ケンドリック・ラマーなどさまざまな客演でも名を上げた実力派MCのロック・ネイションでの2作目は、“Oprah”や“Whoopi”といった曲名からもわかるように、偉大な業績を残した黒人女性たちへ捧げるコンセプト・アルバムだ。アリーヤの楽曲を引用して本人を讃える“Aaliyah”、GZAとディアンジェロを迎えて90sヒップホップ臭を醸す“Ibtihaj”など、83年生まれの彼女らしい憧憬が溢れ出た内容は、世代感の共有や予備知識があるとさらに楽しめるはず。加えて、張りと潤いがあって滑舌もいいラップそのものや、9thワンダーらによるサンプリング・ビートはオーソドックスな魅力に満ちているし、女性のエンパワーメントという普遍的なテーマも相まって、永く愛聴されつつ将来的にも評価を高めていきそうな一枚だ。