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「ラストナイト・イン・ソーホー」が伝える、60年代の音楽の魅力

――自分の世界を作っていたんですね。ジョーン・ジェットやクラッシュは70年代のバンドですが、60年代の音楽は聴かれていました?

Erika「そんなに聴いたことなかったんです。でも、この映画を観てすごく関心を持ちました。映画で〈良かったな〉と思った曲をもう一度聴いてみたりして。周りにその時代の音楽が好きな人もいるし、前から興味はあったんですけど、この映画を観て、自分の好きな音楽だなって思いました」

――特に印象に残ってる曲はありますか?

Erika「“Downtown”ですね。聴いたことあったんですけど、あらためて聴いて良い曲だなって思いました」

――サンディがオーディションで歌うペトゥラ・クラークの曲ですね。

Erika「歌詞を読むと、当時の雰囲気がイメージできますよね。こんな感じだったんだって」

ペトゥラ・クラークの64年のシングル“Downtown”
 

――〈みんなで夜の街に繰り出そう!〉っていう、スウィンギング・ロンドンを象徴するような曲です。紗羅さんは60年代の音楽は聴かれていました?

紗羅「60年代物はすっごく聴いてたんですけど、曲単位で聴いてたから全然歌手名を覚えてなくて(笑)。映画では、LEARNERSでやっている“Heatwave”が流れてきたりしてましたね」

――ザ・フーのカバーでも知られるマーサ&ザ・ヴァンデラスの名曲ですね。

紗羅「そう。60年代の音楽って、子供から大人まで全員が家で楽しめる。家でお父さんお母さんが音楽を聴きながら、スウィングしたりジャイブしたりして踊っている、そんな微笑ましいイメージが私のなかにあるんです。だから、映画で怖い映像が出てきても、60年代の音楽が流れるとちょっと安心するっていうか(笑)」

Erika「確かに怖い感じ、しないですよね(笑)」

紗羅「ちょっと安心してほっこり、みたいな。マシュマロを浮かべたココアみたいな感じ(笑)。あと、60年代の音楽が流れるなかで、スージー&ザ・バンシーズの“Happy House”がいきなりかかった時は、〈きたーっ!〉みたいな(笑)。シーンの雰囲気、エリーのメイクと曲がぴったり合ってた。これ以上、合う曲はないっていう感じでした」

スージー・アンド・ザ・バンシーズの80年作『Kaleidoscope』収録曲“Happy House”
 

――ハロウィンパーティーで、エリーはゴスっぽいメイクをしてるんですよね。

Erika「私もあのシーンは好き! エリーが自分を見失っているときに、あの曲が流れるのが良いですね。60年代の世界から心が離れているっていうことなのかなって思いました」