さまざまな愛の形が音楽になって一枚のアルバムが生まれた。積み重ねてきた物語を越えるさらに広い地平をめざして、10人の奏でる愛のパレードは続いていく……

 4月に“ブランニューパレード”で晴れやかにメジャー・デビューし、5月にはナルハワールド加入を踏まえた野音ツアー、6月にはデジタル限定EP『THE MUSIC AND THE GAME CREATES MAGIC』の配信、そして8月には根本宗子の作・演出によるミュージカル「プレイハウス」主演……と新たなチャレンジを軸に進んできたGANG PARADE。9月からは現体制で初の全国ツアー〈PARADE GOES ON TOUR〉をスタートし、そのファイナルで中野サンプラザ公演も控える11月には、実に今年2枚目のアルバムとなるメジャーでの初作『LOVE PARADE』が登場します。大きな分岐点に立つ10人が新作に込めた思いを訊きました(取材は9月のツアー開始直後に行いました)。

GANG PARADE LOVE PARADE FUELED BY MENTAIKO/ワーナー(2019)

 

最高の夏の思い出

——9月からツアーが始まりましたが、夏は舞台に初挑戦されたりいつもと違う忙しさがあるなかで、早くライヴしたいっていう焦りみたいなものはなかったですか?

ココ・パーティン・ココ「たぶん昔の自分だったら凄いそれで焦ってたと思うんですよ。〈ああ、他の人たちはめっちゃライヴしてるのに〉とか。ただ、この夏は『プレイハウス』にゾッコンだったっていうか……」

カミヤサキ「ゾッコン(笑)。まあ、現実的にもね」

ココ「現実的にもだし、気持ちも入り込んでたので、〈ライヴやりたいぜ!〉みたいなテンションになる時はほぼなかったです」

——とはいえ夏にライヴが多くなかったぶん、やっぱりファンの皆さんの側は待ち焦がれてたでしょうね。

カミヤ「はい、ツアー初日の横浜公演を終えて、自分たちが思う以上にお客さんの期待値や熱量が凄い高まってたのを実感しました。もう、出た瞬間の歓声だったり、みんなが作ってくれている会場の空気感っていうものをめちゃめちゃ感じてしまって」

ココ「会えない時間が愛を育む、みたいな(笑)。なんで、ツアー初日は溜め込んでたものを凄いぶつけられたし、ぶつけ返したし、そういう気持ちを凄く感じました」

テラシマユウカ(ユユ)「『プレイハウス』をやってから、私たちを前情報ナシで観てくれる人がいるっていう状況が新鮮で、これまでの私たちのストーリーとか関係なく人の心を掴めるようなパフォーマンスを求められてくる度合も大きくなってきたなって思ってます。だからこそ、このツアーではもっとレヴェルを上げていかなきゃいけないし、ライヴがない期間に待ってくれてる人の反応を見て、自分が認識している以上に愛されてるんだなって思ったから、それを何倍にもして返していきたいなって思いました」

——ナルハさん加入後の最初の全国ツアーでもなりますよね。

月ノウサギ「自分の中でいろんなものが昇華されたのも1年前の〈REBUILD TOUR〉だったし、私もそこでみんなとの距離が縮まったなっていう経験もあるので、初めてのツアーはナルハにとって凄く大事なものになると思います」

カミヤ「ここでナルハの纏ってる殻が壊せたら絶対グループの色も変わると思うし、全員がぶっ壊すものを持ってるとは思うんですけど、たぶんナルハがいちばんブッ壊し甲斐がある段階だと思うので(笑)、そういうのもツアーの醍醐味としてひとつあるなって」

——まあ、まだ猫かぶってるんですもんね?

