Photo by David Edwards
 

スコットランド出身のギターロックバンド、フランツ・フェルディナンドが初のベスト盤『Hits To The Head』を2022年3月8日(火)にリリースする。2003年、ポストパンク/ニューウェイブがリバイバルしていた最中に華々しくデビューした彼らも、もはや20年選手。ダンサブルなサウンドとキラーなコーラスを備えたメロディーを最大の魅力に、これまでスパークスとのコラボを含む7作のアルバムを発表し、栄枯盛衰の音楽シーンを生き抜いてきた。

今回は『Hits To The Head』のリリースを控えた彼らのフロントマン、アレックス・カプラノスにインタビュー。フランツのアルバム全作を、みずから100点満点で採点してもらった。前述したフランツ流サウンドを常に保持しながら、アルバム毎に特徴的な挑戦をしてきた彼らが、過去の作品をどう評価するのか。アレックスならではの知的でユーモラスな語り口も含めて、楽しみながら読んでいただきたい。

『Hits To The Head』に収録された新曲“Billy Goodbye”

 


『Franz Ferdinand』(2004年)

FRANZ FERDINAND 『Franz Ferdinand』 Domino/ソニー(2004)

――今回はベスト盤のリリースを機に、これまでのアルバムすべてを自己採点してもらうという企画です。まず2004年のファーストアルバム『Franz Ferdinand』は?

「100点! 自分が作ったアルバムは、すべて100点に決まってるよ(笑)。どのアルバムも良いものを作ろうと努力した結果だから。いや待って。やっぱり95点だな(笑)。その5点が、その次、もしくは未来により良い何かを実現させる余白を作るからね(笑)。

当時の僕にとってはパーフェクトな作品だったけど、今の自分ならもっとベターな作品を作るような気がする。真面目な話、活動を続けるモチベーションをアーティストに与えてくれるのは、〈まだ自分にとってのマスターピースを作れていない〉という気持ちさ。だから95点なんだよ」

――2003年のデビューシングル“Darts Of Pleasure”はインディーシーンのアンセムになり、バンドを取り巻く状況はクレイジーなものになっていたのではと想像します。アルバムを出すまでの時期をどのように思い出せますか?

「あの時期は、バンドのサウンドの形が出来上がりはじめていた頃だった。5~10年くらい頭のなかにためていて、試したことのなかったアイデアを形にしていった時期だね。あのサウンドが出来上がるまでは、本当に試行錯誤してきた。でも出来上がったとき、このバンドでやっていきたい!と心から思えたんだ。制作時の記憶も結構残ってる。スウェーデンの豪華なスタジオに行って、感激したのをおぼえているよ」

2004年作『Franz Ferdinand』収録曲“Darts Of Pleasure”
 

――マルメにあるグラ・スタジオンですよね。このアルバムのプロデューサーは、カーディガンズの作品などで知られるスウェーデンのトーレ・ヨハンソンでした。彼を起用した狙いは?

「ヨーロッパっぽいサウンドが欲しかったんだ。自分たちはイギリスのバンドというよりヨーロッパのバンドだ、という感覚が強かったからね。いろんな意味で、スコットランドはイギリスよりもヨーロッパに近い部分が多いんだよ。それに、僕の家系はギリシャ系だし、ニック(・マッカーシー、ギター)もドイツ系。イギリスのバンドという感覚はあまりなかったし、もちろんアメリカっぽいサウンドも自分たちらしくはなかった。それで、僕はカーディガンズのサウンドが好きだったからトーレに頼むことにしたんだ。“Lovefool”(96年)や“My Favorite Game”(98年)みたいな曲には、一瞬で惹き込まれたからね。プロダクションが好きで、すごく新鮮に感じられた。彼のサウンドって、冷たいんだけどパワフルで、魅力があるんだよね」

――実際にトーレと制作してみていかがでしたか?

「実はスタジオでは彼とケンカになったんだ(笑)。彼は、たくさんの質感が混ざったような音を求めていたんだけど、僕は逆に質素なサウンドを求めていた。彼が良いと思っていたサウンドを僕も気に入ったから結果オーライだったんだけど、一度口論をしたことで、トーレも僕たちも色々なアイデアに挑戦することになり、それはすごく良かったと思う。それが良いレコードを作り出したんだと思うね」

――結果的に、このアルバムは商業的にも評価的にも大成功を収めたわけですが、いま振り返ってみて、どんな点が多くの人を魅了したのだと思いますか?

