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【天野龍太郎】

Gotch feat. 唾奇 “The End Of The Days”

Gotchのニュー・アルバム『Lives By The Sea』に収録されている、ラッパーの唾奇との共演曲。まず〈Gotch × 唾奇〉という組み合わせが、いいなと思いました。〈金は神じゃないぜ/福沢で横っ面 叩くのダメ〉というGotchさんのラインもぐっとくる。肩ひじ張らずにやっていこうぜ、っていう気分になります。『Lives By The Sea』の配信リンクはこちら

 

Zoomgals feat. 大門弥生 “GALS”

快進撃を続けるZoomgalsのニュー・シングル。これまででいちばんギャル感が強いビデオに〈おお……〉と気圧されます。田島ハルコさんやMarukidoはもはやスケバン。全員最高、全ラインがパンチライン。しかも、ビデオには社会学者の宮台真司が出演(個人的にはちょっと〈?〉ですが)。配信リンクはこちら

 

Kuro “Ayakashi”

快作『We Are the Sun!』をリリースしたTAMTAMのKuroが、2019年のソロ・アルバム『JUST SAYING HI』に続く単独シングルをリリース。伸びやかな歌も、ダンスホール/レゲトン/アフロビーツ調のビートも、スぺ―シーなサウンドもすばらしくって、何度も聴きたくなる。瀬戸内海の小豆島〈迷路のまち ナイトツーリズム〉とコラボレーションしたビデオは、衣装なども含めて最高。私はKuroちゃんのナチュラルな生き方になんとなく感化されているところがあります。配信リンクはこちら

 

butaji “acception”

傑作『告白』を2018年にリリースし、解放的で感動的なシングル『中央線』を2019年に発表したbutaji。彼から2020年初の新曲が届けられました。これがまた、めちゃくちゃすばらしい。〈あなたを愛することに/私の人生をベットしよう〉というストレートに愛を歌ったリリックにも、〈acception=受容〉というタイトルにも、どこか苦悩が滲んでいて、それでもそこには決意がある。切実で哀切なエモーションが込められています。Bandcampで販売中

 

田中麻記子 × 三輪二郎 “口紅”

フランス在住の画家・田中麻記子さんと三輪二郎さんのコラボレーション作品(?)。たった11秒しかないのですが、とってもいい。〈マスクの内側についたカラフルな抽象画をみるために女の子たちは厚化粧をするようになった〉という田中さんのキャプションも刺激的。これはぜひ、正式にリリースしてほしいです。

 

【鈴木英之介】

uminecosounds “遡上”

12月4日にリリースされたシングル『鮭と犬』の収録曲。遡上というからには、こちらは鮭サイドということだろう。朴訥とした声から漏れる、こぼれ落ちそうなくらいに豊かな歌心。そしてシューゲイザーからの影響を濃厚に感じさせる、ギターの音がとにかく素晴らしい! ドラムスによる導入部の雰囲気もあいまって、マイブラの“Only Shallow”を思い出してしまった。犬サイドを飾るもう一つの収録曲“犬の遠吠え”も、フォーキーな歌の隙間にセンスの良いギター・フレーズが入ってくる名曲なので、“遡上”と併せてぜひ一聴を。

 

大石裕美 “葡萄と山吹”

静かな迫力とは、このことを言うのか。悠然としていつつも重いピアノのタッチに圧倒されながら、そんなことを実感した。静岡・浜松出身ながら、イギリスを中心にヨーロッパで最初に注目を集めた逆輸入サイケ・バンド、QUJAKU。そのベーシストであるHiromiが、本名である大石裕美名義で12月5日にリリースしたEP『葡萄と山吹』の表題曲がこれだ。ここでの大石はベースではなくピアノを弾いているが、そもそも彼女は5歳からピアノに触れている筋金入りのピアノ奏者だという。バンドで激しい音を鳴らす彼女とはまったく異なる一面が垣間見られる、興味深い作品だ。

 

明日の叙景 “青い果実”

国内外で活躍するバンド、明日の叙景が12月4日にリリースしたセカンドEP『すべてか弱い願い』からの一曲。数本のギターとドラムスが作り出す音の壁はあらゆるものを遮蔽するかのように分厚く迫力に満ちている一方で、ヴォーカルのミックスは異様なまでに小さく、総体として面白いバランスの音像となっている。ジャンル上、ブラック・メタルしてカテゴライズされているようだが、個人的な印象としてはメタルというよりも、むしろシューゲイザーのような感覚で聴けるなと感じた。