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バラカン「では、引き続き他の出演者について話していこうかな。今回の〈LIVE MAGIC!〉は、10月22日(火)に那覇でも開催するんですが、そこにもいっしょに行くのがすずめちゃんです。フルネームは、J・ラモッタ・すずめといいまして、イスラエルの若い女性です。20日の日曜に出演します」

J・ラモッタ・すずめの2019年作『Suzume』収録曲“If You Wanna”

バラカン「みんな、なんで〈すずめ〉って名乗っているの?って不思議に思うみたいですが、とても長い理由があって、すべてアルバム『すずめ』(2019年)のライナーノーツに書かれているのでぜひチェックしてみてください。去年ブルーノート東京でのライヴを観たんですが、あまりに良かったもので、終了後に楽屋へ行き、〈来年の10月って何してますか?〉って訊いてしまった(笑)」

鮎川「へ~、楽屋で決めてしまったんだ」

バラカン「そういう出会いってあるんだね。毎年そういう出会いが積み重なって、〈LIVE MAGIC!〉の歴史が豊かになっている、そんな気がしています」

鮎川「ねぇねぇ、ピーター、OKI DUB AINU BANDのOKIさんのグループ、Amamiaynuの音はないの?」

バラカン「あるよ。聴いてみましょうか」

Amamiaynuの2019年作『Amamiaynu』

鮎川「康太は朝崎(郁恵)さんのこと知ってたんだよね?」

大江「ハイ、民謡とか民族音楽も大好きなので、彼女の音楽とか耳にしますね」

バラカン「奄美大島の朝崎郁恵っていう80代の民謡歌手と、突然いっしょにやることになったんだってOKIから連絡が来てね。きっかけは何だったのか、また今度じっくり聞こうと思ってますが」

鮎川「(朝崎の声に聴き入りながら)素晴らしいねぇ」

大江「めちゃめちゃイイですね、これ」

バラカン「アイヌ音楽の響きと奄美民謡の響きはぜんぜん違うはずなのに、不思議なぐらい違和感がない。だからライヴで聴くのがすごく楽しみ」

鮎川「以前、細野さんのスタジオでOKIさんと会ったことがあるんよ。〈クワイエットヴィレッジ〉っちゅう細野さんの自宅の地下室にあるスタジオで」

長門「マーティン・デニーのヒット曲だね」

バラカン「それから、急遽出演が決まった人を紹介します。アルゼンチンのフアナ・モリーナという女性アーティストで。この前、ライヴの動画を観たんですが、すごいんですよ。ギターとキーボードという編成なんだけど、ループを使って自分の声をいくつも重ねながらおもしろい音楽を作り出していくという。

彼女は20日に出演するんですが、この日は出演者が多すぎて、タイムテーブルに収まらなくなってしまっていて。だから当日は前倒しで11時半に開場することにしました。で、12時半から、こちらも新たに決まったコエーリョ&リドネルというブラジル人とアメリカ人のデュオが演奏します。詳しい情報はウェブサイトを確認してください」

長門「じゃあ最後に、今日出演した3人の曲をそれぞれご自身にオススメしてもらいましょうか」

鮎川「なんでもいいよ。ピーターが好きなのをかけて」

バラカン「じゃあ、僕が代わりに選ばせてもらいます。これ発表当時に持ってなかったんだけど、最近聴いてすごく気に入ってて。細野さんがプロデュースしたアルバム『@HEART』」

鮎川「OKIさんと会ったのはそのアルバムのレコーディングだったんだよ」

バラカン「そうだったんだ! そのなかから“OLDSMOBILE ROCK”を聴いてもらいましょう」

シーナ&ザ・ロケッツの97年作『@HEART』収録曲“OLDSMOBILE ROCK”

バラカン「(歌詞に〈ハリーのスタジオに向けてまっしぐら/ハリーのスタジオは一晩中やってるから〉という一説が登場して)オールズモービルを持ってたことがあるの?」

鮎川「あのね、この頃シーナがオールズモービルに乗りよったんよ。〈買おうぜ!〉ってなって、中古車情報誌買って調べたら、東京では一台しか売ってなくて、町田まで買いに行った」

