連載

【BO NINGENの人生一度きり】第28回 ヒッグス粒子のブルーズ/真夏の中目で空中浮揚―Kohheiが日本での夏の数日を回顧

何から話せばいいのか、BO NINGENのツアー日記のような当連載。
今回のタイトルはさっき聴いてたニック・ケイヴの2013年作『Push The Sky Away』収録曲、と友人に連れられて行った中目黒の日本料理屋で、あまりに流麗で繊細な料理とお酒の効用で身体がすっと浮いた体験から、であります。ラーメンの多層的な味のオーケストレーションがずっしり効くのと対照的。

今回の夏の滞在では、BO NINGENのショウは〈SUMMER SONIC〉内〈HOSTESS CLUB ALL NIGHTER〉の一公演のみでしたので、のんびりした滞在になるかと思いきや、日本の真夏感(真の夏っていいですね。ロンドンにはありません)と時差ぼけと、最高の料理とお酒のせいで、すっと通り過ぎてしまいました。
なので、ここから先は僕が飲んでるか食べてるかしてる話しかないです。

 

8月11日

成田に降り立つ。思っていたほどの真夏の重力を感じることなく拍子抜け。
なんとなく色々な景色が珍しいような気がして、車の中から撮影。未来都市感。

ドラムのモンチャンくんと、豚骨ラーメンの名店、〈麺の坊 砦〉へ。このために十数時間の空の旅を耐えた気がする。お祝いの意を込めてビール。

滞在先に辿り着き、眠気をこらえて楽器屋~タワレコを流す。タワーでは盟友Grimm Grimmのデビュー作を試聴。全曲よく知っているうえに海外盤を持っていますが、あの場で聴くとまた感慨深いものがありますね。名作なので買ってくださいね。

【参考動画】Grimm Grimmの2015年作『Hazy Eyes Maybe』収録曲“Hazy Eyes Maybe”

 

その後、さらに眠気に耐え、前述の中目黒日本料理店へ。数センチ浮いたまま、目黒川沿いにて缶ビール。沈没しそうになるも、同行の友人(BO NINGEN“Henkan”のヴィデオや、短編「Holy Disaster」で知られる石田監督)に引き摺られて恵比寿リキッドルーム上のTime Out Cafeへ。そのままどんどん膨れ上がる一行と夜の街へ。いつも迎えてくれてありがとう。

【参考動画】BO NINGENの2011年のミニ・アルバム『Henkan』収録曲“Henkan”

 

8月12日

割と仕事の日。夜は近所のラーメン。

 

8月13日

夕方に友人とディスクユニオン。
このところスパークルホースの1stしか聴いていなかったので、なんとなくハードなのがいいかな、と思い、グレン・ブランカの『The Ascension』、54-71の再レコーディング集などを購入。

【参考音源】グレン・ブランカの81年作『The Ascension』収録曲“The Ascension”

 

一杯飲んで夜。渋谷はWWWにて、近頃話題のgoat、とOGRE YOU ASSHOLE。数年前にN'夙川BOYSでんぱ組.incとの、普通に考えたら悪夢のような(いい意味でですよ)公演をした大好きな会場。照明はBO NINGEN“Henkan”のヴィデオや、短編「Holy Disaster」などを手掛けた渡辺敬之くん。とにかく機会があれば、なければ作って、観に行くべき。こういうバンドをもっとどんどんロンドンに呼びたい。

【参考動画】goatの2013年作『NEWGAMES』収録曲“std” ライヴ映像

 

かなり興奮して酔っ払い、その後、夜の渋谷で電柱に衝突。興奮していたので恥ずかしくはあるが痛くはない。

いい雰囲気のスタジオでレコーディング。ライヴ・ルームとのやり取りをしたい旨伝えたところ、渡された棒状のものに向かって喋ってしまい恥ずかしい(ボタンだそうです)。マイクにしか見えず、その後も何度もやってしまう。

 

8月15日~16日
サマソニ〈HOSTESS CLUB ALL-NIGHTER〉

一番楽しみにしていたディアハンターがキャンセルとなり気落ちするも、会場に着いてみればあまりの巨大っぷりに気分が上がる。到着時はちょうど昼の部と夜の部の間であったために音は鳴っていないが、しかしテンションが高い照明の巨大な空間に、疲れて寝ころぶ人が広がっていてSFのよう。古川日出男の短編に、パーティーの最中、人が次々に眠りに落ちて行く話があったような気がする。

