連載

ペンギンラッシュ、Awich、蔡忠浩、Aisho Nakajima……Mikiki編集部員が今週オススメの邦楽曲

【Mikikiの歌謡日!】第71回

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【鈴木英之介】

蔡忠浩 “ずっと前”

bonobosのフロントマン、蔡忠浩がライブ会場限定で販売していたソロ・カヴァー・アルバム『闇の向こうからコンビニの声がする』より、フィッシュマンズの名曲を。原曲に別の衣装を着せることで新たな表情を引き出すアプローチと、衣装を脱がせることで原曲のありのままの魅力を際立たせるアプローチがカヴァーにあるとすれば、蔡によるカヴァーは後者にあたる。ギター弾き語りのスタイルでつぶやくように歌われることで、“ずっと前”という楽曲の核をなすメロディーの良質さと歌詞を貫く詩情が浮き彫りになっている。

 

sora tob sakana “信号”

2020年8月5日発売のラスト・アルバム『deep blue』からのリード曲。通底するメロウな感覚、一音一音がくっきりと分離されたクリアなサウンド、MVにおける音と映像のシンクロ具合。どれをとってもまるでCornelius“あなたがいるなら”のような仕上がりで、アイドルによる表現がいかに幅広いものであるかを改めて実感させられる。そんな彼女たちの表現に触れられる機会も最後かと思うと残念だが、だからこそに新作には大いに期待したいところだ。

 

Nao’ymt “Ghosts in the Light”

三浦大知『球体』をはじめ、数多のヒット作を手がけるR&B系プロデューサーによるソロ曲。音数が少なく、心臓の鼓動を思わせるビートがあらわになっている導入部からはどこか禁欲的な印象を受けるが、そこから徐々に音数が増えダンサブルになっていく展開は、禁欲を経ている分、なおさら快楽的に感じられる。

より静謐な仕上がりの“孤島”も素晴らしいので、そちらもぜひ。

 

【小峯崇嗣】

JADHU “Lightworker”

2020年から活動を始めた3人組のエレクトロニック・フューチャー・バンド、JADHUの最新シングル”Lightworker”からご紹介。ギターのカッティングとエレクトロ・ポップが重なり合ったスピード感のあるメロディーに、潤沢で色気が感じられる甘い美声に酔いしれる一曲です。PAELLASやD.A.N.が好きなリスナーにとてもおすすめしたいです。

TOWER DOORSは彼らにメール・インタビュー〈6つの質問〉を行っていますので、気になった方はぜひ!

 

Kawasaki Meltdown  “DTS”

神奈川・川崎を拠点に〈Hi-power Speedy Brassy Funk〉を掲げて、2019年5月活動開始した大所帯バンド、Kawasaki Meltdown。彼らのファーストEP『Melt Away』から”DTS”をご紹介。ぞれぞれの楽器の見せどころと、ドラマティックな曲構成と飽きさせないメロディー展開に圧倒させられる一曲です。

 

I'm “サマータイムラブ”

福岡を拠点に活動するシンガー・ソングライター、I'mが新曲”サマータイムラブ”を先週リリースしました。今回は、切なく淡いレトロ・ポップ・サウンドが印象的で、R&B/ソウルのテイストも組み込んだ意欲的な作品に仕上がっています。Ariasのレーベルメイトのshakyから小川朝陽、さらにOsamu Fukuzawaが編曲、プロデュース、アレンジで参加しています。

 

a子 ”肺”

2018年頃にアーティスト活動を開始したSSW、a子のシングル”肺”をご紹介。不穏な雰囲気を纏ったポスト・ロックとアンビエントを絡めたようなダークなサウンドに、蜂蜜のように甘くもバラのような棘のある歌声で綴られる〈息苦しさ〉が印象的な一曲に仕上がっています。

彼女は最新楽曲の”水泡”もリリースしております。気になった方はそちらもぜひ聴いてみてください。

 

【田中亮太】

Aisho Nakajima “Giddy Up”

いま街の噂と言えばこの人でしょう。97年生まれの22歳、Aisho Nakajima(中嶋愛章)。5月に発表したシングル“Giddy Up”のMVが公開されました。シルキーな歌声と官能性に溢れたラップがあまりに魅力的。みずからのクィアネスを艶めかしく打ち出した映像にも目が離せません。若者の、ファッションの、ではなく、たぶんポップのニュー・アイコン。i-D掲載の野中モモさんによるインタビュー〈Aisho Nakajimaについて知っておくべき10のこと〉もぜひ。

 

a子 “水泡”


ベッドルーム・ポップ/インディーR&Bの衣装を纏った、初期椎名林檎? (なんて書き方は、リアル林檎ファンの酒井さんから怒られそうですが……)。ヒリヒリしていて、壊れやすそうで、なによりも尖っている。

 

東郷清丸 “七七”

私的なきっかけがあり、最近フィッシュマンズの後期――『宇宙 日本 世田谷』『8月の現状』など――をよく聴き返しているのですが、そんな気分にドンピシャなダブ・メランコリア。

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