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カンがとりもつ不思議な縁

「余談ですけど、国立のGabby(ギャビー)というレコード店で『Ege Bamyasi』を買ったんですよ。店から出てきたら、店の前の道端でアクセサリーを売っているひとがいて、そのひとが僕がもっているレコード袋を見て、おっカン好きなの、セッションしよう、と声をかけてきたんですよ。袋の中身がすこし透けていたんですね」

――そんなことあるんですね(笑)。

「それで僕ものこのこと指定された国立のスタジオに行ったんです(笑)。そのひとはドラムで、ベースは知らないひと、もうひとり知らないひとが録音していて、僕はギターとボーカルでセッションしていたんですよ。そうしたら1時間か1時間半おくれて、もうひとりやってきたんです、車で。演奏中にドアがガバッと開いて、髪の毛が腰まで伸びているひとが入ってきて、見たこともない弁当箱みたいなエフェクターをいくつもならべて、アンプももちこみでセッティングをはじめるんですよ」

――おくれて来たんですよね。

「なのに挨拶もなく。いきなりプシュッという聴いたこともない音を出して、僕は、ああ、このひとすごいな、と思って、これがあの灰野敬二ってひとかなと思ったんですよ。終わって音を止めて、話したら、そのひとが栗原(ミチオ)さんだったんです」

――栗原さんはゆらゆら帝国をプロデュースされていた石原洋さんのWhite Heavenなどにも参加されているギタリストですが、坂本さんは石原さんより前に栗原さんと面識があったんですね。しかもそれがカンがとりもつ縁だったというのが、なんというのか、象徴的ですね。

「そうなんですよ」

 


RELEASE INFORMATION

CAN 『Live In Brighton 1975』 Spoon/Mute/Traffic(2021)

リリース日:2021年12月3日
品番:TRCP-301~302
定価:2,700円(税抜)
解説:松村正人/海外ライナーノーツ訳
2枚組CD/紙ジャケット仕様

配信リンク:https://smarturl.it/CAN_LIVE2

TRACKLIST
CD-1
1. Brighton 75 Eins
2. Brighton 75 Zwei
3. Brighton 75 Drei
4. Brighton 75 Vier

CD-2
1. Brighton 75 Fünf
2. Brighton 75 Sechs
3. Brighton 75 Sieben

 


PROFILE: CAN
カンはドイツのケルンで結成、69年にデビューアルバムを発売。20世紀のコンテンポラリーな音楽現象を全部一緒にしたらどうなるのか。現代音楽家の巨匠シュトックハウゼンの元で学んだイルミン・シュミットとホルガー・シューカイ、そしてジャズドラマーのヤキ・リーベツァイト、ロックギタリストのミヒャエル・カローリの4人が中心となって創り出された革新的な作品の数々は、その後に起こったパンク、オルタナティブ、エレクトロニックといったほぼ全ての音楽ムーブメントに今なお大きな影響を与え続けている。ダモ鈴木は、ボーカリストとしてバンドの黄金期に大いに貢献した。2020年に全カタログの再発を行い大きな反響を呼んだ。2021年5月、ライブ盤シリーズ第1弾『Live In Stuttgart 1975』を発売。同年12月、シリーズ第2弾『Live In Brighton 1975』を発売。