スピリチュアライズドトム・ヨークFFSなどのステージを覗きながらそぞろ歩く。野外フェスとは違った独特な感じに戸惑うも、人工的な未来感が結構好み。出番が次だったので、FFS後半の数曲をステージ袖で。フランツ・フェルディナンドの“Take Me Out”は渡英した時にラジオで数分に1回かかっていたので懐かしく、当時を思い出し熱くなる。

【参考動画】FFSでの“Take Me Out” 2015年のライヴ映像

 

僕たちのステージは、ベース・アンプの不調など多少のトラブルはありつつもかなり熱く感無量。あんな早朝に観に来て頂いてありがとうございます。

 

8月17日~20日

地元へ。田舎の盆地なので東京と比べるとかなり暑い。

高校の頃よく歩いた川沿い

 

オン・ザ・コーナー

 

凛として愛犬

 

初めて見る広場。どことなく不穏

 

近くで見ると可愛らしくなくもないかな多分。といった微妙な雰囲気

 

多治見マルホランド・ドライブ

 

東京への戻りしな、名古屋の名店(レコード屋)FILE-UNDER RECORDSへ。急な訪問にもかかわらず、店主の山田さんにいつも通り温かく迎えていただく。手に持っているのはGezan『ストロベリーエッジ』とBO NINGENのミニ・アルバム『Henkan』(ホラーズによるリミックス収録!)。

色々お勧めを尋ねるも、結局、ニルス・フラームなどとも共演するギタリスト、F・S・ブラムの作品を購入。お店の人のお勧めを聞いたりして新しい音楽に出会うのもいいものですよ。好みを伝えると、〈こんなのは?〉と色々出してくれたりもします。

 

8月22日

幡ヶ谷はforestlimitにて恒例のgroup Aとの共同企画(ほとんど任せっきりでしたけど)。出演は、

group Aのヴァイオリンと、RBMA東京の卒業生で今秋Pヴァインよりデビュー作をリリースするAlbino Soundから成る、Albino Botanic。かなりの天国っぷり。焼酎の入ったカップを握りしめながら、踊るのも忘れて気が遠くなる。

group Aのシンセ/ヴォーカルと、僕から成る、AT METAL。かなりの地獄っぷり。演奏中は、ディス・ヒートの干物を炙ったものを肴に呑んでるパン・ソニックのTVを見て育ったパンク・キッズがやってるバンド。みたいな気持ち。

ギター、テルミンの謎のデュオ、ローシ(Lo-shi)。かなりの魔術っぷり。クラウトロックの文脈が一番収まりが良さそうだけど何かが違う。底が知れない感じ。色々な状況で見てみたい。

かなりオルタナなラインナップでしたけど、妙な統一感があって納得。group Aはもうじきヨーロッパ・ツアーに出ますね。

駆け足で日本の夏。夏が嫌いという人によく会いますが、まったく気が知れませんね。世界で一番情緒があって、ぐっと上がったり夜に滲んだり魔法のかかった特別な季節だと思うのですが。夢を見てばかりはいられないということでしょうか。でも、音楽を聴いている間は夢を見ましょう。それが僕の一番のリアリティーです。

こちらはとうの昔に晩秋。もうすぐ長い冬がやってきます。一晩でも早く日本の皆さんにお目にかかれるよう願っています。お元気で。

サマソニ終了後の楽屋で

 

PROFILE/BO NINGEN


Taigen Kawabe(ヴォーカル/ベース)、Kohhei Matsuda(ギター)、Yuki Tsujii(ギター)、Akihide Monna(ドラムス)から成る4人組。2006年、ロンドンのアートスクールに通っていたメンバーによって結成。2009年にアナログ/配信で発表した 『Koroshitai Kimochi EP』が現地で話題となり、UKツアーのみならず、日本盤の発表後は日本でのツアーも成功させる。2011年にミニ・アルバム『Henkan EP』、2枚目のフル・アルバム『Line The Wall』をリリース。〈フジロック〉やオーストラリアの〈Big Day Out〉、USの〈SXSW〉〈コーチェラ〉といった各国の大型フェスへ出演し、ますます注目を集めるなか、2014年に最新作『III』をドロップ。さらに、37分に及ぶ大曲となる盟友サヴェージズとの共作シングル“Words To The Blind”(Stolen/Pop Noir)をリリースしている。そのほか最新情報はこちらへ!

【参考動画】BO NINGENの2014年作『III』収録曲“Da Da Da” 
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