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ところで相方のパトリックは元気でやってるか?

 ダンがアークスの『Yours, Dreamily,』を発表した1か月後、2016年1月にブラック・キーズの相棒であるパトリック・カーニーは2度目の離婚を経験。ひょっとすると本隊の休暇中もパトがスタジオにこもっていたのは、〈自宅に帰りづらい〉みたいな気持ちの表れかもしれません。で、〈テン年代のハリー・ニルソン〉はたまた〈次のファーザー・ジョン・ミスティ〉といった雰囲気のトバイアス・ジェッソJr『Goon』を皮切りに、ターボ・フルーツやワイルド・ベルほか、彼はプロデュース業に専念していきます。かねてより「完璧な音楽は退屈だ」と豪語していた通り、外仕事でも粗さやズレを活かしたプロダクションによって己の持ち味を発揮。なかでもクリス・トムソン(ヴァンパイア・ウィークエンド)のダムズ・オブ・ザ・ウェスト名義作『Youngish American』は、ブラック・キーズに通じるレイドバックしたロックンロール盤としてファンから絶賛されました。

 また、カレン・エルソンやミシェル・ブランチといった美女たちの、離婚後の再出発を好サポートしたことも外せないトピック。ちなみに後者とは恋仲へ発展し、ミシェルがLAからパトの住むナッシュヴィルに移住したかと思えば、今度は彼女の世界ツアーにパトが帯同するなどアツアツぶりを見せつけています。私生活での痛みを創作意欲に変えてきた様子を考えるともったいない気もしますが、いまは素直に2人を応援しておきましょうか。 *山西絵美

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