「他のどの作品とも違う、という部分じゃないかな。新鮮なサウンドだったし、すごくエナジーがあった。あと、今考えてみると、どの曲もすごくキャッチーだったと思う。バンドのロックやパンクっぽい要素にトーレの滑らかなプロダクションのスキルが合わさり、誰にとっても興味深いレコードが出来上がったんじゃないかな」

――このアルバムきってのバンガーといえばやはり“Take Me Out”だと思います。バースからコーラスにかけての唐突なリズムチェンジなどフックの多い曲ですが、どうやって出来たのでしょうか?

「あの曲のメインの部分は、グラズゴーの僕の家でニックと一緒に書いたんだ。インスピレーションとなったのはその前日に観た映画『スターリングラード』(2001年)だった。第二次世界大戦中のスターリングラードにいるロシアとドイツそれぞれのスナイパー2人の話で、劇中ではお互い向こうが先に動くのを待っているんだ。

僕たちは、それにロマンティックなシチュエーションを重ねたんだ。お互い好意を持っているんだけど自分からアクションを起こせず、先に向こうが動くのを待っている。ただ、ニックと作ったものをバンドに持っていったときは、上手くいかなかった。バースとコーラスのスピードが合わなくてね。だから、バースを最初に持ってきて、コーラスに向けてスロウダウンしていったんだ。それが、皆の知る“Take Me Out”になったんだよ」

2004年作『Franz Ferdinand』収録曲“Take Me Out”
 

――ちなみに当時、あなたたちが自分たちに課していた〈Make Music For Girls To Dance=女の子が踊るための音楽を作る〉というテーマは、当時の音楽シーンへのアンチテーゼでもあったのでしょうか?

「その通り。冗談で言った言葉だったんだけど、真実でもあった。当時僕たちがいたUKバンドシーンは、すごく〈男らしさ〉が強調されていたからね。でも、僕らの初めてのギグは、友人のアートショーのオープニングパーティーで、そのショーのアーティストはすべて女性だったし、オーディエンスのほとんどが女性だった。そこでやってみるとすごく楽しかったんだ。それから、自分たちのなかのフェミニンな部分に訴えかけるような音楽を作りたいと思うようになった。

あと、皆が踊れるような音楽を作りたいと思っていた。当時のUKシーンは、ブリットポップとかポストロックに支配されすぎていたから。僕らももちろんそういう音楽は好きだったけど、それとは違うダンスできる曲を作ろうとしたんだ」

 

『You Could Have It So Much Better』(2005年)

FRANZ FERDINAND 『You Could Have It So Much Better』 Domino/ソニー(2005)

――ではセカンドアルバム『You Could Have It So Much Better』は何点でしょう?

「これも95点。理由は同じで、当時作れたものとしては完璧だけど、次の作品を作るために5点分の〈まだ何かできる〉というスペースが必要だから。この作品の曲は、結構前に書いていたものなんだ。例えば“This Boy”や“Outsides”は、レコードの5~6年くらい前に書いていた。“Fade Together”のピアノのメロディーは15年前くらい。僕は常に曲を書いているから、前に書いていたものを持ってきて使う、ということは、今も変わらずあるんだよ。一方で“Do You Want To”はファーストアルバムのツアーの最後に出来た曲。グラズゴーでの、文字通りファーストアルバムツアーの最終公演の直後に書いたんだ」

――ファーストアルバムへの興奮が冷めやらぬなか、1年後にこの2作目がリリースされたのには驚きました。バンドとして勢いがあるなかで、どういう作品にしようと考えていましたか?

「ファーストアルバムとは全然違うものにしたいと考えていたのを覚えてる。このアルバムは、僕にとってはファーストアルバムよりも断然ロックに聴こえる作品なんだ。バンドのロックの側面を捉えたアルバム。そういう点では、ある意味ファーストアルバムよりもハイエナジーだと言えるかもしれない。あと、“Walk Away”や“Fade Together”みたいな曲は、ファーストでは聴けなかった新しいサウンドだと思うね。“Eleanor Put Your Boots On”もそうだな。より内省的で、バラードっぽいと思う」

2005年作『You Could Have It So Much Better』収録曲“Walk Away”
 

――デビュー作が成功をおさめたぶん、セカンドへのプレッシャーは大きかったと思います。あなたたちが連続して傑作をものにできたのは、どうしてなのでしょう?

