塩谷邦夫(TOWER VINYL)の1枚

ALEX IZENBERG 『Caravan Chateau』 Domino(2020)

LA拠点のSSW、約4年振りの2作目。ジョナサン・ラドやクリス・テイラーが制作陣で名を連ねているなど聴く前からジャケットの雰囲気も相まって名盤感を醸し出していたんですけれど、これがまた想像を超えてきました。空っぽな頭にスーッと入って浸みこむ夢見心地な極上のポップス。ロバート・ワイアット、ケヴィン・エアーズ、ブライアン・ウィルソンなんかの自家製脳内サウンドと重ね合わせながら夜更けに楽しみました。こう書くとなんか統一性のあるアルバムかと思ってしまうかもしれませんが、結構いろんな曲調があって、いろんなことやってます。何回も聴いているにもかかわらず〈おお、そうくるか〉なんて一人で聴いてるのに声が出たり。B面3曲目“December 30th”はこれから残りの人生で年末のルーティンとしたい。

 

松本創太(タワーレコード新宿店邦楽担当)の1枚

ラブリーサマーちゃん 『THE THIRD SUMMER OF LOVE(数量限定盤)』 コロムビア(2020)

〈宅録女子〉的イメージしかなかったラブサマちゃん。しかし2020年の本作は、マッドチェスター~ブリット・ポップ等の90年代UKロックの風を存分に吹かせたバンド・サウンド!! リフで引っ張るゴキゲンなロック・チューンからシューゲイズ、ローファイ・ポップなど偉大な音楽へのリスペクトをラブサマちゃんならではの感性で料理したアレンジが超美味。でっかいスケールのメロディーと、そこに重層的に重なるギターのリフやオブリ達、そしてギターの歪み(マジで最高!)、絶対レコードででっかい音で聴くべき……とおもっていたところ2020年の〈レコードの日〉に限定発売! 在庫残り僅かですのでお見逃しなく!!

 

矢藤一夫(TOWER VINYL)の1枚

FOREIGN CORRESPONDENT 『The First One(限定盤)』 blue-very(2020)

今年はCD・レコード店に行けないという葛藤の日々が続きましたね。その葛藤の日々だった過去も綺麗に浄化してくれた音楽がこちら。2019年は、プリファブ・スプラウトのアナログ再発に小躍し、2020年は、ギリギリのリリースでしたが、なんとか間に合い、この7インチを入手しました。ざっくり言うとオーストラリア産の優等生ネオアコ。SE効果が効いた麗しのドリーム・ポップで、かなり上質です。ジャケットからプリファブのアンドロメダしてますから、想像出来ますよね。そうです、間違いない音です! 今回のセカンド・シングルは、中性的な歌声、ホーンとストリングス、また曲によって違う側面の切り口が、以前よりいい意味でこなれた感じ。ちょっとヘタウマなとこがまたいい。80s & 90sノスタルジーを散りばめつつも、現在のギタポ・シーンの融合を物語っている音作りです。今一番早くフル・アルバムが聴きたいアーティストかも!

 

天野龍太郎(Mikiki編集部)の1枚

THE FIFTH AVENUE BAND 『The Fifth Avenue Band(タワーレコード限定)』 ワーナー(2020)

実は今年、新譜のレコードをあまり買っていません(中古盤は少し、CDはまあまあ買いました)。そこで、シャムキャッツの最初で最後のベスト盤『大塚夏目藤村菅原』を選ぼうと思っていたのですが、限定盤で品切れのため断念。というわけで、繰り返し聴いた『The Fifth Avenue Band』を選びました。どうして繰り返し聴いたのかといえば、今回のリイシューに合わせてパイドパイパーハウスの特集記事を作ったからにほかなりません。改めて『The Fifth Avenue Band』『Ohio Knox』『Peter Gallway』の3枚に向き合い、長門芳郎さんから聞いたり読んだりした物語に思いを馳せたのがこの2か月でした。そして、ようやく手に入れた再発盤に針を落としてみたら、めちゃくちゃ音がよくてびっくり。なので、絶対に買ったほうがいいです。3枚セットで、ぜひ。2021年は大滝詠一『A LONG VACATION VOX』を予約しているので、いまから楽しみすぎる!

 


INFORMATION
TOWER VINYL SHINJUKU

東京都新宿区新宿3-37-1 フラッグス10F
営業時間:11:00~21:00
定休日:不定休(フラッグスの休業日に準じる)
電話番号:03-5360-7811

■年末年始の営業日程のおしらせ
2020年12月31日(木)11:00~18:00
2021年1月1日(金・祝)休館日
2021年1月2日(土)11:00~21:00
2021年1月3日(日)11:00~21:00