EASTOKLAB日置逸人の極私的金字塔

Last Days Of April『Ascend To The Stars』きっと全ては解決していくし、また始まっていく

Last Days Of April『Ascend To The Stars』きっと全ては解決していくし、また始まっていく

「新型コロナウイルス感染症拡大防止のため開催を中止致します」という言葉を、もう何度見たことだろう。楽しみにしていたイベントが中止になり、新譜の発表に向けて進めていた予定が次々となくなり、人間としての根幹的な生活も満足にはできなくなってしまい、新年度になったことも全く考えになかった。いつのまにか4月になって、季節もすっかり変わっている。

家から真っ直ぐ歩いて角を曲がったところにあるスーパーと自宅の間を往復するばかりの生活になった。通り道の公園には大きな桜が咲いていて、それが何故か例年よりも綺麗に見える。家に帰ってテレビをつけると同じニュースが延々と続いている。スマホを手に取ってSNSを見ると同じ文章が延々と並んでいる。ベッドに横になって音楽を流すとiPhoneの小さなスピーカーから流れる僅かな低音でマットレスが小さく揺れていた。それは、どうにもならない大きな何かに抵抗してるみたいな、とても小さな振動だった。

沈んでしまいそうな心を何とか引き上げようと、大好きなLast Days Of Aprilの『Ascend To The Stars』を聴く。4月になったらこのアルバムについて書こうと思っていたけれど、4月になっていたことなんてすっかり忘れていた。その日は重い筆をどうにも取れず、更新も随分と遅れてしまった。

LAST DAYS OF APRIL Ascend To The Stars Bad Taste(2002)

いかにも北欧らしいメロウな歌と、胸に迫るような切迫感が堪らなく好きで、何となくエモい夜とかに無性に聴きたくなってしまう。いつ何処で知ったのか全然覚えていないし、全てのディスコグラフィーを熱心に聴いているわけではないけれど、この『Ascend To The Stars』は格別で、全部の曲を歌えるし、頭の中で鳴らせる。シンプルだけれど、他には替えの利かない美しさを持った僕にとって特別なアルバムだ。

なかでもM-7“All Will Break”がいっとう好きで、イントロからアウトロまで涙なしでは聴けない。

グッと引き寄せるようなリフから、耳馴染みのいい優しげなヴァース、胸を刺すように鋭いコーラス。シンプルな構成だけれど何度聴いたって変わらずカッコいいのは、メロディーとそれに引き合うアレンジが本当に素晴らしいからだと思う。6分近くもある楽曲なのに、余りにあっという間に終わってしまうから不思議で、大学の授業中、講義には耳もくれずにこれを聴いていたバカみたいな日々のことを思い出す。

そこからはM-8“Slow Down”へとシームレスに繋がっていく。この流れがひたすら最高で、アルバム後半へと向かっていくほど、より深く胸に迫ってくるような美しさに満ちている。

書き出したら切りがないけれど、このアルバムは楽曲単位で見ても最高だし、フルレングスのアルバムとしてはもっともっと素晴らしい。こんな時期、こんな状況のなかでゆっくりと聴いて、勇気づけられたような気持ちになった。

Through, go through it all.
乗り越えて 全てを切り抜けて
I'll lead you through it all.
僕が君を導いて全てを切り抜ける

僕は、僕らは今、どうしたらいいのか分からない。できればあまり考えたくないくらいに、どうしたらいいのか分からない。でも切り抜けていくしかないね。そんな当たり前のことを、このアルバムが改めて教えてくれた気がした。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Thank you Osaka! Let’s do it again real soon. ❤️ 📸: @yamashitamasakix

@ lastdaysofaprilがシェアした投稿 -

僕らEASTOKLABは6月に新しいアルバムをリリースする。これからどうなるのかなんて分からないし、みんなそう。出演予定のイベントが開催できるのかも、まだ発表できていないツアーを回れるのかも、その先のことも全然分からない。けれど音楽はいつもと同じ素晴らしさで鳴っていて、美しいままで耳に飛び込んできてくれる。その光の輝きが変わらなければ、音楽も今までと変わらず続いていくと信じている。

小さな部屋の中に“All Will Break”が響く。「全ては壊れていく」って意味だと思っていたけれど、文脈から考えると「全ては解決していく」って意味なのかもしれない。きっとそうだったらいい。アルバムは終わりを迎えたあと、また始まる。どうやらリピート再生にしていたみたいだ。よかった。きっと全ては解決していくし、全てはまた始まっていく。また音楽で一緒に遊べる日を想って、それを楽しみに思う。

 


RELEASE INFORMATION

EASTOKLAB Fake Planets DAIZAWA(2020)

Digital Mini Album『Fake Planets』
リリース日:2020年6月3日(水)
品番:UKDZ-0209
価格:1,681円(税込)
DAIZAWA RECORDS / UK.PROJECT INC.

TRACKLIST
1. Contrail ※先行配信中
2. Rainbow ※先行配信中
3. Stud ※4月22日(水)先行配信
4. Hug ※先行配信中
5. Farewell
6. Living
7. Ten
8. Dive ※5月6日(水)先行配信

 


LIVE INFORMATION
SEAPOOL “Kiss The Element” RELEASE TOUR 2020
2020年4月24日(金)愛知・名古屋 CLUB ROCK’N’ROLL ※中止
ravenknee × gato split tour “Unite 9”
2020年4月30日(木)愛知・名古屋 Live & Lounge Vio ※中止
広角レンズのススメ
2020年5月6日(水)京都 nano
https://eastoklab.com/live/

【プロフィール】
日置 逸人

日置 逸人 (ひおき はやと)

EASTOKLABのヴォーカル/シンセサイザー/ギターを担当。バンドの他に、WD SOUND WORKSでレコーディング・エンジニアとしても活動する。2019年6月5日、DAIZAWA RECORDS/UK.PROJECTよりミニ・アルバム『EASTOKLAB』をリリース。2020年6月3日(水)、デジタル・ミニ・アルバム『Fake Planets』をリリース。

関連アーティスト
TOWER DOORS