「僕は、2枚目のアルバムが作るのに難しいレコードだとは思わないな。20枚目のほうが絶対難しいと思うから(笑)。昔はよくセカンドアルバムがいちばん大変なんて言われてたけど、それは違うと思うよ。全然難しくなんかなかった。

そのとき自分がどんな状況にいるか次第なんじゃないかな。当時を思い出すと、ファーストを出したあとツアーに出て、スタジオに入って曲を作れないのがものすごくフラストレーションだった。曲を書くエナジーやアイデアはたくさんあるのに、それに時間を使えないことが歯がゆくてたまらなかったんだ。作りたいという気持ちとアイデア、試したいことがある限り、作品は出来ていくんだと思うね」

Photo by Joe Dilworth
 

――あなたたちの楽曲のリミックスは優れたものが多いですが、特にファースト~セカンド期のものは、エレクトロの時代と呼応して数々のフロアバンガーが生まれましたよね。自分たちでも特に気に入っているリミックスといえば?

「僕はエロール・アルカンの“Do You Want To”のリミックスが好きだった。あれは最高だったし、あのリミックスは当時をすごく捉えていると思うから。エレクトロの世界のキングであるエロールとギターワールドが一つになった、最高にクールな作品だと思うね。もう一つは、ジャスティスの“The Fallen”のリミックス。まるで僕がラップしてるみたいに聴こえるのがクールで、曲を全然違うものに作り変えたところがおもしろいと思った」

2005年のシングル“Do You Want To”収録曲“Do You Want To (Erol Alkan's Glam Racket)”
 

 

『Tonight: Franz Ferdinand』(2009年)

FRANZ FERDINAND 『Tonight: Franz Ferdinand』 Domino/ソニー(2009)

 ――サードアルバムの『Tonight: Franz Ferdinand』。このアルバムについては?

「これも95点。理由はこれまでと同じ」

――個人的に、このアルバムはバンドの最高傑作のひとつであり、未来においてさらに評価されるべき作品だと感じています。前2作とは意識的に異なるアプローチをした作品だと思いますが、制作当時はどういう音楽に感化されていたのでしょう?

「このアルバムを制作していたとき、僕たちはアフリカ音楽をたくさん聴いていたんだ。“Send Him Away”、“Twilight Omens”、“Lucid Dreams”のビートを聴くと、それがわかると思う。このレコードのサウンドは、明らかにヨーロッパやアメリカのリズムが薄くなっている」

――あなたたちにしては珍しく7分を超える長尺曲の“Lucid Dreams”は、サイケデリックディスコとでもいうべきアルバムのハイライトのひとつです。この曲をあなた自身はどのように評価していますか?

「僕もその曲はアルバムのハイライトなんじゃないかなと思う。アルバムバージョンは7分もあって、エレクトロニックなエンディングもダイナミック。バンドにとってこれまでにやったことのない新しいサウンドである部分も気に入っているしね」

2009年作『Tonight: Franz Ferdinand』収録曲“Lucid Dreams”
 

――制作方法の面では、前2作とどのように違っていたのでしょう?

「このレコードは、曲をセクションでわけ、それぞれのセクションを何度も何度も長いことジャムをして、そのセクション同士を組み合わせて曲を作っていった。どのセクションもすごくリズミックで、すごく実験的なアプローチだったね。

サウンド面でも実験的だった。例えば“What She Came For”では、ギターが他の空間からいきなりこちらの空間に突然入ってくるようなサウンドを作りたくて、マイクを吊るして天井からスウィングさせ、ギターの前をマイクがスッと通っていくようにした。それもあって、あの曲はまるで自分がギターのアンプの前を揺れ動いているように聴こえるんだよ。このアルバムをプロデュースしてくれたダン・キャリーは実験的なサウンドがすごく得意なんだ」

――そのダン・キャリーは、多くの新人バンドを輩出しているレーベル、スピーディー・ワンダーグラウンドを運営し、今やUKインディーミュージックのキーパーソンといえる存在ですが、現在の彼についてはどう見ていますか?

