近頃のMomのCultboiライフを彩ってきた音楽たち

JPEGMAFIA 『All My Heroes Are Cornballs』 EQT(2019)

「過激なものが好きなので」と語るMomが常に聴いているというMC。インダストリアル・ノイズ~パンク/ハードコア~トラップなどが連なる実験的なサウンド・コラージュのなかで熱を帯びるフロウはクールでありながらエモーショナル。最新作は過去作よりポップと言える耳触りだが、エキセントリックな佇まいは相変わらず。

 

KANYE WEST 『Jesus Is King』 G.O.O.D./Def Jam/ユニバーサル(2019)

「ダイレクトに格好良いもの」を考えた際に聴いていたというヒップホップ界の大御所。音楽性は予測不能で最新作はゴスペル作品。「〈アルバム〉というアートフォームを続けてるのもいいなって思うし、世界規模で売れてるのにいろいろアウトじゃないですか、あの人。ああいうセンセーショナルなものを自分もやりたいです」。

 

BON IVER 『i,i』 Jagjaguwar/BIG NOTHING(2019)

卓越したコラージュ/エディット感覚はそのままにより〈歌〉にフォーカスした最新作。「(本文で触れている)メタっぽさ、レイヤー感みたいなところで聴いてました。ボン・イヴェールも姿勢としてはシンガー・ソングライター的な像が浮かぶけど、いろんなマテリアルが連なって、混ざっている感覚は結構刺激になった気がしますね」。

 

DEAN BLUNT,INGA COPELAND 『Black Is Beautiful』 Hyperdub(2012)

謎の溶解サウンドを展開する男女デュオ。奇妙でありつつフレンドリー。「ディーン・ブラントは自分の中のカルト像というか。結構まんま使いしてて、サンプリングなのか自分で弾いてるのか境がホントわかんないって意味ですごい好き。最近出た編集盤もめちゃくちゃ良かったです。良いとかいう次元じゃなくて、もうヤバい(笑)」。

 

吉田拓郎 『元気です。』 ソニー(1972)

「キャッチーなものだと、(緊急事態宣言よる)外出自粛期間に聴いてたなかでいちばん良かった、自分にフィットした作品がこれ。混じりっけがなくて、なんか、リアルだなと。リアルなものってすごいホッとするんで、信じられるなと思って。短い期間でしたけど、もう吉田拓郎しか……あのリアルさしか信じられなかった(笑)」。

 

YVES TUMOR 『Heaven To A Tortured Mind』 Warp/BEAT(2020)

最新作ではグラム・ロックへ接近した強烈なヴィジュアルの電子音楽家。「めちゃくちゃ格好良いです。MVも良くて、過激な存在を演じ切る感じというか。『21st Century Cultboi~』もモチーフではないですけど、ニュアンスとしてのグラムっぽさは凄くあります。歌詞にも出てきますし、アルバム名の由来もTレックスですしね」。