イベリア半島に栄枯盛衰を刻んだイスラム王朝最後の王国が建った地、グラナダ。カバーに装われたアルハンブラ宮殿内のライオンの中庭は、アル=アンダルスの幕を引く栄華の象徴だ。古都グラナダ500年をめぐるこのクロニクルには、汲めども尽きぬ音楽の泉、遥かなる時間の流れを仰ぎ見るような越境感が蔵されている。情感を宿したカンティガ、狂おしいまでに熱烈なダンツァ、そこへ影を差すように伝統楽器と共に哀切の歌を綴るラメント。サヴァールたちが紡ぐ音楽には、研ぎ澄まされた洗練の中に愛奏の情感が込められ、時に情熱が発露される。アーヴィングの名著『アルハンブラ物語』をぜひお供に…。