「最近の彼も、活躍しているよね。素晴らしいバンドをたくさん手がけていると思う。彼は本当に最高のプロデューサーでもあり、人間としても最高なんだ。それにダンは、ミュージシャンを育てるのがうまいし、現場にいる皆をポジティブにしてくれる。彼は、取るに足りないように見えることにもきちんと向き合って、そこから素晴らしいものを生み出すことができるプロデューサーなんだよ」

――ダン・キャリーが腕を振るった『Tonight』のダブアルバム『Blood: Franz Ferdinand』(2009年)も自分のお気に入りの一枚です。『Blood』は『Tonight』のどのような側面を強調した作品と言えますか?

「僕もあの作品は大好き。最高のアルバムだよね。『Blood』で、ダンは確実に『Tonight』のダークで邪悪な側面をとらえている。あのレコードのサウンドは、すごく卑劣に聴こえる。そこがとても魅力的なんだ。“Twilight Omens”のダブバージョン“Backwards On My Face”は素晴らしいし、“What She Camr For”を使った“Feel The Pressure”もすごく良い。本当にクールなアルバムだと思うよ」

2009年作『Blood: Franz Ferdinand』収録曲“Backwards On My Face”

 

『Right Thoughts, Right Words, Right Action』(2013年)

FRANZ FERDINAND 『Right Thoughts, Right Words, Right Action』 Domino(2013)

 ――2013年にリリースした『Right Thoughts, Right Words, Right Action』もやはり95点?

「そのとおり。ここまで来てもやっぱり100点満点は付けられないね。もっと良いアルバムを作ることができると感じているから。このアルバムも、これまでのアルバムとは制作過程が異なっていた。ファーストからサードまではひとりのプロデューサーとの制作だったけど、このアルバムではたくさんのコラボレーターと作業したからね。僕は、特に“Evil Eye”と“Stand On The Horizon”が気に入っている。これまでのバンドのサウンドと全然違うし、最後の部分もすごくクールだから」

2013年作『Right Thoughts, Right Words, Right Action』収録曲“Stand On The Horizon”
 

――あなたが今言われたように、このアルバムはホット・チップの2人やトッド・テリエ、ビョルン・イットリングら多くの音楽家たちとコラボして完成させた作品です。録音場所も多岐にわたっていましたが、そうした制作方法をとった理由は?

「単純に、良いタイミングだと思ったんだ。本当はフィリップ・ズダールにも参加してほしくて、彼にも依頼したんだけど、他にもプロデューサーがいることを伝えたら、〈もし君たちが僕と一緒にレコードを作りたいと言ってくれるのなら、レコード全体でコラボがしたい〉と言ってくれて、フィリップとのコラボは見送ったんだ。あと、このアルバム用に作ったんだけど、収録できなかった曲もある。“Scarlet & Blue”という曲で、ライブでは何回か演奏したことがあるんだけどね。アルバムからのビッグシングルになった可能性もあった曲だけど、どのバージョンもどうしてもしっくりこなかったんだ」

Photo by Andy Knowles

 

FFS『FFS』(2015年)

FFS 『FFS』 Domino/HOSTESS(2015)

 ――その2年後にはスパークスとのコラボで制作した『FFS』をリリースしましたね。この作品の採点もできます?

「この作品にフランツのアルバムとしての点数はつけられない。でもアルバムという作品としてなら、たぶん100点かな……いや待って。点数をつけるのはやめておくよ。明確な答えが出せないから」

FFSの2015年作『FFS』収録曲“Johnny Delusional”
 

――あらためて、あなたの思うスパークスというバンドの偉大さについて、語っていただけますか?

「このレコードを作るうえでいちばん大きなモチベーションになったのは、当時のスパークスがおかれていた状況。僕はスパークスが大好きだったのに、彼らは世界的に十分に評価されていなかった。2014年、僕が彼らのショーを観たのはサンフランシスコにあるすごく小さなシアターだった。ベニューでのセットアップもちゃんとされていなくて、そのとき、このバンドはもっと評価されるべきだと思ったのを覚えているよ。もっとレジェンドとして扱われるべきだし、そのために、僕らが何かできることを探そうと思った。それが『FFS』を作ることだったんだ。もちろん、バンドにとって新しいサウンドに挑戦できるというのもあったけど、いちばんの目的はそれだった。結果、それは成功したんじゃないかなと僕は思っているよ」

――あなたにとっては夢が実現したような共同作業だったかと思いますが、いかがでしたか?

