
こうやって音楽聴くのって楽しいな
――本作はニンジャ・チューンからブレインフィーダーに移籍しての第一作でもあります。
「衝撃的なニュースでした。でも、なるほどな、って感じで。絶対いい結果になるはずだって思いました。ニンジャ・チューンにはシネマティック・オーケストラがいるし、彼らと同じように、ジャズを中心におもしろいことをやっているバンドとしてレーベルにフィットしていたと思います。でも、ブレインフィーダーから出しても〈ああ、ブレインフィーダーだな〉とも思う。いい場所を見つけますよね。
ブレインフィーダーは前からよくチェックしていて、フライング・ロータスやサンダーキャットはライブも観に行ったし、トキモンスタなんかも聴いてました。あと最近ではルイス・コール。ブレインフィーダーにはさまざまなアーティストが所属していますが、一貫した共通点は、生楽器をポスト・プロダクションでおもしろく鳴らそうというところだと思うんです。その点で言うと、ジャガ・ジャジストはまさにぴったり。ブレインフィーダーがどのくらいサウンドに絡んできたのかは気になりますね。アドバイス的なことはしたのか、とか」
――レーベル側から直接働きかけがあったのかはわかりませんが、そう思うくらいこれまでと変化のあるサウンドになっていますね。ランニング・タイム自体は40分くらいですが、収録されている4曲とも長尺なのは大きいと思います。
「まず、このサブスク全盛の時期に14分の曲(“Tomita”)を1曲目に持ってくるという大胆さに拍手したいです。10分超えの曲を真剣に聴くっていうことが最近なかったこともあって、このアルバムを聴くのは楽しかったですね。〈こうやって音楽聴くのって楽しいな〉と思い出しました。いまや下手したら1分台の曲もありますから」
――その意味では、ライブでは長尺の曲こそ没頭して楽しめたりもするので、ライブ・パフォーマンスも期待したいところです。
「本来ならリリースにあわせて日本にも来てくれたんじゃないかと思うんですけどね。今作のライブは観たいです」
――最後に、ジャガ・ジャジストのファンの方にイノタクさんの作品を紹介するならなにを選びますか?
「そうだな……。けっこうマイナーな曲なんですけど、ナムコにいたときに携わったゲーム『パックマン チャンピオンシップ エディション DX』(2010年)のなかで、DLC(追加ダウンロード・コンテンツ)に収録された“PAC STEP”という曲があって。それは生音でドラムンベースをやってみようというテーマで作りました。4ヒーローとかあのへんをリファレンスにしてたんですけど、ユニゾンの作り方でジャガ・ジャジストを参考にしたんです。いまからゲームを買っても聴けるはずですよ」