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(SANDY) ALEX G Rocket Domino(2017)

デビュー時にはライアン・ヘムズワースとの絡みなどで注目されたシンガー・ソングライター。前作あたりから少しずつフォーク趣味を忍ばせはじめ、本作ではバンジョーやフィドルを用いて本格的にアメリカーナへ寄って来た。エリオット・スミス~カート・ヴァイル系の繊細な声にはこっちのほうが似合うな。 *赤瀧

 

EMILY SALIERS Murmuration Nation MRI(2017)

インディゴ・ガールズの片割れによる初のソロ作は、スティーヴ・シェリーやスナーキー・パピーのメンバーが演奏を支えた注目すべき一枚。風通しの良い70sライクなカントリー・ロックもさることながら、新世代のプリミティヴ・ギター勢と共鳴するような仄暗いプログレ・フォークに物凄い才気を感じます。 *山西

 

DUCKTAILS Jersey Devil New Images/PLANCHA(2017)

このソロ・プロジェクトに専念するためリアル・エステイトを正式に脱退したマット・モンデナイル。2年以上の歳月をかけ、みずからの手だけで作り上げた本作には、メランコリアを貫いたコズミックなAOR系に交じり、アメリカーナを下地にした幽玄なナンバーがさりげなく散りばめられている。 *桑原

 

GREGG ALLMAN Southern Blood Universal/ユニバーサル(2017)

長きに渡ってオールマン・ブラザーズ・バンドを引っ張ったグレッグの置き手紙は、ドン・ウォズがプロデュースし、ボブ・ディランやリトル・フィートらのカヴァーで構成された一枚。死期を悟りながらも、どんなに痩せようが枯れようが南部男としての威勢を示さんとする歌唱に思わず言葉を失った。 *桑原

 

DENT MAY Across The Multiverse Carpark(2017)

アニマル・コレクティヴが手放しで賞賛するウクレレ男子。チルウェイヴ以降のインディーな流れを踏まえたうえで、この4作目ではニック・デカロばりにリッチなストリングスとトロピカルな旋律をたっぷり用い、〈アメリカ再発見〉の旅へと出発。ブライアン・ウィルソン似の歌唱がばっちりハマっています。 *山西

 

A.J. CROCE Just Like Medicine Compass/BSMF(2017)

父親のジム・クロウチよりも遥かに長いキャリアを積み重ねているフォーク界の人気ピアノマン。この9作目でパートナーに迎えたのは何とダン・ペンだ。スティーヴ・クロッパーやデヴィッド・フッドをバックにしたスタックス流儀のソウル・ナンバーほか、思いっきり泥臭く迫る姿がカッコイイ。 *桑原

 

LOMELDA Thx Double Double Wammy/Pヴァイン(2017)

シンプルな編成によるややアシッドでアコースティック色の強いフォーク・ロックが特徴の女性ソロ・ユニット。テキサス出身とのことだが、乾いた感覚はなく、どことなくサンディ・デニーを思わせる歌声と叙情溢れるメロディーは、むしろブリティッシュ・フォーク風に濡れそぼっている。 *北爪

 

GRIZZLY BEAR Painted Ruins RCA(2017)

ブルックリン・シーンの顔役として鎮座するバンドの最新作。立体的なアンサンブルや複雑な曲展開からNYインディーらしい実験精神を窺わせつつ、そのくせ不思議なほどの郷愁感も打ち出している。伝統と前衛のバランス感覚が絶妙で、ひょっとするとマジで〈21世紀のザ・バンド〉になり得るかもしれない。 *北爪

 

LUCY ROSE Something's Changing Communion/HOSTESS(2017)

「蟲師 続章」の主題歌でアニメ好きからも注目されるシンガー・ソングライター。この3作目ではしっとり系のフォーク・ポップ路線へと再度シフトチェンジし、キャロル・キングやレスリー・ダンカンを思わせる柔らかで滑らかな歌世界を展開。カントリー・ロック風のバラードとか超美味。 *桑原

 

NEIL YOUNG Hitchhiker Reprise/ワーナー(2017)

2000年代末からヤングが続けてきたアーカイヴ・シリーズの最新版は、76年録音の未発表アルバムだ。主役の魅力を知り尽くした盟友デヴィッド・ブリッグスの指揮のもと、バンドを従えている時とはまったく別種の、弾き語りによるメロウな魅力が堪能できる。登場時のボン・イヴェールが好きな人とかにぜひ! *赤瀧

 

MAGIC GIANT In The Wind Razor & Tie/ユニバーサル(2017)

イマジン・ドラゴンズに通じるような開放的でスケールの大きいサウンドが持ち味のLAに住む3人組。しかし、〈フューチャー・フォーク〉を標榜している通り、この初作ではフォーキーな意匠が良いアクセントとなっている。メインストリームのロックにもアメリカーナが息づいている好例だろう。 *北爪