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ALMOST ALWAYS IS NEARLY ENOUGH
高い技術で鉄壁のアンサンブルを支えるメンバーたちを紹介

 トータスは最初からそれぞれに独立した感覚と技術を持っていたアーティスト集団だ。その証拠にメンバーの外部仕事は枚挙に暇がなく、各々が高いミュージシャンシップを発揮することで、常に新しい風をグループ内に吹き込んできたと言っていい。

 例えば中心人物のジョン・マッケンタイアマイ・ダッド・イズ・デッドを経て、後にガスター・デル・ソルへと発展するデヴィッド・グラブスらを擁したバストロへ加入、そしてトータスやシー・アンド・ケイクでの動きを活発化させる頃には、世界的にも名うてのプレイヤーとして知られるようになっていた。並行して、自身の持つソーマ・スタジオ(2011年に閉鎖)を拠点にエンジニア仕事を本格化。トランズ・アムアイソトープ217°といったスリル・ジョッキー仲間から、先輩格のレッド・クレイオラ、それにステレオラブブラーなどのプロデュース/リミックスを手掛け、裏方としても揺るぎない地位を確立する。2000年代以降もジャガ・ジャジストマトソン2ファイアリー・ファーナセスモデスト・マウスらの作品に力を貸していることも追記しておこう。

ジャガ・ジャジストの2010年作『One-Armed Bandit』収録曲“Bananfluer Overalt”

 

モデスト・マウスの2015年作『Strangers To Ourselves』収録曲“Coyotes”

 

 続いてのダグラス・マッカムは、イレヴンス・ドリーム・デイフォー・カーネーションブロークバックほか、いくつものバンド/プロジェクトに参加するシカゴ・シーンきっての多忙者だ。キャレキシコ作品への関与をはじめ、エリアを超えたサポートも目立つ。

キャレキシコの2008年作『Carried To Dust』収録曲“Two Silver Trees”

 

 さて、お次はダン・ビットニー。80年代にジャンクハードコア界隈で鳴らしたター・ベイビーズの一員としてSSTから作品を出している彼は、虎視眈々とキャリアを重ねるパーカッショニストだが、2007年にはトータスのリズム隊と始めたバンプスの初作『Bumps』で多方面から注目されることに。そのバンプスにも名を連ねるジョン・ヘーンドンは、マッカムらと90年代後半にフォー・カーネーションで活動した後、エターナルズなどで手腕を発揮。シカゴ・アンダーグラウンドのコルネット奏者で現在はブラジルに暮らすロブ・マズレクと、サンパウロ・アンダーグラウンド名義で共に行動していたことを記憶するファンも多いだろうか。

サンパウロ・アンダーグラウンドの2011年作『Tres Cabecas Loucuras』収録曲“Jagoda's Dream” 

 

 最後に、ジェフ・パーカーは客演のみならず、主にデルマークから数々の素晴らしいリーダー作を発表。それらに触れてみると、メンバー内でもっとも強くジャズの影響が感じられ、トータスの要のプレイヤーであることに気付かされるはずだ。 *岡村詩野