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Paris Texas


天野「パリス・テキサスは、ルイ・パステル(Louie Pastel)とフェリックス(Felix)からなる米LAのヒップホップデュオ。名前の由来は、映画好きなら気づくと思いますが、ヴィム・ヴェンダースのあの名作です。2人は2021年に『Boy Anonymous』『Red Hand Akimbo』という2作のEPをリリースし、特に前者に収録された“Heavy Metal”が話題になりました。ブロックハンプトンをほうふつとさせる多彩でオルタナティブなサウンドが彼らの魅力なのですが、実は3月にブロックハンプトンやジーン・ドーソン、HVNとライブで共演するんですよね。今年活動休止してしまうブロックハンプトンを継ぐ存在になるのでしょうか? 今後の活躍が、いまから楽しみでなりません」

 

PinkPantheress


田中「ケニア人の母親とイギリス人の父親の間に生まれ、現在はロンドンを拠点に活動するピンクパンサレス。彼女は昨年、TikTokを起点に“Break It Off”や“Pain”など多数のバイラルヒット曲を送り出して脚光を浴びました。特徴はサンプリングを使ったサウンドで、ドラムンベースやソウルなどからネタを引っ張ってくることが多いのですが、ほとんどの曲が1分台という短さもあいまって、すごくフレッシュに響く。BBCがその年の期待の新人を紹介する〈Sound Of 2022〉ではトップに選出されていましたし、今年のブレイクはまちがいなさそう。なお、ちょうど本日1月28日、2021年のデビューミックステープのリミックス集『to hell with it (Remixes)』がリリースされました。LSDXOXOやアンツ(Anz)、さらに上述のニナ・アーカイヴズら注目すべき面々が参加しているので、そちらもぜひチェックしてください!」

 

Poppy Ajudha

天野「近年すごく盛り上がっているUKジャズシーンには、2022年も注目したいですよね。なかでも南ロンドンのシンガーソングライターであるポピー・アジューダは、要注目のアーティスト。彼女は、コンピレーションアルバム『Blue Note Re:imagined』(2020年)ハービー・ハンコックの名曲“Watermelon Man”を再解釈していたことも記憶に新しいですね。歌い手としての力強さ、アグレッシブなメッセージ、自由で折衷的な音楽性は、とにかく魅力的。3月11日(金)にリリースされるデビューアルバム『The Power In Us』は、かなり楽しみにしています!」

 

Shenseea


天野「ジャマイカのキングストン出身、25歳のシェンシーアは、ダンスホールの期待の星です。彼女は2015年から活動を始めて、これまでにヴァイブズ・カーテルやショーン・ポールらダンスホールのレジェンドたちと共演しているので、新人ではないかもしれません。ただ、カニエ・ウェスト『Donda』(2021年)に参加するなど、最近アメリカのアーティストたちとの共演が増えていて、国際的な存在感が急上昇しているんですよね。それを象徴するのが、1月21日にリリースされたばかりのメーガン・ザ・スタリオンとのエロティックなコラボレーション曲“Lick”。池城美菜子さんはこの曲について〈ダンスホールのタブーをぶち壊した〉と言っていましたが、これはオーラルセックスのことです。あらゆる壁を壊していくシェンシーアの快進撃に、期待しています!」

 

Wet Leg


田中「最後は、いまもっとも注目されているギターバンドを紹介しましょう。英ワイト島出身のウェット・レッグは、リアン・ティーズデイル(Rhian Teasdale)とへスター・チェインバーズ(Hester Chambers)の2人組。当連載の〈2021年年間洋楽ベストソング25〉では彼女たちの“Chaise Longue”を選出しましたが、その記事の天野くんの発言〈もはや一人勝ち状態!〉が記憶に新しいです(笑)。とはいえ、独特な中毒性を持ったメロディーセンスや、ソリッドでありながらもどこかユーモアを感じさせるサウンドとリリック、さらにアイコニックな存在感を含めて、やはり頭一つ抜けた存在だと思いますね。もはや、2022年のポップシーンの〈顔〉と言えるのではないでしょうか!」