鴨居令の令はゼロのことかと思い辞書を調べたことがある。そんな意味はなかったが、この伝記を読むとデッサンの正確さにこだわり続けたこと、また何度も自殺を試みた人であったことがわかる。つまり振り出しに戻り続ける人だった。85年の死の直後の展覧会で初めて彼の絵をみた。大きい絵だと感じた。彼の描く赤、人物の手の大きさ、テーマの斬新さに心を奪われた。今年東京でも彼の展覧会があった。初めて見る女性のヌードがあったが、鴨居の画風と思っていた表情とずいぶん違ったタッチを感じた。画面に浮かぶようにたつ女性に鴨居は何を見ようとしたのだろう。

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【参考動画】東京ステーションギャラリーで開催された〈没後30年 鴨居玲展 踊り候え〉の展示風景