こんにちは。fhánaの佐藤です。冬の寒さが続いています。今回は、冬に聴きたい曲を紹介したいと思うのですが……あらかじめ言うと、一般的には全然冬っぽくない曲ばかりになりました。

BRAD MEHLDAU Largo Warner Bros.(2002)

 1曲目は現代のジャズ・ピアノ界の中心的存在の一人、ブラッド・メルドーの“When It Rains”。2002年に発表された『Largo』に収録。まずアルバム全体を通して、録音、ミックスが最高に気持ち良い。60年代後期のような乾いたアコースティック・ロック・サウンド。温かみがあって、太い。それもそのはず、プロデューサーにフィオナ・アップルなどを手掛けるジョン・ブライオンが起用されている。レディオヘッドのカヴァーなんかも収録されています。肝心の“When It Rains”ですが、ドライで太いピアノの音、ドラムのビート、木管とユニゾンする哀愁漂うメロディー、ブラスの温もりのある持続音。タイトルには〈雨〉と付いていますが、シンシンと降る雪もイメージします。寒い冬の日に暖房で温まった部屋で、ソファに横になってずっと聴いていたい。

 

KEITH JARRETT The Koln Concert ECM/ユニバーサル(1975)

 次は、こちらも歴史的なジャズ・ピアニストで、キース・ジャレットの『The Koln Concert』。75年にドイツのケルンで行われた完全即興演奏の伝説的なピアノ・ソロ・コンサートのライヴ盤です。同じピアノでも先程の『Largo』とは正反対の硬質で透明感のあるサウンド。静かな緊張感と共に始まり、メロディアスかつクラシカル、そしてドラマティックに盛り上がっていきます。踏み込まれるペダルの音、深夜のオペラハウスの雰囲気。珈琲を飲みながら目を閉じると一瞬にして意識が音楽の世界へと旅立ちます。

 

STEVIE WONDER Fulfillingness' First Finale Motown(1974)

 最後は、74年にリリースされたスティーヴィー・ワンダーの名盤『Fulfillingness' First Finale』のラストに収録されている“Please Don't Go”。何せメロディーとコード進行が素晴らしい。スティーヴィー・ワンダーのなかでも僕的にはもっともポップだと感じる曲です。イントロの可愛いコード進行、後半に進むに従って盛り上がるゴスペル的な分厚く華やかなコーラスに、クリスマスに色付く町の雰囲気を感じます。

 

 さて、ブラッド・メルドーとキース・ジャレットを一人部屋で堪能したので、これからスティーヴィー・ワンダーを聴きながら冬の町に出かけたいと思います。2018年もどうぞよろしく。

 


佐藤純一
佐藤純一(FLEET)とs10rwのyuxuki waga、kevin mitsunaga(Leggysalad)という3人のサウンド・プロデューサーと、ヴォーカリストのtowanaから成るユニット、fhánaのリーダー。キーボード/コーラスを担当。TVアニメ「ナイツ&マジック」のオープニング・テーマが収録された最新シングル“Hello!My World!!”(ランティス)が好評リリース中! さらに、来年1月スタートのTVアニメ「メルヘン・メドヘン」のオープニングを飾るニュー・シングル“わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~”も来年1月31日に到着予定。その他の最新情報は公式サイト〈http://fhana.jp/〉にてチェックを!