バラカン「へぇ~。ロケット88じゃないよね?」

鮎川「ではないけど、88の流れを引き継ぐコンパーチブルのやつ。でも、エンジンの音はブルル~ンってすごかったよ。当時シーナは免許取りたてやったんやけど、なんか買おうって考えたとき、ビューイックとかロックの名曲に歌われたような車にしたらええんじゃないかと思ってね」

長門「歌詞の〈ハリー〉っていうのがハリー細野のことだね」

鮎川「そう。あのレコーディングのとき、コンピューターを使う細野さんをもう一度見たくて、引っ張り出したっちゅうか、そうお願いしたわけ。YMOの頃から20年近く経ってたけど、そういうタイミングで細野さんが俺たちの曲にどんなビート入れてくれるか興味があった。それにリサイクラーとかいうアプリケーションを使えば、モータウンのどれどれの曲で聴けるドラムの音色をすぐ取ることもできたから、いろいろ試したりして。ソファーに座った細野さんが生音でベースを弾き、俺がギター弾いてシーナが歌って、ジェイムズ・ブラウンの“Think”のカヴァーもやったね」

バラカン「じゃあ続いて濱口さん。あまりにいろんなスタイルでやるからどの曲をかけるのがいいのか」

濱口「あんまり自分の演奏聴きたくないんやけどの。なんでもええですわ。照れくさいのう」

鮎川「照れくさいのう、自分で聴くのはやっぱり」

バラカン「じゃあ“Caravan”でいこうか」

濱口「おぉ、これは名演やで(笑)」

濱口祐自の2015年作『濱口祐自 ゴーイング・ホーム』収録曲“welcome pickin’ ~ caravan”

バラカン「濱口さんのアルバムに細野さんが参加していますよね」

濱口「プロデューサーの久保田麻琴さんからの紹介で、1枚目のアルバム(『濱口祐自フロム・カツウラ』)で何曲かベース弾いてくれとるんやけど」

バラカン「2014年に〈フロム・カツウラ〉で登場して、翌年には2枚目の〈ゴーイング・ホーム〉が出て……」

濱口「もう勝浦へ帰らせてもらうわ、っていうことでの」

バラカン「(笑)。その後レコードが出ていないという」

濱口「最近ストレスもたまっとるし、また自主制作で作らせてもらいますわ。なんせすべて我流やから、作業が遅いんや。コンピューターとかよう使わんのでね。ギター・ソロは一発録りせなあかんのやけど、えらい(=大変)んや」

バラカン「楽しみに待ってます。では最後に、大江さんの曲は、ビル・ウィザーズのカヴァー“Kissing My Love”でいきましょう」

The Kota Oe Bandの2016年作『Gather Round the Fire』

バラカン「というわけで、今年の〈LIVE MAGIC!〉も例年通り、音楽的な充実度はかなりのものだと自信を持っています。みなさん、ぜひ観に来てください。鮎川誠さん、濱口祐自さん、大江康太さん、今日はどうもありがとうございました」

 


LIVE INFORMATION

Peter Barakan’s LIVE MAGIC! 2019
2019年10月19日(土)、20(日)東京・恵比寿 ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール、ザ・ガーデンルーム
10月19日(土)
開場/開演:12:00/13:00
10月20日(日)
開場/開演:11:30/12:15 ※10月20日(日)は開場/開演時間を早めることとなりましたので、あらかじめご了承ください
一日券/2日通し券:12,000円(学割9,000円)/21,000円(学割15,000円) ※すべて税込/オールスタンディング
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LIVE MAGIC! EXTRA in OKINAWA
2019年10月22日(火)沖縄・那覇 琉球新報ホール
開場/開演:18:30/19:00
前売り/当日:6,000円/6,500円 ※全席指定
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