音響系の人気レーベルが新たな章に突入!

 設立20周年を記念し、昨年はカタログのリイシューに力を注いていたUKのリーフから、次のディケイドをキックオフするかのようなニュー・アルバムが続けざまに到着。まずは、〈ポップ・グループの再来〉とも言われるトライバルな都市型ファンクが身上の、メルト・ユアセルフ・ダウンによる2作目『Last Evenings On Earth』。前面に躍り出た2本のサックスが唸る特異なギターレス・スタイルはより攻撃力を上げ、切れ味鋭いビートも格段にダンサブルさを増した会心の出来映えだ。

MELT YOURSELF DOWN Last Evenings On Earth Leaf/Pヴァイン(2016)

 一方、新人インスト・トリオのコメット・イズ・カミングが放った初作『Channel The Spirits』は、サン・ラーホークウィンドが合体して奔放なパンクをプレイしているような、奇天烈極まりないコズミック・グルーヴ盤に。

THE COMET IS COMING Channel The Spirits Leaf/Pヴァイン(2016)

 どちらもポスト・パンク的な混沌を孕みつつ、ジャズの素養を活かした確かな演奏力によってカオスを自在にコントロールしている点が共通しており、単なるDIYな音楽ではないプロフェッショナルな凄味を感じさせる。音響系からスタートしたレーベルの変容と今後を占うのにも、欠かせない2作品だろう。