歴史あるデンマーク・ラジオ・ビッグ・バンドとの新作を、Edition Recordsからリリース!
「デンマーク・ラジオ・ビッグ・バンド(DRBB)という歴史の延長線上に自分のオリジナリティというレールを引こうとしています。それが、後から見てジャズの歴史の一部になっていれば嬉しいです」
ニューヨークに拠点を置く作編曲家である挾間美帆の新作は、DRBBとの共作である。2017年の東京ジャズのプログラムで両者はまず共演、その後2019年から彼女はDRBBの首席指揮者に就任した。すべて彼女のペンによる楽曲で占められた『イマジナリー・ヴィジョンズ』は両者初の現状報告となる。
「2020年の10月に、デンマークでこの初演をすることが決まっていたんです。それに向けてちょうど(昨年NYの)ロックダウンの時に初演は叶わないかなと思いつつ音楽を書いていたんですが、結局初演ができたんです。そして、それを活かすためのレコーディングも予定されて、1週間の予定を3月に設けました。クリスマスの直前、12月から2月いっぱいまでデンマークは完全にロックダウンしていたので、本当にギリギリでした。その1週間は奇しくも、ロックダウン後にメンバーみんなが初めて会うことができる1週間だったんです。本当に綱渡り状態でした」
アルバムを聴くと、彼女の研ぎ澄まされたスコアを受け取り、こんなすごいのを出してきたぞという感じで、DRBBの面々が嬉々として演奏している様が分かる。
「これはちょっとやりすぎたかなという、難しい曲がなきにしもあらずなんです。でも、驚いたのはその後にメンバー複数から、こういうふうに僕たちの尻を叩くものを書いてくれるのはいいこと、これからもチャレンジングなものをどんどん出して大丈夫だよというメールが来たんです。そういうことって今まであまり経験がなかったことで、貴重ですね。彼らは大きい組織にいるのに、新しいことに喜びながら、真摯に取り組もうとしています」
そんな『イマジナリー・ヴィジョンズ』は注目のUK清新ジャズ/即興音楽レーベルのエディションからのリリースとなる。そんなところにも、挾間美帆に対するインターナショナルな評価を感じてしまう。
「エディション・レコーズの社長からインスタグラムに直接、メッセージが来たんです。今風だなと印象的でした」。連絡を受けたのは、ちょうど3月の録音を直前に控えている時。「すごくいいタイミングでした。これからこういうのを録りますが出しませんかと返したら、とんとん拍子に話は進みました」
さすがは、〈世界の挾間美帆〉。今後もその活動領域の広がりに、ぼくたちはドキドキさせられるはずだ。
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このインタヴュー記事のロングヴァージョンを、note of intoxicateに掲載中!