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音楽性が多岐に渡りすぎる3人のそもそものルーツ盤は?

PRINCE & THE REVOLUTION Around The World In A Day Paisley Park/Warner Bros.(1985)

石川のセレクト【1】「リズムマシーンの使い方であるとか、シンセの音色であるとか、ポップ感のバランスとか。ファンクとポップのバランスがいちばん均等が取れてる」作品として、石川がポップソングのお手本とする一枚。殿下盤のなかでもサイケ&ヴィヴィッドな音作りが特徴的か。

 

羽田健太郎 スペースコブラ コロムビア(2003)

石川のセレクト【2】「アニメのサントラなんですけど、最高なんですよ。羽田さんは大野雄二さんを師匠としていらっしゃって、ジャズ的な部分は物凄く〈ルパン三世〉っぽい。でも、そこより注目なのは羽田さんの『西武警察』感。あの、お洒落なブラスの使い方が上手いなあっていう」。

 

VARIOUS ARTISTS Dutilleux Symphony No.1, Metaboles & Les Citations Naxos Classics(2018)

石川のセレクト【3】「アンリ・デュティユーが僕の心の師匠なんですが、“Metaboles”っていう曲がもう、サントラに例えると『ゴジラ対メカゴジラ』的という(笑)。〈ドカーン!〉っていうオーケストラの和音の塊のなかに凄く美しい響きがある。おもしろい作曲家です」。

 

ナンシー梅木 The Early Days 1950-1954 ビクター(2001)

石川のセレクト【4】「彼女が日本人で初めてアカデミー賞を獲った映画『Sayonara』の劇中で歌ってる同名の曲が凄く良く出来てまして。日本の感覚? ヨナ抜き音階っていうか、外国人がイメージした日本の音楽、オリエンタリズムにくすぐられます。異様なわざとらしさがあって(笑)、そこがいい」。

 

細野晴臣 omni Sight Seeing エピック(1989)

フジムラのセレクト【1】「たぶん、僕がこれまででいちばん聴いた作品かな。高校ぐらいから音楽を聴き出してYMOを知り、で、細野さんが新作を出すことを知って聴いてみたらいきなり民謡から始まって、〈何だこれは!?〉と。ワールド・ミュージックというか、音楽を掘り出すきっかけになった一枚です」。

 

フジムラのセレクト【2】「クラフトワークのなかでもこの作品のどこが凄いかって、自分たちの曲をちゃんと今風に……当時の今風にですけど、リアレンジできるんだってところ。世代的にもけっこう上の方ですけど、しっかりそういう感覚を持たれてるのは凄いなあって。好きな音もいっぱい入ってます」。

 

BJORK Homogenic One Little Indian(1997)

フジムラのセレクト【3】「〈アヴァンギャルドとポップのギリギリをいく〉っていう、僕がテクノボーイズでめざしているところの一つの頂点が本作かなと。当時のテクノのニュアンスも入ってて、構成が前衛的な部分もあるけど、あの声で聴きやすく持っていくっていう。僕の指針としてずっとある作品です」。

 

STEVE REICH Octet, Music for a Large Ensemble, Violin Phase ECM(1980)

フジムラのセレクト【4】「高校時代、芸大を受験しようと思って石川さんに現代音楽のおススメを訊いたとき、いろいろ教えてくれたものの一つがスティーヴ・ライヒの“Large Ensemble”。電話越しに聴かせてもらって〈めっちゃいいやん〉と。テクノ好きは入りやすいですよね」。

 

高野寛 TIMELESS PIECE BEST OF HIROSHI TAKANO ユニバーサル(1992)

松井のセレクト【1】「テクノボーイズっていう括りだと、まずは高野さん。メロディーのポップセンスがずば抜けてると思うんですよね。最初に僕が作ったのも“虹の都へ”の影響を受けすぎてる曲で、“夢の彼方へ”っていう(笑)。僕のポップスの原点はほぼこのベスト盤に入ってます」。

 

ゴダイゴ GODIEGO GREAT BEST 1 コロムビア(1994)

松井のセレクト【2】「日本語の曲を英語でカヴァーするっていう、テクノボーイズにおける今の僕の作詞スタイルを作ったのは間違いなくゴダイゴ。このベスト盤も日本語と英語ヴァージョンがそれぞれ出ていて凄い。あと、シンセサイザーの飛び道具的な、アイコン的な使い方も影響を受けてると思います」。

 

ARTO LINDSAY Noon Chill gut/フォーライフ(1997)

松井のセレクト【3】「さっきもビョークの分水嶺の話をしましたけど、僕にとってはこれが、どうやったらアヴァンギャルドにいけるんだろうっていう最初の道を示してくれた作品。特にノイズ・ギターの影響は受けてますね。“WHIMSICAL WAYWARD WISH”で目立ってるギターは完全にそう」。

 

THE BEATLES The Beatles Apple/EMI(1968)

松井のセレクト【4】「ジョン・レノンは僕のなかで避けて通れない道で、特に〈音楽って何やってもいいんだ〉っていう、自由度が極まった作品がこれだなって。『MUSIC FOR ANIMATIONS』も近いぐらいのヴァリエーションはあるんじゃないかな。言わば、テクノボーイズの〈ホワイト・アルバム〉ですね」。