“僕らはジャズの近くにいるよ“、そんな呟きに聴こえる冒頭のパーカーの名演曲、キース・ジャレットの正当な継承者であることを高らかに宣言する、欧州的な響きの中にフォーキーなピアノとソプラノの音が交錯する②。この2曲で二人が何をしたかったかが伝わる。日本が忘れがたい災害に襲われた2011年秋、二人は欧州にいた。長年の共演で培った魂の交感が随所に光る演奏は全てが最上の出来だ。打ち鳴らされるメルドーの左手、立ち止まり抒情をこめて吐き出されるジョシュアのテナー。アルバムタイトル曲での二人は完全に一つになる。全ての傷ついた人への優しさが“近くに居るよ”と響いてくる。