鏡よ、鏡、彼らがここまで愛され続けるのはなぜ? ニュー・スクールの寵児として時代の波に乗っては持て囃され、そこを否定するやり口がまた賞賛され、〈ヒップホップ好きじゃない人も聴けるヒップホップ〉として真性のヒップホップが愛され、フロアではヒップホップ・ラヴァーを踊らせてきた。そんなこんなで3人がマイペースにマジック・ナンバーを守り続けて30年。つまり、どう転んでもデ・ラ・ソウルはデ・ラ・ソウルだってことなのだ!
DISCOGRAPHIC DE LA SOUL
デ・ラ・ソウルを知るための7枚 *狛犬
鼻歌で走り抜けるような冒頭の“The Magic Number”だけでも前世代とのアティテュードの違いを見せつけたクラシック。スキットを随所に挿むプリンス・ポールらしい作りがユルいトータル・アルバム感を演出する一方、小沢健二も借景したポッセ・カット“Buddy”、ファンカデリック使いのNo.1ヒット“Me Myself And I”など、楽曲も単純に粒揃いすぎる。
みずから〈死〉を宣告することでイメージの転換を図ってみせた名作。引き続きプリンス・ポールがイイ仕事を見せているが、3人の振る舞いには楽天性をやや取り払ったような配慮も。デ・ラきってのアッパーなパーティー・チューン“A Roller Skating Jam Named “Saturdays””もあり、深刻なストーリーテリング系の“Millie Pulled A Pistol On Santa”もあり。
ジャケに写ったプリンス・ポールとの最終作となるサード・アルバム。前2作のような強力な一発はないものの、当時のジャズ・ラップへの目配せかメイシオ・パーカーらJB’sメンバーの演奏を要所で絡めてグールーを招いていたり、スチャダラパーと高木完を迎えたり、時代の変化を窺わせるトピックは多い。魅惑のメロウ・チューン“Breakadawn”もここに。
Q・ティップの紹介でジェイ・ディーを起用した表題曲など数曲を除き、ほぼ全曲をセルフ・プロデュースでまかなった転機の4作目。ジャジー&メロウ系のビートでストイックに掛け合うトラックが多く、ジャネイを迎えたメロウな歌モノの“4 More”など作風の幅にも意欲的に。コモンや無名時代のモス・デフをフックアップしているのもポイントだろう。
レッドマンの色が濃い“Oooh.”やチャカ・カーンがキャッチーなフックを披露する“All Good?”、バスタ・ライムズの暴れる“I.C. Y’all”など、ゲストを活かした楽曲も取り揃えつつ大半をセルフ・プロデュースしたポップな作品で、初めて総合で全米TOP10入りするほどの大ヒットに。マイクDとアドロックを迎えたオールド・スクール大会が喧しくも楽しい。
DE LA SOUL 『AOI: Bionix』 Tommy Boy(2001)
3部作の第2弾。前作でも尽力したデイヴ・ウェストの陣頭指揮による曲が多くなり、70年代ソウル的な意匠とスペイシーな未来感を組み合わせたようなヴァイブが全編を覆う。グレン・ルイスやデヴィン・ザ・デュード、ヤミー・ビンガムの歌で牽引する局面は前作以上に聴きやすい雰囲気でまとめられ、コモンらの後進から刺激を受けたようなフシもある。
3部作を完結させぬままトミー・ボーイを離れ、サンクチュアリ経由で出した自主レーベルからの第1弾(現在は廃盤)。グループのセルフ・プロデュース曲がなくなり、参謀デイヴ・ウェストとディラを中心に、新味を取り込むべくマッドリブやジェイク・ワン、9thワンダーらを抜擢している。スキットなしのスッキリした作りも変化への意志を窺わせるものだ。
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