Nostola
ローファイなテイストの宅録サウンドを奏でる熊本発のアーティスト、Nostola。Nostolaは、鶴田虎之介が2015年、高校2年生の頃にスタートさせたソロ・プロジェクトです。ほどよく脱力した歌声がサウンドと共鳴して生み出す、まるで炭酸の抜けたサイダーのようなゆったりとしたメロウネスはとても魅力的。坂本慎太郎の音楽を想起させつつも、Mac DeMarco以降のインディー・ロックを彼なりに昇華させたサウンドだと感じます。
TOWER DOORSが紹介した“夏の国”を収録したシングル『夏の国/天国』は、Bandcampで販売されています。Bandcampではその他の作品も購入できますので、気になった方はぜひNostolaのページを訪れてみてください。
今年もきっと、茹だるような暑さの夏が来ることでしょう。そんな夏は、Nostolaの音楽とともに過ごしてはいかがでしょうか?
バカがミタカッタ世界
京都を拠点に活動する谷口未知(ヴォーカル)とフルイケナツキ(ピアノ)による音楽ユニット。2人は滋賀県出身で、高校からの同級生だとか。軽快に跳ねるようなピアノと、気品と可憐さを併せ持った歌声が生み出す、彼ら独特のポップなサウンド。その魅力は、60~70年代アメリカのポップスやクラッシックを踏襲しつつ、近年のアンビエントやエレクトロニカ、インディー・ロックなどの要素を織り混ぜた音楽性にあります。
2020年3月には『式』を、12月には『宵』という2作のEPをリリースしています。両作は、ドラムスにsenoo ricky(LLama、折坂悠太(重奏)、YeYe、山本精一など)、ベースに藤井都督(LLama)、レコーディング・ミックス・マスタリング・トラックメイク・コーラスに吉岡哲志(LLama、Sawa Angstrom)を迎えて制作したという、意欲的なもの。
バカがミタカッタ世界は、映画や舞台、ファッション・ブランドの展示会へ音楽を提供しており、活動の場の広さもユニークです。近作では、〈ミスiD2020〉の日下七海が主演を務める映画「光の輪郭と踊るダンス」の主題歌、エンディング・ソング、劇伴を彼らが担当しました。〈MOOSIC LAB[JOINT]2020-2021〉の出品作品である「光の輪郭と踊るダンス」は、2021年2月27日(土)からK’s cinemaとUPLINK吉祥寺で公開されたのち、順次全国で公開されるとのことです。映画の公開により、バカがミタカッタ世界の名前はさらに広く知られるようになりそうですね。
UEBO
〈ネオ・サーフミュージック〉を掲げて活動する千葉県出身のシンガー・シングライター、UEBO(ウエボー)。作詞作曲はもちろん、トラックメイクやアレンジもみずから手掛け、さらに音楽以外では俳優として活動するなど、多才なアーティストです。
彼の魅力は、セクシーで甘美、かつ渋さを兼ね備えたビター・スウィートな歌声です。その歌声が極上のメロディーを歌い、メロウなR&B/ヒップホップ・サウンドとフォークやインディー・ロック、レゲエなどをミックスさせたUEBOの音楽は、一聴すればその虜になるはず。
彼は2020年11月から”Veranda”を皮切りに、12か月連続でシングルをリリースしています。TOWER DOORSはその第3弾“Hometown”を紹介しました。今後のシングルも楽しみですね。
toddy(185)
toddy(185)は、福岡のバンドNew Oil Dealsのヴォーカリスト/ラッパーであるtoddyによるソロ・プロジェクト。彼は、〈TOWER DOORS POWER PUSH!!!!〉で以前取り上げた福岡のコレクティヴ〈BOAT〉にも所属しています。福岡のラジオ局〈LOVE FM〉の番組「Fukuoka Collective」でパーソナリティーを担当するなど、彼の音楽と地続きのキャラクターもローカルな人気を得ています。
デビュー・シングル“ワラライフ”は、独特のグルーヴ感あふれるフロウと、ひねくれたナード性と愛嬌が入り混じったリリックが素晴らしい一曲。〈フラフラと生きて ラフな恋して 酒飲んで笑えてれば最高じゃね〉など、彼の日常生活を身近に感じる素直なリリックは、なんだか前向きな気持ちにさせてくれるもの。tofubeatsやサイプレス上野に通じるセンスを感じます。
ダンサンブルでドープなトラックは、福岡のビートメイカーであるmotsによるものです。TOWER DOORSは彼がflasstainと組んだ楽曲“HB”も公開していますので、こちらもぜひチェックを。
PEEK
東京を拠点に活動、ノスタルジックで叙情的な旋律を奏でる4人組インスト・バンド、PEEK。メンバーは大学で出会って結成に至ったとのこと。
PEEKは、2020年3月にファースト・アルバム『Afterworld』をリリースしました。それを皮切りに、10月には“Summer Will Come”、12月には “Dawn Alone”とシングルを続けて発表しています。2曲ともtoeの美濃隆章がミックス/マスタリングを行っており、“Dawn Alone”に関してはレコーディングの段階から協業しているのだとか。音に対するこだわりが感じられますね。
PEEKの音楽の特徴は、静けさに包まれたパートからダイナミックなパートへとビルドアップしていく楽曲展開です。“Summer Will Come”では、清らかなギター・サウンドが穏やかなメロディーを奏で、そこにタイトなリズムを刻むベースとドラムが加わり、鮮やかで叙情的なハーモニーを作り出していきます。次第に変化していくその美しいサウンドを聴くと、まるで大自然の絶景を目撃したような感覚に。今後、toeや3ndのような日本のポスト・ロック・シーンを牽引する存在になっていくのでないでしょうか。
PEEKのYouTubeチャンネルでは、TOWER DOORSが紹介した“Summer Will Come”など、いくつかの楽曲のミュージック・ビデオ公開されています。いずれもPEEKのサウンドスケープを表現した作品で、観ていると思わず引き込まれてしまいます。