ナルハワールド「そうなんです、少しだけ(笑)」

キャン・GP・マイカ「少しだけ~?」

ユユ「最近ちょっと突っつくんですよ。ちょんちょんって突くと〈おっ、なかなかええもん持ってるな〉って感じるので、これが出てきたら凄いおもしろいと思う」

ナルハ「私がここにいる意味をちゃんと見つけるツアーにしたいと思います」

——一方で夏の間には“LOVE COMMUNICATION”のMV撮影でハワイに行かれてたんですよね。

マイカ「はい。〈ギャンパレ999〉という企画でビンゴを達成して叶ったハワイ行きで。撮影だけど船ででっかい魚を釣ったり夏休み気分マックスでした」

ナルハ「初ハワイ楽しかったです。加入前の企画のご褒美なのに、撮影ということで私も行かせてもらうことができて、ありがとうございますという気持ちでした」

月ノ「これでもかってくらい夏らしいことをやりまくりました(笑)。MVにも映ってるんですが、道中にいっぱいあるバスケコートで遊んだのが、よく映像とかで見てた憧れの画だったのでテンション上がったし、その後に屋台みたいな場所で買ったアイスが死ぬほど美味しかったのも思い出です」

ヤママチミキ「MV撮影という名目はあったけど、撮影している感じが全然なくて、ただただハワイを楽しませていただきました。いままで生きてきて夏らしいことをあまりしてこなかったので、それをメンバーとできたのも嬉しかったし、楽しさが倍増したかなと思います。最高の夏の思い出のひとつです」

カミヤ「これは振付けも実はハワイで作ったんです。初日にMVの監督さんとお話して振りを考えたんですが、製作陣の方とディスカッションをしてから作るのが初めてで。開放的な空気を感じてイメージもより膨らんだし、ハワイの雰囲気をそのままに詰め込んだ振りができたかなと思います」

——その“LOVE COMMUNICATION”はすぐにツアーでも披露されました。

ココ「私のお決まり?になってきた英詞のポエトリーがあったり、夏を連想させるワードがたくさんあったり、ちょっぴり卑猥な部分もありでおもしろい曲です」

ユメノユア「歌詞は仮歌からだいぶマイルドになったんですが、ヨウタ颱風(ハリケーン)さんらしい歌詞で楽しく歌えました。レコーディングも元気に明るく、いままでとは違うテンション感で歌いました」

ユイ・ガ・ドクソン「シンガロングする部分も多めで、歌ってるととにかく笑顔になっちゃいます」

カミヤ「歌詞や楽曲はユニークでポップな印象が第一にあると思うのですが、終わってしまう夏がすごく楽しかったことを思い出すような、切なさも感じます。どこか泣けてしまうサウンドというか……そんな松隈(ケンタ:サウンド・プロデューサー)さんの音楽をしっかりパフォーマンスで再現できたらと思いました。ツアー初日からお客さん全員がタオルを振り回してくれて圧巻の光景だったので、いつか野外のフェスなどでもやってみたい曲です」

 

愛について

——では、ニュー・アルバムの話に入りますけれども、まず今回は真っ白な衣裳や白塗りのヴィジュアルが印象的で。

カミヤ「今回はいままでのアルバムでいちばん一貫性のあるコンセプトで、“らびゅ”のMVもアーティスト写真と同じヴィジュアルで撮ってたりして、このヴィジュアルのちょっと不思議な感じと、神秘的な雰囲気のMVもあって、『LOVE PARADE』がより多くの人に印象付けられるんじゃないかなって思ってます」

——唇のジャケも意味ありげですね。

カミヤ「ジャケットで〈LOVE〉をどう表現するかアートワークを凄く考えてくださって、ハートのモチーフを唇に当てはめたり、あの、女性器に当てはめたり(笑)。愛の入口と出口で作ってくださったっていう」

ユユ「愛の象徴で〈母〉みたいな」

——そういう意図があるんですね。もともと『LOVE PARADE』っていうタイトルやテーマが最初にあったんでしょうか?

カミヤ「曲が先でしたね。“らびゅ”が出来た後に『LOVE PARADE』っていうタイトルが決まったので。愛についての歌詞が多かったのも、偶然ですけど凄いなと」

ユユ「“らびゅ”がいちばん最後ぐらいに出来た曲で」

ユア「野音の1か月後くらいからアルバム制作が始まって、6月末とか7月頭くらいにレコーディングして、って感じでした」

——その“らびゅ”がオープニング曲で。

月ノ「はい。タイトルにある〈LOVE〉をアルバムの中でいちばんまっすぐに表した曲じゃないかなと思います。毎回レコーディングは松隈さんの決めた順番で歌を録るんですが、この曲は初めて1人目で歌いました。〈1人目は指針になるから大事だよ〉って松隈さんに言われて、いつもより緊張しながら歌った記憶があります(笑)。いちばん好きな歌詞がサビ終わりの〈今、今が最高 こえてくけど 枯れる前にLOVE〉という箇所なんですけど、そこの歌割をいただけてすごく嬉しいです」

