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daisansei “ラジオのカセット”

イエナガ「先日Twitterのスペースでギターの小山るいさんと知り合い、ツアー大阪編を見に行ったバンド。一聴して『アンテナ』をリリースした頃のくるりをさらに煮詰めたようなヘンテコな展開の上で、確実にキャッチーなメロを載せ続けるセンス。ライブを観て感じたのが、決して作曲者である安宅伸明氏のワンマンでなくメンバーの楽曲の理解度の高さが大前提にあること。一筋縄ではいかないコード感やダイナミクスを全員で共有していることがひしひしと伝わりました。機会があれば是非生で見て欲しい。このMVの割烹料理店、すっごく行ってみたいなあ」

ワタナベ「イエナガからdaisanseiの名を聞くことになるとは! 僕も去年ぐらいに対バンで知り合って、住んでる場所がやや近いというのもあり仲良くさせてもらってるバンドです。そして自分も“ラジオのカセット”が一番お気に入り! 安宅と初めてしっかり話したとき〈ほぼ全曲、ところどころ挟まれるストレンジなコード、アレは何!〉って尋ねたら〈適当なんで分からないけど、良いですよね〉って言ってて、天才じゃんってなっちゃいました」

酒井「たぶんそのスペース自分も参加して聴いてたんだけど、こんな不思議な曲の方たちだったとは! 超クセ! いいクセ! 不思議なコード進行! そして二人ともと関係あったとは! イエナガ氏はぜひまたスペースを開催してください!」

 

⑤OKARAKO “ペットボトルキャップ”

ワタナベ「Youtubeチャンネル〈岡田を追え!〉で話題沸騰中の芸人・岡田康太の歌手&作詞デビューとなった一曲。岡田と桜子でOKARAKO。そもそも作詞経験の無い人がこんなにもメロディーを壊さない(違和感の無い)歌詞を書けるっていう時点で相当凄いことなんです。冒頭から語られる〈忘れてったジュース シンクに流した〉というシチュエーションの尊さよ……! 情けない主人公が告白も出来ず逡巡している様子がベースになってるんだけど、曲を聴いている我々にしか分からない形で〈実は両想いかも〉を匂わせる描写もあったりして……なんていじらしいの!

芸人の歌手デビューは数多あれど、その中でも贔屓目無しで名曲なんじゃないかと思います。〈岡田を追え!〉は5本ぐらい動画みたら虜になるので、是非観てください」

イエナガ「当方、〈岡田を追え!〉の大ファンでございます。なんなら料理動画を見て、同じものを作ったりしているほどの。男の一人暮らしってそれくらい料理がしたくなるコンテンツがないとやる気が出なくて。与太話はさておき、浜田雅功の大名曲“チキンライス”を彷彿とさせるリアリティー、いい曲だな。音楽のことばっかり考えている人間は、いつしか音楽を通してどう見られるかで躍起になってしまうので、こんな歌僕は一生歌えないな……。二人で広場に駆け出すMVのラストがなんともシネマティックで、ベリーウマーバ」

 

⑥理芽 “やさしくしないで”

イエナガ(colormal)「ヴァーチャルシンガーとして、花譜と双璧を成している理芽のファースト・アルバムより。今作はなんと全曲を笹川真生がプロデュース(寡占か?)。プロデュースの一言では伝わらないかもしれないが、ほぼ全ての音を彼が録音しており、笹川真生のアーティストとしての魅力も余すことなく感じることが出来ます。〈THE FIRST TAKE〉を発端とした近年の流行である〈声の記名性〉もあり、タッグを組むアーティストを絞ることで生まれた一貫性のある世界観も魅力。〈公園のベンチで やや死んでみる〉の一節から理芽と笹川真生双方のパーソナリティーを感じられるこの曲が個人的に好きでした」

ワタナベ(meiyo)「どちらも名前はよく見かけてはいたけど、初めて音を聴きました(余談ですが笹川真生さんが男なの初めて知った……)。

ジャンル・世界観をそのまま設定として落とし込んだキャラクターが歌うことでターゲットが明確になって、深く突き刺さるものが作れる。理に適い過ぎてますね。最近ちょうどTwitterで〈全曲好きって言えるほど愛してるアーティストはいますか?〉という質問を投げかけたところ、若い子から全然リプライが返ってこなかったんですけど(笑)、これからはヴァーチャルシンガーの名前が上がることも増えるのかな。わくわくです。笹川さんの作る曲は、きっと誰かを救うだろうなあ」

酒井「笹川真生さん、colormalとの対バンで拝見して曲にもパフォーマンスにも衝撃を受けたんだけど、さらにプロデュースでも才を発揮してるのがすごい。実は笹川さんが今度リリースする新曲“異邦人”を一足先に聴かせていただいたんだけど、こちらもすごい。この曲にも通じるんだけど、乱暴に扱ったら壊れてしまいそうな繊細な美しさがあると思います」

 

次回は9月頭に公開予定です! お楽しみに!

 


LIVE INFORMATION

梅田シャングリラ16周年企画『それぞれのシネマ』
2021年8月9日(月)大阪・梅田シャングリラ
出演:Ryota Mori、ジラフポット、colormal
開場/開演:17:00/17:30
前売/当日:3000円(税込)/3500円(税込)

popoq Release Tour 2021「00-LingLing-」
2021年8月11日(水)大阪・福島LIVE SQUARE 2nd LINE
出演:popoq、そこに鳴る、colormal、and more
開場/開演:17:30/18:00
前売/当日:2800円(税込)/3300円(税込)

【evol】-Shiki 2nd Album『Hue』Release Tour「色相環 」-
2021年8月14日(土)大阪・北堀江club vijion
出演:Shiki、colormal、SAPPY、ゼノ、hizume、shitakuchü、ivory iris
開場/開演:16:30/17:00
料金:2500円(税込) 
配信:2000円(税込)