DILLANTHOLOGY
緊急ワイド】最後のディラ特集

その最期から10年。J・ディラの残した音楽とその影響力はいまもなお大きくなるばかりだ。そして、長年存在を知られてきた未発表の一作もいよいよ世に出される時が来た。神話や幻想を越えたずっと先にある快感の正体とは……


 

 〈音楽は俺の存在のすべて、俺の人生すべては音楽を中心に回っているんだ〉――J・ディラの遺したそんな言葉で始まるのは、ハイ・テックが2007年に発表した“Music For Life”だ。何を言わんとしているか、勘のいい人ならお察しだろうが……そこで彼のメッセージを受けてマイクを握るのは、今回ディラの未発表アルバム『The Diary』を世に出したマス・アピールを主宰するナズである。生前に直接のコラボは叶わなかったものの、一昨年にディラの“Gobstopper”に乗せたフリー音源“The Season”を投下していたのは、今回の予告でもあったということだろう。

 ともかく、悲報から10年。以来、お蔵入りした作品や未発表音源集は数多くリリースされているが、今回の『The Diary』は生前にJ・ディラ自身がリリースを望んでいた作品という意味では、恐らく最後の1枚となる。そもそもこのアルバムは、もともとMCAから2002年にリリース予定だったものがお蔵入りし、ディラ逝去の直後にはストーンズ・スロウからの蔵出しも噂されながら、立ち消えになっていたもの。結果的には、当初の予定から14年の歳月を経て、正式に日の目を見たわけである。

J DILLA 『The Diary』 Pay Jay/Mass Appeal/HOSTESS(2016)

 なお、bounceでは2010年にスラム・ヴィレッジを〈PEOPLE TREE〉で取り上げていたり、それ以前もディラ周辺にはたびたび紙幅を割いてきたので、あれこれスキップしている部分についてはバックナンバーや〈tower.jp〉の過去記事をご覧ください。