
いわゆる〈Gファンク〉を最初に定義することになったドレーのファースト・ソロ・アルバムで、スライはここから“Nuthin’ But A “G” Thang”と“Let Me Ride”の2曲を取り上げている。いずれも元がソウル/ファンクのダイナミックな大ネタ使いなだけあって、バンド演奏での解釈もそのままハマっている。

『The Chronic』と兄弟盤のようなスヌープのファースト・アルバムで、こちらからは“Shiznit”と“Who Am I (What’s My Name?)”をピックアップ。原曲のシリアスさをジェシー・フィッシャーが盛り上げる前者と、ストリングスを強調して印象を変えた後者、どちらも技アリだ。

EMINEM 『The Slim Shady LP』 Web/Aftermath/Interscope(1999)
アフターマス設立後のドレーが見い出したラップ・モンスターの初作で、こちらからは大ヒットの“My Name Is”と“Guilty Conscience”を取り上げているが、前者はラロ・シフリンが元ネタのため管弦楽団でのカヴァーも実にハマっている。緊迫した後者もいい感じだ。

ドレー指折りの名曲を詰め込んだクラシックで、スライはここから3曲も取り上げている。バウンシーな“Forgot About Dre”と上品な演奏のマッチした“Still D.R.E.”のハマりっぷりはもちろんのこと、“The Next Episode”は元ネタとなるデヴィッド・マッカラム“The Edge”(デヴィッド・アクセルロッド作)の演奏から聴かせる構成にニヤリ。アウトロでのネイト・ドッグの歌唱パート再現も泣ける。
デヴィッド・マッカラムの67年作『Music: A Bit More Of Me』(Capitol/Get Down)

コリー・ヘンリーをフィーチャーしたオープニングの“California Love”は、2パック × ドレーの数少ないコラボの成果。P39でも触れられているように、いまなお多方面でリサイクルされ続けている名曲だ。カリ・ラヴ・オーケストラという楽団名の由来であることは言わずもがな。

スライが取り上げたのはドレーのラップをフィーチャーして本作から全米No.1を獲得した“No Diggity”。ドレーのプロデュース曲としてたまに混同されることもあるがビル・ウィザーズ使いでテディ・ライリーが組み上げた名ループである。

スライが演奏しているのはブーツィーズ・ラバー・バンド“I’d Rather Be With You”のカヴァーということに一応なるが、これはNWAが同曲のお下品な替え歌として披露していた“I’d Rather Fuck You”を意識してのリメイクなのは言うまでもないだろう。
ブーツィーズ・ラバー・バンドの76年作『Stretchin’ Out In Bootsy’s Rubber Band』(Warner Bros.)