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ラグジュアリーな気分

 この曲にあるファンクの要素は、往年のプリンスの名曲の数々を思い出させる。プリンスは、マイケル・ジャクソンと並んで、ブルーノのヒーローだった。

「プリンス、タイム、ジェイムズ・ブラウン、DJクイック、90sヒップホップ、僕はそういった音楽を聴きながら育って、大好きだった。どれもファンクが含まれてた。ファンキーだったんだ。必ずしもそれらがラジオでプレイされてたわけじゃないけど、いまとは違う感情や感覚がそこにあった。そして、90年代は、80年代、70年代の曲をサンプルしてた。90sヒップホップは、ファンクの曲をサンプルして、その上にラップを乗せてたんだよ。僕らはこの曲で、その両方を創造しようとしたんだ。彼らがサンプルするような音楽をサンプルして、僕が好き放題に語って作った曲だよ」。

 しかし、『24K Magic』のインスピレーション源は、ファンクや90sヒップホップに留まらない。ブルーノの引き出しの多さには、この3作目でも驚かされる。80年代後半に流行したニュー・ジャック・スウィングを刷新したかのような“Finess”や、ヴェテラン・プロデューサー/シンガー・ソングライターのベイビーフェイスと共作した90年代R&B風の美しいバラード“Too Good To Say Goodbye”も入っており、すべての曲が『24K Magic』というゴージャスな〈映画〉を構成するワンシーンとして、必然のもとに存在している。唯一迎えたゲストがアカデミー賞受賞女優のハル・ベリー(語りを提供)である点にも、ブルーノならではの豪華さを感じる。『24K Magic』は、今後長期的にポップ・ミュージック界の王座に君臨していくことだろう。

 「パーティーみたいに感じられるアルバムにしたかったんだよ。どんなパーティーかって? 『24K Magic』を聴いて、みんなはどんなイメージを思い浮かべるだろう? 僕はみんなに(ゴールドチェーンのネックレスをさして)これを見てほしい。ショウを観る時は、最高のお洒落をしてきて、踊ってほしい。ミュージシャンの仕事は、喜びを届けることだからね。人は、何かを感じたくて音楽を聴く。このアルバムを聴く人たちには、ラグジュアリー感とか、高貴な気分を感じてほしいんだ」。

 

 

ブルーノ・マーズが参加したマーク・ロンソンの2015年作『Uptown Special』(Allido/RCA)、アデルの2015年作『25』(XL)、ブルーノ作品すべてのソングライティングに参加しているフィリップ・ローレンスの2013年作『Letters I Never Sent』(Atlantic)