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愛される理由

 そしてそこからニュー・アルバム『And The Anonymous Nobody』まで、実に12年の歳月を費やすこととなるのだが、その間にも編集盤やミックステープなどのリリースはあったし、グラミー賞にノミネートもされたゴリラズとのコラボ“Feel Good Inc.”などの外部ワークもこなしていた。また近年では野外フェスも含めて毎年のように来日を果たしており、まったく変わることのない(どころか円熟味を増した?)2MC+1DJでのオーセンティックなヒップホップ・ショウを披露して古くからのファンを熱狂させるだけでなく、そこから若い世代のファンも新たに増えているとも聞く。

 先述の縁だけでなく、ゲーム「パラッパラッパー2」のサントラ(DOUBLEとの“Say “I Gotta Believe!””で参加)や、MUROが指揮を執ったアニメ版「TOKYO TRIBE 2」のサントラ(LUNCH TIME SPEAXと“So Cool”でコラボ)など彼らが日本人アーティストとコラボレーションする機会も多かった(先述した『Art Official Intelligence: Mosaic Thump』の日本盤ジャケでは「TOKYO TRIBE」作者でもある井上三太とコラボ)。恐らくメインストリーム・ヒップホップ特有のトゥーマッチなセンスやヴィジュアル、楽曲などと比べるとデ・ラの親しみやすそうに映るキャラクターやキャッチーなサウンド、インテリジェンスも感じさせる(ように思える)スタイルは日本人にも共感を得やすく、ゆえに日本ではいまもその人気が衰えないのだろう。

 さまざまに細分化された音楽ジャンルのなかでも特にトレンドのサイクルが早く、最先端なサウンドやスタイル、スターにスポットが当たりがちなためサヴァイヴしていくことが困難なヒップホップという特異なジャンルにありながら、活動休止のような期間もほぼなく、アルバムごとの色はあっても決してブレることのないスタンスを貫き、デビュー時からのオリジナル・メンバーのまま、ついに今年で結成から29年を迎えるという、音楽業界においても非常に希有なグループ、デ・ラ・ソウル。そのマイペースな活動は30周年を突破した先も変わることなく続いていくのだろう。

 

LIVE INFORMATION
デ・ラ・ソウル来日公演
2017年10月17日(月)、18日(火)東京・六本木 Billboard Live TOKYO
開場/開演:
・1stステージ:17:30/19:00
・2ndステージ:20:45/21:30
料金:サービスエリア/9,900円、カジュアルエリア/8,800円
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