カミヤ「いままではギャンパレの背景を知ってる方が聴いて、より深みを増す世界観の曲が多かったと思うんですけど、“らびゅ”は何の情報もなく聴いてもスッと入ってくる曲かなって。メジャー初のアルバムに相応しい、広がっていく曲かなって思ってます」

——曲名だけ照れ隠しっぽいですけど、JxSxKさんの歌詞もかつてなく素直な感じというか。

カミヤ「超ストレートですよね。歌詞もシンプルでパッと耳にしても聴き取りやすい言葉がいっぱい入っていて、いろんな方に伝わりやすいと思います。じわっと心が温かくなる、凄い良い曲で」

ヤママチ「直球すぎて少し気恥ずかしい感じにもなるけど、こんなに直球で想いを歌うことがいままでなかったので、誰かに伝わるといいなと思って歌っています」

——“ブランニューパレード”の10人ヴァージョンが続いて、次の“Wake up Beat!”は舞台の「プレイハウス」から生まれた曲ですね。

ヤママチ「そうです。いつもはメンバーやWACK周りの方の作詞がほとんどなんですけど、今回は根本宗子さん作詞ということでまったく違う感じになって。ミュージカルのための曲なので観た方はより楽しめると思うのですが、観てない人でも一緒にめちゃくちゃ盛り上がれる、凄いハイテンションな曲です。ラップのパートだけ歌詞を書かせていただいたんですけど、まだ台本もない状態で書いたので、〈私の想像する『プレイハウス』〉みたいになってます(笑)」

ユア「合ってるもんね、でも」

ヤママチ「〈ダメ男に引っ掛かってる女の子〉みたいなイメージで書きました」

——曲自体も賑やかな雰囲気というか、ハロー!プロジェクトっぽさがあって。

ドクソン「ああ、マイカが最初に言ってました」

マイカ「そう! 仮歌を聴いた時から〈イントロからめっちゃハローっぽい!〉って思って。サキちゃんが〈振付けする?〉って言ってくれたんですけど……そこはちょっと私のキャパ・オーヴァーで(笑)」

カミヤ「そう、ハロプロっぽくしたいんだろうなとは思ってたので、サビにそれっぽい動きを入れたりしてますね」

——WACKの詞はほぼ性別が明示されないので、女性目線の歌自体が新鮮ですよね。

ドクソン「良い意味でWACKっぽくないし、女がここまで強い歌詞の世界観っていうのが珍しいし、楽しい」

月ノ「メンバーなら絶対書かないような歌詞なので、歌うのがとても楽しいです。女の子にいっぱい共感してもらえるんじゃないかなあと思います」

ハルナ・バッ・チーン「起床してすぐ聴きます。私は朝の支度をノロノロしてしまうんですけど、これを聴くといつもの半分くらいの時間で準備が終わります」

——(笑)。続く“ALONE”はユアさん作詞です。

ユア「はい。これは日頃SNSなどを見て思うことを書きました。何か、人が自殺しようとしてる動画とか、女の子がホストの人を刺しちゃった事件とか画像がめちゃくちゃ回ってたじゃないですか。みんな何でも写真撮ってSNSに上げるけど、〈それでいいのかな?〉って思う時がたまにあって、何でもかんでもおもしろがったりするのは違うんじゃないかなって。SNS時代かもしれないけれど、そのなかでも人間らしくいたいなっていう」

ドクソン「モラルが崩壊してるね」

ユア「でもそういうのって、たぶん誰かにかまってほしいとか、存在を認められたいっていう気持ちが根底にあるんじゃないかなって思って、だからサビも〈愛情〉って言葉を入れたりしました。メロディーがかっこいいので、作詞できて嬉しかったです」

——曲自体もカッコイイですよね。ちょっとhideさんを思い出す曲調でもあり。

カミヤ「そうなんですよ、私も聴いて3秒ぐらいで思いました。ホントにhideさんが好きな方なら誰もがピクッてなるようなサウンドだし、歌えるのがホントに嬉しくて。なので、曲の世界観とhideさんの奇抜なところが合うんじゃないかなと思って、そういう動きも個人的なイメージで振りに入れてみたりしました」

