今年2月、小澤征爾が初のグラミー賞を受賞。その朗報に日本中が歓喜に沸いた。受賞から4ヶ月後の「第95回・水戸室内管弦楽団 定期演奏会」は凱旋公演となった。マエストロと水戸室内が演奏してきたべートーヴェン・チクルスシリーズに、ついに《運命》が響きだした訳だが、水戸芸術館のコンサートホールATMで演奏されるのは、なんと今回が初。そのような背景もあり公演前から話題は尽きなかった。その音楽は、まさに活気みなぎる演奏。力強く壮快なテンポに終始息を飲んで聴き入ってしまう。聴衆の割れんばかりの拍手喝采が本公演の素晴らしさを物語っている。これこそ一期一会の演奏だ。