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世界共通の言語

J. BALVIN 『Colores』 Universal Latino/ユニバーサル(2020)

 タイトルの『Colores』(コロレス)とはスペイン語でカラー(色彩)を意味している。全10曲は〈色〉に触発されたテーマが題材となっている。

 「例えば“Rojo”(ロホ=赤)には情熱や感情が溢れているし、“Negro”(ネグロ=黒)はもっとストリート寄り。僕のお気に入りの曲でもあるよ。“Verde”(ベルデ=緑)はハッピーな雰囲気のパーティ・ソングだし、“Azul”(アスル=青)は青空のように爽やか。ビーチ・パーティーを彷彿とさせてくれるんだ」。

 各曲のMVも色をテーマに構成されており、なかにはアニメーション版があったり、可愛らしいリリック・ビデオも発表されている。また子ども向けの〈色〉を教える、教材のようなショート・ビデオも作られた。そういえば、村上隆が全面的に担当したアルバムのアートワークやジャケットにも童心や遊び心が溢れかえっている。

 「コロレス(=色彩)というのは、世界共通の言語。数を数えはじめる前から、僕らは先に色を覚えるよね。それぞれの曲が違った色や世界観を持っているんだ。ムラカミをはじめとする人々の協力も得られたことには、すごく感謝しているよ。彼らのおかげで僕たちのラテン・カルチャーやアート、ライフスタイルや音楽、レゲトンなど、そういったすべてを向上させ続けることができている」。

 村上隆とは、前回の世界ツアー〈Arco­iris Tour〉(アルコイーリス=虹)でもコラボを果たし、キュートなキャラをステージに登場させたり、アニメを思わせるポップ・ワールドを誕生させて驚かせた。ファレル・ウィリアムズやカニエ・ウェストが、いち早くヒップホップ界からポップ・カルチャーへと急接近したアーティストだったとすれば、J・バルヴィンはラテン・ミュージック界におけるその第一人者と言えるだろうか。常に変化するカラフルな髪の色、ド派手なサングラス、ファッショニスタな服装など、どれを取っても、ポップ度満点。ファッションへの情熱も音楽と同じくらい強いという。

 「ファッションとは自己表現。つまり自身の内面を外に向かって表現しているわけで、だから僕はファッションを愛してるんだ。誰もが独自の好みやスタイルを持っているよね。音楽とまったく同じだよ」。