——間奏ではマイカさんとナルハさんの見せ場がありますね。

カミヤ「まさにユアが言った事件をダンスで表現したくて、喧嘩してる男女の振りを入れたいって言ったら、マイカがイイ感じに動きを付けてくれました。間奏の後でナルハが歌うんですけど、ナルハがマイカを刺します(笑)」

マイカ「やられます」

ユア「あと、〈カメラ構えて〉って歌うところで、サキちゃんをみんながスマホで撮ったり、歌詞に合った振りになってます」

カミヤ「狂気的な振付けにしようと思って」

——ユアさんは“Ready Go!”も作詞されてますが、違う意味で狂気的ですね。

ユア「はい。こっちは歌詞カードを見てビックリさせようと思って。めちゃくちゃ言葉遊びがんばって、自分でも〈あ、これめっちゃ書けた〉って書きながら一人で興奮してたんですけど(笑)」

ココ「高度、高度、技が」

ユア「ありがとう(笑)。私はCD凄い買うから、改めて歌詞カードのおもしろさとかも感じてもらいたいなっていう遊び心を入れてみました。これまで私の歌詞って自分たちを書くことが多かったのですが、今回はそうじゃなくて、さっきの“ALONE”も含めて日頃感じてることを書こうと思って。“Ready Go!”は社会とか会社で葛藤してる人ってこういう感じなんじゃないかなっていう思いで書いてて、暗号みたいですけど全部ちゃんと意味があるから、興味がある人は解読してほしいし、あんま意味がわかんなくても曲がカッコイイから、深いことは考えず聴いて楽しんでほしいです」

月ノ「超個人的に曲調がいちばん好みです。いままでギャンパレにありそうでなかったロックで激しい曲で、バンド好きな方にも刺さると思うし、こんな曲もできるのか!ってビックリしてもらえたらいいなと思います」

——こういうゴリゴリな曲調ってギャンパレにはなかったですし、歌詞の難解さもあって歌うのも大変そうですね。

ココ「はい。ラウド系でバチバチに超カッコいいけど、レコーディングはいちばん難しかった」

ユユ「ベロが追いつかへんかったな(笑)」

 

まっすぐな気持ち

——そんなユユさんは“Youthful Hero”を作詞されています。

ユユ「はい。これはナルハが入ってきたからこそ書けた歌詞で、ナルハの作詞した“Wonderful World”が最初に歌詞が決まってたのかな? それを見たらナルハにしか出せないまっすぐな言葉にビックリしたのもあって、感化されて“Youthful Hero”を書きました」

カミヤ「うん。ストレートだなって思った」

——いままでのユユさんの作詞と比べても皮肉ゼロみたいな。

ユユ「そうなんですよ、自分がいままで作詞してきたやつ、けっこう薄汚れてたなって思って(笑)。伝えたいことをわざとわかりにくく言葉を置き換えたり、ちょっと回りくどくしてみたりするんですけど、今回は誰が見ても同じ意味で伝わるように言葉をはめてみました。自分も過去にそういう気持ちがあって、もしかしたらナルハがいま感じているかもしれないなってことだったり、〈大丈夫だよ〉って気持ちだったり。ナルハだけじゃなくて、何かに悩んでたり、やりたくても踏み出せないことがある人は多いと思うんですけど、その場で足踏みしてるだけじゃどうにもならないから、そういう人が一歩踏み出せるきっかけの曲になればいいなと思って書きました」

ナルハ「いま初めて知りました。素直に嬉しいです(笑)」

ユユ「ナルハってそんなベラベラ喋るタイプじゃなくて、一緒にいるうちに徐々に見えてくるものもあったんですけど、自分が思ってたより、もっとまっすぐなんだなって改めて実感させられたっていうか……ホントに素晴らしい子だなって(笑)」

