最強グルーヴのサルサ・バンドが挑むスペシャル企画
結成22年目のスインゴサが放つ9年ぶりの最新アルバムは、タイトルどおり“歌”に照準を合わせた、バンド史上最強の快作だ。ゲスト歌手に佐藤竹善、CHAKA、石塚隆充を迎え、マニア垂涎のウィリート・ロペス(fromソノーラ・ポンセーニャ!)がコンガで特別参加。前作からのリミックス2曲を含む、初挑戦尽くし。しかも、ライヴで実証されてきた頭脳プレイの緻密かつダイナミックなアンサンブルは、テンション・マックス状態といってよい。録音タイミングについて、リーダーの大儀見元はこう説明する。
「素晴らしいティンバレス奏者、フレディ(・ミランダJr.)さんの(ハワイへの)転勤前に録りたかったのが、ひとつの理由。今回のアルバムには、いろいろな人との交流が、実は詰め込まれています」
18年前、ツアー中のプエルトリコで自宅を訪ったウィリート然り。その大親友で、ウィリート宅にて大儀見とセッションに興じ、この5年間スインゴサのメンバーを務めることとなったフレディ然りだ。
「マニアックな世界なんでね。じゃあ、ソノーラ・ポンセーニャって誰なんだ!?って話になりますけど、ぶっちゃけ、途轍もないセッションが、スインゴサでないと出来ない録音が、ここに残されてるわけで」
熱いフロント、マニー・メンデスのディープなヴォーカルが炸裂する《Timbalero》。デ・ラ・ルス時代の《Salsa es mi energía》も、作者の手で新たに甦った。ギター弾き語りを軸に展開する《Una flor》。そして、バンドのライヴに遊びに来てくれていたという、ゲスト歌手3名。
「サルサ一直線みたいな作品が続きましたが、そのガチッとしたサルサに、他のフィールドの人たちの本格的な歌が乗るというのは、絶対面白いに違いないと思っていた。ゲストのメンツは、即決でした」
リミックス版《Bilongo》《Ogun》に関しては?
「以前からクラブ・シーンにも訴えかけたい、拡がりを持たせたいというのがあって、一緒にバタ(ドラム)をやっている、アートディレクションのSAEKOさんのヒップホップ繋がりと、レゲエDJの方を紹介していただいた。リミックスを決めた時点で、フランキー・バスケスの声(入りの曲)でやりたかった。曲順もA面・B面みたいな感じでリミックスが間に入って、ツルッと聴ける。でも、サルサ・スインゴサがやりたいものはこれか!? と言われたら、このアルバムは、もう本当にスペシャル企画なので。ただこれで、いろんなシーンに拡がってくれたらと思います」
“バンドとしての時間が創る魔法”が働いたという最強スインゴサの今を、CDとライヴで体感せよ!