード・ボーイ♪〉って歌ってた。うまく繋がらなかったけど、でも名残りはあるよね。たっつぁんが喋ってるところとか」(斉藤)。

 「イギリスのルード・ボーイは、そんなに排他的じゃない。ジャマイカの移民が元だから、白人至上主義じゃないんだよね。白人も黒人もいる不良って感じ」(中村)。

 「そういうところも含めて、結局は全部、〈曲がれない〉という言葉からイメージが湧いてきてるんだよね」(斉藤)。

 それにしても――ほぼ同世代ながら、通ってきた道はかなり異なる二人。なのになぜ、こんなにも音楽的な相性が良く感じられるのだろう?

 「通ってきたところが一緒とか、違うとか、そういう話はあんまりしたことないけど。微妙にズレてるのがいいのかもしれない」(中村)。

 「そうかも。すごい極端に言うと、例えばたっつぁんがパンクで、俺がポップだとする。だけど実際は俺にもパンクな部分があって、たっつぁんにもポップな部分がある。MANNISH BOYSは、その両方が二人の間でグラングランに振れながら出てくるイメージ。一緒に音を出すと、自然とそうなるから」(斉藤)。

 「完成されたものは何もないというのが、おもしろいところじゃないかな。何をやってもコスプレにはならないというか」(中村)。

【参考動画】MANNISH BOYSの2014年作『Mu?Mu?Mu?MANNISH BOYS!!!』収録曲“I am Dandy”

 

なんせ“曲がれない”から

 カップリングの“レモネード”は、中村の人力ドラムンベースと、斉藤が得意とするマイナー調のメロディーが絡み合うエモーショナルな歌謡ロック。そして3曲目には、シーナ&ロケッツ“ユー・メイ・ドリーム”の愛情溢れるカヴァーが収録されている。

 「最近になってまた、シーナ&ロケッツのアルバムを買って聴き直したんだけど、めちゃめちゃ良いんだよね、サウンドが。アルファ時代とか、いま聴いても新しいと思う。打ち込みテイストもあって、でもめちゃめちゃパンクだし、シーナさん可愛いし。ああいう女性ヴォーカルの人って、そう言えばいないよねって、改めて思った」(斉藤)。

 「いないね。ああいうロックンロールの人はいない。シーナさん、ロックンロールを愛してたからね」(中村)。

 6月末に始まるツアーは、二人だけの〈2ケツversion〉と、堀江博久を加えた〈3ケツversion〉の2パターンを用意。取材が行われた5月末の時点で「何も考えてないけど、どうにかなるんじゃないですか」(斉藤)という大らかさだが、それもまた良し。「出ている音で喜び合ってる感じ」(中村)というMANNISH BOYSの音を、ぜひライヴで体感してほしい。最後に、今後の展望を訊ねてみると……。

 「日本国内で行ってないところもツアーで行きたいし、海外のフェスにも出てみたい。こっちも高齢化してきて、お客さんも高齢化が進んでるけど(笑)。もっといろんな人が音楽を楽しむようになったらいいなと思いますね」(中村)。

 「個人的には、中高生男子にぜひ聴いてもらいたいですけどね。いちばん多感な時期で、いろんな刺激がドバーッと入ってくる年頃だから。そういう子たちに悪影響を与える音楽はやってないと思ってるんで」(斉藤)。

 「やってないね。なんせ“曲がれない”んだから(笑)」(中村)。

【参考動画】MANNISH BOYSの2014年作『Mu?Mu?Mu?MANNISH BOYS!!!』収録曲
“GO! GO! Cherry Boy!”ライヴ映像
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