ココ「ユユには珍しいストレートな歌詞が新鮮で、でもそれも凄くハマってる。アップテンポなのに少し切ない気持ちも見え隠れする曲です」

——はい、“Ready Go!”の次は問題作の“FAKE and FANTASY”ですね。

ドクソン「大好きです。あの、まだ詞がはまってない最初のデモの状態からいちばん好きで。やっぱり私は脳に刻むビートみたいなのが好きみたいで、この曲はちょうど良く脳が喜ぶビートで、歌う時もいつもの自分じゃなくて、それこそ『プレイハウス』の風俗嬢じゃないですけど、ちょっと違う自分になりきって歌いました」

ココ「これは全員一発録りだったんです」

カミヤ「そう、録り直しなく、〈好きに歌っていい〉って言われて丸々1曲歌いました」

マイカ「つるっと歌って終わり」

ココ「私ビリー・アイリッシュが好きなんで、それっぽいじゃないですか? めっちゃアガって。レコーディング前はずっとビリー・アイリッシュ聴いてました(笑)」

ドクソン「みんなそれぞれの“FAKE and FANTASY”のイメージがあったから、好きなようにやらせてもらって、それが散りばめられてます」

ユユ「聴いただけでは誰の声かわからんところがいっぱいあって、〈あっ、こんな歌い方できるんや〉って新しい発見もあった」

——この1分40秒っていう尺で、フッて終わってしまうのもいいですね。

ドクソン「そうなんですよ。“CAR RADIO”も好きなんですけど、名残惜しい時に終わっちゃうのが良くて。〈もうちょっと聴かせてくれよ~〉って引っ張られるし、凄い中毒性のある曲です」

——続く“POISON”は久々にココさんの作詞ですね。

ユユ「“WINTER SONG”以来やな」

カミヤ「単独では初じゃない?」

ココ「GANG PARADEとしては、単独で初です。SiSではけっこう書いてたけど(笑)。えっと、これはBメロのラップの部分に日本語をハメるのがめっちゃ難しくって、いろんなヒップホップ聴いて書きました」

ドクソン「ヒップホップ好きやもんな。ココのまた知られざるいろいろが詰め込まれてますね」

ユユ「ココのイメージって〈ポジティヴ〉だと思うんですけど、また違う面がよく出てるなって。うちらだけが知ってるようなココが出てておもしろいなって思いました」

ココ「これは完全に〈ココ・パーティン・ココ〉っていうポジティヴなキャラクターじゃなくて、超イライラしてる時に普通にムカつくこと書いたって感じなんですけど(笑)。いつもの私とはひと味違った形を作詞で届けることができるので嬉しいです」

月ノ「〈LOVE〉とは少し違うものを世の中に向けていて、人が誰しも持っている、綺麗じゃないかもしれないけど何より素直な気持ちが吐露された内容に共感したり、聴いてスカッとする人も多いんじゃないかなと思います。曲調がバリかっこいいのでライヴで披露するのが楽しみです」

ヤママチ「レコーディングの時にいちばんカッコつけて歌ったかも……っていうくらい、かっこいいというイメージが強い曲です」

マイカ「これは私が振付けするので、ココにいろいろ話を聞いて考えています」

——じゃあ、続いてはツアー初日から披露されている“Plastic Smile”。これはハルナさんがフィーチャーされて。

カミヤ「そうなんです。とても可愛いんですよ(笑)」

ドクソン「〈スーパー・ハルナ・タイム〉やもんな」

ハルナ「はい、間奏で〈わかってもらえないダンス〉をしています。現代の曲なので、ぜひ令和を生きる皆さんに聴いてほしいです。言葉にできてそうで意外とできていないような歌詞で」

——歌詞もちょっと切ないというか、SMCのSHiLLさんが作詞されてますけど、皆さんに凄くフィットしてる感じがしました。

ナルハ「〈私のことを歌ってるんじゃないか〉って思うくらい共感できる言葉がたくさんありますね」

月ノ「歌っていてスッと感情移入できるし、何か〈わかるなあ〉って。ライヴ中にサビで若い男の子が泣きながら聴いているのが見えて、〈あ、こういう刺さり方をするんだ〉って思ったのをよく覚えています」

カミヤ「曲調は可愛らしくて明るいのに、ちょっと哀しい雰囲気も入ってて。歌割でハルナが印象的なパートを歌ってたので、ハルナをフィーチャーしたら曲の世界観がより伝わるんじゃないかなって。思わずニコッとしてしまうようなところが狙いだったので、初披露の時からお客さんも盛り上がってくれて良かった」

