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ナアユ

エネルギーになるアルバム

――では、完成した『ANAL SEX PENiS』はどんなアルバムになりましたか?

ナ以「この13曲をいただいて、聴いてくださる方に響く曲が必ず1曲はあるアルバムで、これから始まるASPのフレッシュさも伝わるんじゃないかと思います。松隈(ケンタ)さんと渡辺さんがくださった曲はもちろん凄く力強くて美しいんですけど、私以外のメンバー3人の作詞も凄くカラーが出ていて、私自身もこういうお仕事や練習で不安になった時とかに、自分たちの曲に勇気付けられています。凄くエネルギーになるアルバムです」

――特に好きな曲を挙げるとしたら?

ナ以「“WARRiES”が好きです。私の性格とは真逆の元気な曲で、私が大まかに振付けを担当したんですけど、その時にきちんと歌詞と向き合った時に、〈あ、全然私と違う。誰かが浮かんでくるな~。浮かんでくるな~。ユメカ・ナウカナ?だ〉って」

ユメカ「何でよ(笑)」

ナ以「曲調も凄くユメカちゃんみたいなんです。だから聴くとユメカちゃんを思って何かハッピーになれる曲です」

ユメカ「遠回しに勉強ができないって言われてる感じです(笑)」

――ナ以さんはわんぱくな感じではなく、宿題をちゃんとやるタイプなんですね

ナ以「宿題はやります」

――歌詞が振付けのヒントになった?

ナ以「はい。やっぱりその、曲のテンポとかも凄く元気な溌剌とした感じなので、ユメカちゃんと女子高生みたいなのを念頭に置いて、大きい動きを意識して作りました」

――なるほど。では、他の皆さんの好きな曲も教えてください。

ナアユ「好きな曲は決められませんが、いちばん気持ちを込められるのは私が作詞させていただいた“被害者ぶるな”です。これは松隈さんからいただいたデモ曲の仮歌詞が〈頭がハゲる〉みたいな内容で、曲の雰囲気もカッコイイだけじゃなくて不気味で、他の12曲と比べて少し異質な感じがしたんですね。すっごくおもしろいと思って、大好きで。採用されなかったのも含めて他にもたくさん歌詞を書いて提出したんですけど、この曲は特に悩んだりせずに思ったことを書けたなって思います」

――けっこう言葉が強めですよね。

ナアユ「そうです。これはWACKに入る前の不登校だった頃の自分に向けて、いまの自分が叱ってる感じなんです。夏休み明けから学校に行けなくなったんですよ。だから2番で〈夏休み明け諦めた〉とか」

――そう知ると聴こえ方が変わります。

ナアユ「本当に被害者な場合は別ですけど、そうじゃなくて自分で自分を可哀想だと思い込んでしまうことってあるし、そのせいで立ち止まってしまってる時とかに、これを聴けば動かなきゃって思えるなって」

――確かに背中を押すというより、ケツを叩く感じというか。

ナアユ「そうです。励ましというよりかは、〈もっと行けよ!〉みたいな気持ちです」

――“DiVE”もナアユさんの作詞で。

ナアユ「はい。“DiVE”は活動休止中の自分のことです。不登校だった時みたいに、心も身体も落ちてしまって、毎日することもしたいこともなくて、でもやっぱりWAggの存在が頭から消えなくて。休止中は答えが出なくても毎日毎日ずっと考えまくってたけど、やっぱり動かないと変わらないと思って、そういうことを書きました」

――2曲とも立ち止まってる自分についての歌詞ということですね。

ナアユ「自分をなかなか認められないので、こういう感じが書きやすかったのかもしれないです」

ASP · DiVE

――いいじゃないですか。ユメカさんは?

ユメカ「いちばん好きなのは“WAiT and WASTE”です。もう歌詞が自分に当てはまりすぎて、サビとかモロ私だなってぐらい感情移入できる曲で。解散してからずっと家にいて、周りが動いてるなかで自分だけ動けなくて、ひとりで部屋でめっちゃ考えてたりしてた時の気持ちが〈僕は何を待ってたんだ?〉〈こんなはずじゃなかった〉っていう歌詞と重なって。で、サビの最後は〈這いつくばって生きていく〉みたいな。私もそうやって生きていきたいし、この曲は自分にしか歌えない歌い方ができると思って、レコーディングでは自分でしか出せない感情を絞り出して歌えました」

――経験や記憶が乗せられたということですね。作詞曲についてはどうですか?

ユメカ「はい、作詞した“BE MY FRiEND”は聴いた瞬間に耳からユメカ・ナウカナ?の世界が広がる賑やかな曲です。小学校でクラスにコワモテな海外の子がいたんですけど、喋ったらめちゃめちゃおもしろかったことがあって、そういう瞬間が好きなんですよ。だから人を勝手に判断しないで、手を伸ばして掴んでみないとわかんないよ、友達になってみよう、そういう感じです(笑)」

――作詞という意味ではモグさんが3曲で採用されていますね。

モグ「何となく書いたことは同じなんですけど、希望を込めたものが書けないので、自分に対してしか書けなくて。最終的に書けなさすぎて、歌詞が書けないっていう歌詞になってしまったんですけど。私はホントにひねくれてるので、そこはグループに入った者として直さなきゃいけないし、そういうとこを洗いざらい話してしまおうと思ったので、自分のダメなところをめっちゃ書き出してみて、〈ああ、恥ずかしいな〉って思いながら書きました(笑)。渡辺さんが〈採用されようがされなかろうがとにかくやり切ることが大事だよ〉って言ってくださったので、採用されると思わずに〈じゃあ、とりあえず書いて出します〉って出したら採用されてしまいました、という感じです」

ナアユ「モグちゃんは自分のこと書いてるって言うんですけど、私も性格的に似ている部分が多いので物凄く共感できますし、言葉が全部ストレートだから、歌っていて凄く気持ちが入りました」

モグ「親にも相談したら〈80年代あたりのロックはダサカッコイイみたいなのがある時代だ〉〈そういうグループなんじゃない?〉って言われて、変にカッコ付けてわけわかんないことを書くよりは、ダサくてもいいから誰にでも通じる言葉で書いて、曲もストレートだから言いたいことはバーッてストレートに伝えたほうがいいなって」

――なかでも好きな曲はどれですか?

モグ「いちばん好きな曲は自分の歌詞じゃなくて、リード曲の“A Song of Punk”なんです。WACKの歌詞は〈行かなくちゃ〉ってよく入ってて、ずっとWACKの曲で〈行かなくちゃ〉〈行かなきゃ〉っていう言葉をたくさん聴いてきたので、自分が〈行かなきゃ〉って歌えてるのが、やっぱり歌うたんびに〈ホントにWACKに入れたんだ〉って思えるし、しかもASPなりの〈行かなきゃ〉っていう曲をいただけて嬉しいのでいちばん好きです。他の曲はけっこうパンク・ロックって感じなんですけど、“A Song of Punk”はピアノっぽい静かな始まり方で、でもちゃんとロックっぽい感じもあって、昔のパンクな感じプラス、何か現代風の新しい音みたいなのが入ってて、凄いカッコイイなって思います」