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ディスクガイド:現行R&Bのスタイリッシュなスタンダード(2)

TAMIA Love Life Plus One/Def Jam(2015)

デビュー20周年。デフ・ジャムに移籍しての最新作は、ポップ&オークリル・ロニートリッキー&ドリームゴッズ・オブ・アナログらと組んで現行感をアピール。地声で歌ったミディアム“Sandwich And A Soda”などに攻めの姿勢を感じさせつつ、美しく伸びる声が映える“Chaise Lounge”やデニース・ウィリアムズ“Black Butterfly”のカヴァーといったスケールの大きいバラードが、今回もタミアをタミアらしく輝かせた。 *林

 

 

CIARA Jackie Epic/ソニー(2015)

R&Bイズムとダンス・ナンバーと地元アトランタ流儀、3つのバランスが毎度絶妙なシアラの6作目。美しいミッド(だが歌詞は元夫へのキツい口撃)の“I Bet”から、ピットブルミッシー・エリオットを迎えたEDM+ATLベースな“That's How I'm Feelin'”まで、どんなビートも身体性の高さを感じるヴォーカルで乗りこなしてゆく。可憐さを失わない声も含め、その佇まいは彼女の憧れであるジャネット・ジャクソンさながら。 *池谷

 

 

JODECI The Past, The Present, The Future Sphinx/Epic/ソニー(2015)

空白は何だったのか?とも思えてくるほど、ゴツゴツとアタックの強い冒頭曲“Too Hot”一発であっさり現役感を見せつけた、20年ぶりのカムバック・アルバム。厚みのあるハーモニーで猥雑なビートに跨がる“Checkin For You”などに〈らしさ〉が迸る。活動休止前の凝りまくったサウンド志向は後退したものの、それでもK-Ci&ジョジョではなくこの名前で出す意味をキッチリ伝えたバランスの良い仕上がりが素晴らしい。 *出嶌

 

 

SISQO Last Dragon Dragon/Massenburg Media(2015)

ドゥルー・ヒルの復活作を経てのソロ3作目。ワカ・フロッカを迎えた重低音バウンス“A-List”でのやさぐれダーティー共演や、バラード“Lips”で徐々に歌声が熱を帯びていく様子は、雄叫びや咆哮といった言葉がよく似合う相変わらずの男臭さだ。キダー・マッセンバーグが制作の後ろ盾となったアルバムの出来も上々。20年ぶりのジョデシィも良かったけど、14年ぶりのシスコのソロ作も聴いて損なしですよ。 *池谷

 

 

JOHNNY GILL Game Changer J Skillz(2015)

R&Bファンにとってはディアンジェロに比肩する2014年末のセンセーションだったはず。奇を衒うことなくミディアム~スロウに心を注いで歌う姿はまさに正統派の品格に溢れたもので、ベイビーフェイスチャック・ハーモニーパトリック“ギターボーイ”ヘイズら新旧の敏腕によるストレートな楽曲も深みを増したテンダーな表現に寄り添うものだ。ボビー・ブラウンを除くニュー・エディションの集結もまたまた実現。 *出嶌

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STACY BARTHE Becoming Homeschool/Motown(2015)

ケイティ・ペリーリアーナらのソングライトに関わる過程でジョン・レジェンドに見い出され、ここ数年で客演露出を増やしていた才女のデビュー作。マレイを中心にベニー・カセットDJキャンパーらの用意した音は多彩ながらも総じてシンプルで、コクがある主役のリリカルな歌い口からニュアンス豊かなグルーヴをうまく引き出している。ジョンのアルバムで披露していた“Angel(Interlude)”のフル尺デュエットも必聴! *出嶌

 

 

RICO LOVE Turn The Lights On Division 1/Interscope(2015)

アッシャーの後押しで2005年にシンガー・デビューするもアルバムがお蔵入りし、以降は裏方として売れっ子になっていたリコ・ラヴ。それから10年を経て完成させた念願のアルバムは、DJダーヒーからデンジャジャック・スプラッシュらを迎えて自身のスウィートな歌唱にフォーカスしたもの。歌もラップも器用すぎてアプローチは多様だが、トレンディーな成功の裏で歌い手としても牙を研いでいたことがわかる力作だろう。 *出嶌