ハルナ「お客さんが優しかったです」

ココ「ハルナが踊ってる間うちらは全員後ろ向いてるんで、スポットで照らされてウニョウニョしてる影だけ見てる」

マイカ「カワイイよね」

ドクソン「がんばって踊ってる影を見てるんですよ。ちなみに、ナルハもニヤニヤしてました、その影を見て」

ナルハ「いや、可愛かったんですよ」

 

確かな愛を届けていく

——はい、そしてさっきも話に出たナルハさん初作詞の“Wonderful World”ですね。

ナルハ「はい、ずっと作詞をやってみたくて、初めて書かせてもらいました。簡単に言ったら応援ソングみたいな感じなのですが、たぶん誰もが一回は感じたことあるんじゃないかっていう気持ちも言葉に込めたりして」

ココ「そう、誰もが絶対あったんですよ、こういう気持ちって。とうの昔に忘れてたことをナルハが思い出させてくれた。〈こんなことあったよね?〉って」

ドクソン「いや、ホントに引き戻してくれた。タイムマシーンみたいな曲」

ココ「2番のAメロの歌詞が自分に凄く当てはまって、レコーディングは松隈さんに励まされながら、涙しながら歌いました(笑)」

ユア「いまのナルハだから書ける歌詞に胸がギュッてなるし、私も“Happy Lucky Kirakira Lucky”とか“WE ARE the IDOL”を書いた時を思い出したりしました。初心がこうして曲になるのは宝物だと思うので、私たちも大切に歌い続けていきたいです」

——はい。ラストには“LOVE COMMUNICATION”が入って、今回も感情豊かでカラフルな作品に仕上がりましたね。

ドクソン「さまざまな愛の形が音楽になって、一枚のアルバムとなっています。それぞれまったく違う色の曲かと思いきや、実は共通点があって、一枚を通して楽しめるアルバムになったと思います」

ユア「たくさんの方々の愛が詰まった作品です。歌詞もいろんな方が書いてくださってて、その良さがすごくあると思うし、メインを2人や3人で歌うパートも多くて、そこも新たな聴きどころかなと思います。メンバーの個性のようにさまざまな個性溢れる愛を表現した作品です。愛も自由だと思うけど、ギャンパレにかける愛、そしてギャンパレがみんなに届けていく愛は確かなものだと思います」

——はい。話は変わりますが、サキさんのソロ曲“still...”も制作中だそうですね。どんな曲になりそうでしょう。

カミヤ「曲調に関しては、松隈さんが私の声に合うと思う!と言って選んでくださった曲になっています。〈サキがウェディングドレスを着て、海に飛び込むイメージばい!〉と仰ってました」

ヤママチ「まず曲が綺麗すぎて鳥肌が立ったんですけど、サキちゃんのいままで表に出してこなかったものが書かれた歌詞と少し寂しげな歌声との相乗効果が凄すぎて泣きそうになりました(笑)」

——作詞も自分で?

カミヤ「はい。約6年半の活動を経験してきたなかで、いつかは伝えたかった思いをストレートに書きました。心が折れそうなことって誰もが経験すると思うんですが、そんな人にただ〈がんばれ〉と言うのではなく、寄り添えるような言葉になったらと思います」

——そちらも楽しみですね。で、この記事が出る頃にはツアーもファイナルの中野サンプラザを残すばかりです。

マイカ「中野サンプラザは人生で絶対に立ちたかったステージの一つで、いつも客席側から見てきて当日どんな景色が見れるかわからないけど、圧倒的にかっこいい姿を見せたいと思います」

月ノ「アイドルという存在でありつつも、さらに広い世界に出て行けるかがかかっていると思うので、〈GANG PARADEはもっと広い世界に飛び出すぞ〉ということを皆さんに示せるようなライヴを中野サンプラザでしたいです……します!」

カミヤ「このツアーで本来あったグループとしての強みだけでなく、メンバー個々の存在感も強まっていると思うので、これからはグループ感に加えて、一人一人がそれぞれのやり方で最大限にGANG PARADEの音楽を皆さんに届けていきます」

 

GANG PARADEの2019年の作品。

 

GANG PARADEのアルバム。