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DISCOGRAPHIC THA BLUE HERB
THA BLUE HERBを知るための12+2枚

THA BLUE HERB STILLING, STILL DREAMING Straight Up/REAL LIFE(1998)

12インチ2枚を経て放った初のアルバム。いま聴くとストレートな作法で迫るヒップホップに思えるが、北の勢いを挑発的に表明していく“ONCE UPON A LAIF IN SAPPORO”などの姿勢は中央をざわつかせるに十分だった。メランコリックな“あの夜だけが”に至るまで、鋭敏な感情を剥き出しにした〈青の時代〉の結晶だ。

 

THA BLUE HERB アンダーグラウンドvsアマチュア/未来世紀日本 Straight Up/REAL LIFE(1999)

初作のトーンを受け継ぐシングル。副題に〈TBHR ANTHEM〉と付いた“アンダーグラウンドvsアマチュア”はタフにメイク・マネーを語りつつ安直なアングラ賛美の蔓延をブッ叩くハードコアな一撃。ビートが同時期のエレクトロニカ的な“未来世紀日本”もドープだ。

 

THA BLUE HERB FRONT ACT CD THA BLUE HERB RECORDINGS(2002)

まさしくフロント・アクトとして機能した3曲入りのEP。重たくディープな“TRANS SAPPORO EXPRESS”、ファンキーで小気味良い“A SWEET LITTLE DIS”など、ビートの鋭い進化が楽しめる。ただ、見事に話題を撒いたのは後者のリリックだったわけで……。

 

THA BLUE HERB SELL OUR SOUL THA BLUE HERB RECORDINGS(2002)

コンピ『ONLY FOR THE MINDSTRONG』などを踏まえ、活動規模を拡大するなかでのセカンド・アルバム。O.N.Oのビートが変則的なものに深化し、BOSSのライミングとズレながら絡む彼ら一流のノリはここで確立された。あらかじめ用意しておいたリアクションのような“天下二分の計(COAST 2 COAST)”や大曲“路上”を収録。

 

THA BLUE HERB 未来は俺等の手の中 THA BLUE HERB RECORDINGS(2003)

“未来は僕等の手の中”から引いた曲名通り、もともとTHE BLUE HEARTSのトリビュート盤に提供予定だったといういわく付きのシングル。先人の曲ではなくスピリットに捧げたオマージュで、99年の六本木に臨んだ当時の心境を生々しく吐き出す様がアツい。

 

THA BLUE HERB HEAT Original Soundtrack HEAT CARTEL(2004)

個々の活動に軸足を移していた時期の作品で、武論尊×池上遼一の人気マンガを映画化した「HEAT-灼熱-」のサントラ。主題歌の“MY HEAT”など3曲はBOSSがマイクを握ったTHA BLUE HERB名義の曲だが、実質的にはO.N.Oのソロ作といって差し支えない趣だ。ハードボイルドな作品世界をドープな音で描く手腕が光る。

 

THA BLUE HERB THE WAY HOPE GOES THA BLUE HERB RECORDINGS(2005)

ドキュメントDVD「THAT'S THE WAY HOPE GOES」で披露されている新曲をメインに据えた、活動休止中のシングル。カップリングに用意された既発曲のダブ・ヴァージョン“PUSHER ON THE STREET(THAMEL TOWN DUB)”と“智慧のDUB”も強力!!

 

THA BLUE HERB PHASE 3 THA BLUE HERB RECORDINGS(2007)

休止期間を経て第3章の幕開けを伝えたカムバック・シングル。視野を広げたBOSSの弾丸のような語り口と、繊細な空間処理で重たく揺らすO.N.Oのビートが帰還を告げる表題曲、よりディープな意匠で〈シーン〉に向けて語りかける“C2C4”、いずれもアルバム未収録。

 

THA BLUE HERB LIFE STORY THA BLUE HERB RECORDINGS(2007)

物理的/精神的な旅を重ねて完成されたサード・アルバム。詩文たちを取り巻く環境やシーンの変化、さらには己が年齢を重ねたことを自覚してリリックの方向性も大きく変わり、O.N.Oのスペイシーなビート捌きも相まってある種の成熟を人間臭く伝える傑作だ。名高い終曲“MOTIVATION”では後進に触発される意識を率直に歌ってもいる。

 

THA BLUE HERB STRAIGHT YEARS THA BLUE HERB RECORDINGS(2009)

アルバム以来のリリースとなったワンコイン・シングル。ライヴ〈演武〉10周年へ向かうタイミングで制作されたそうで、これまでの歩みと轍に目線を送ったシンプルな1曲入り。溜め込んでいた思いを練り込むことなくその場でバッと吐き出したようなノリがある。

 

THA BLUE HERB STILL RAINING, STILL WINNING/HEADS UP THA BLUE HERB RECORDINGS(2012)

第3章の幕を下ろした後に〈3.11〉が訪れ、結果的に2011年は沈黙を貫くことになった彼らが、その間に制作していたという第4章の幕開け。事態の深刻さや世情の激動に対するアンサーといえる内容で、裏表にある生と死を2曲で表現したようなシングルだ。

 

THA BLUE HERB TOTAL THA BLUE HERB RECORDINGS(2012)

5年ぶりの通算4作目にして、現時点での最新オリジナル・アルバムだ。前作で獲得したラップ・ゲームからライフ・ストーリーへの眼差しの切り替わりは、BOSSが40代になったことや震災後の制作タイミングという背景もあってか、よりポジティヴな姿勢でリスナーたちを明快に鼓舞するものになった。この成熟の先が早く聴きたい。

 

O.N.O Ougenblick THA BLUE HERB RECORDINGS(2014)

onomonoでの活動も並走させはじめたO.N.Oが、前作から5年半ぶりにリリースしたサード・アルバム。スタジオでの成果を〈MachineLive〉という自身のライヴで試行しては再構築していくというプロセスで作られたそうで、ラップを前提としないがゆえの自由奔放さがカッコ良い。

 

tha BOSS IN THE NAME OF HIPHOP THA BLUE HERB RECORDINGS(2015)

多くの客演で多様な絆を培ってきたBOSSがついに取り組んだ初のソロ作。複数のトラックメイカーを起用して客演もアリという、TBHとは真逆のスタイルで制作されていることだけでもまず新鮮。あえてヒップホップ・シーン内での勝負にこだわってみせた力強い一枚だ。