「第4楽章が完成されなければテ・デウムを」、世紀の未完成交響曲に残した作曲者の遺言を辿ればこの2曲が収められている理由にロマンを感じないだろうか。帝王カラヤンとウィーンフィルが1962年に行ったライヴ録音がArchipelより登場。カラヤンの得意レパートリーとなるブルックナーだが、初期の溌剌とした勢いの演奏は、円熟期の録音に慣れている諸氏には新鮮に聴こえるだろう。音源マスタとして決して良い音とは言い難いが貴重な録音であることは間違いない。帝王が切り取る「Dem lieben Gott/愛する神へ」の交響曲を、テ・デウムで補完された「未完の完」の姿で味わってみてはいかがだろう。