「制作は本当に楽しかったよ。でも、彼らとのプロモーションは悪夢だった(笑)。その理由は……これはあまり語らないほうがいいかも(笑)。でも、レコードの制作自体はかなり楽しめたよ」

――このアルバムの制作がフランツ自体に与えた影響はありましたか?

「影響はあったと思う。『FFS』があったから、このバンドのオリジナルのラインナップは幕を閉じたんだと思う。ロンとラッセル(スパークスのメンバー)は、ある意味争いの種になる部分があるからね。このアルバムを作っていなければ、フランツはオリジナルメンバーのままだったかもしれないな。でもまあ、人生ってそういうもんだよね」

――このアルバムのようなコラボレーションをまた行うとしたら、誰とやってみたいですか?

「一作丸ごとなら、またスパークスと一緒にレコードを作りたい。絶対にふたたび彼らを選ぶね。彼ら以外でも、他のアーティストとのコラボレーションは大好きだし、これからもコラボはやっていきたいと思っている。まだ皆があまり聴いたことのないような、新しいバンドともしていきたいね」

 

『Always Ascending』(2018年)

FRANZ FERDINAND 『Always Ascending』 Domino/Hostess(2018)

 ――オリジナルアルバムとしては現時点での最新作です。『Always Ascending』については?

「95点。もう理由はわかっているね(笑)。この作品に関しては、特にその5点が強く感じられる。最近の作品なので、これよりもベターな作品を作りたいという気持ちがより大きいと思う。このレコードは、作っていて楽しい作品だった。さっきフィリップの話をしたけど、前回フィリップと〈アルバム全体を一緒に作ろう〉という話をしたのを思い出して、彼に連絡してみることにしたんだ。電話をしたら、すごく乗り気になってくれてね。それ以上に、フィリップと作品が作れるなんてこちら側がかなり興奮したよ」

2018年作『Always Ascending』表題曲
 

――フレンチタッチのパイオニアのひとりであるズダールは、僕にとってもヒーローです。2019年に不慮の事故で彼は亡くなってしまいましたが、ズダールとの思い出を言える範囲で教えてもらえませんか。

「彼はプロデューサーとして素晴らしいだけでなく、人としても本当に親切。他のプロデューサーも皆良い人たちだけど、フィリップは格別さ。あとダンもそうだね。ふたりのパーソナリティーには感銘を受ける。ダンと同じように、フィリップは自分の周りにある全てのものを活き活きとさせてくれる。彼がいるだけでそうなるんだよ。すごく前向きで、ユーモアのセンスがある。

『FFS』のあとにニックが脱退し、大きなショックを受けていたバンドにとって、彼は本当に大きな助けだったんだ。フィリップの熱意が、ニックが抜けてしまってもフランツはまだ素晴らしい音楽を作ることができるということを証明してくれた。セカンドアルバムを手がけてくれたリッチ(・コスティ)も人として最高だし、僕らのロックな側面を引き出してくれたけど、フィリップはバンドのダンスミュージックの要素を他の誰よりも引き出してくれたと思う。フィリップは素晴らしいDJでもあるしね。彼のおかげでフレンチハウスにも興味を持つようになったよ。

彼との思い出はたくさんある。フィリップが、スタジオのコントロールルームでミックスしながら踊りまくってたのを覚えているよ(笑)。まるでパーティーみたいだった。彼がスコットランドに来たときも、部屋で一緒にプレイしながら盛り上がったし、彼と共に飲んだり食べたりするのも最高だったね。彼といると、とにかく人生を楽しんでいることを実感できるんだ」

Photo by David Edwards
 

――先ほど言われたようにニックが脱退し、ディノ・バルドー(ギター)とジュリアン・コリー(キーボード)が加入して5ピースになってからの最初のアルバムです。メンバーが変わったことは、バンドにどんな影響を及ぼしていましたか?

「ファーストアルバムから今まで、似たようなレコードは二つとないけれど、やっぱりこのアルバムはそれ以上に少し違う感じがした。ジュリアンと作業するのは、新しい何かに挑戦しているような新鮮な気持ちになれたし、彼が新しい要素をバンドにもたらしてくれたんだ。ジュリアンは、シンセがどう機能するかを熟知しているからね。あそこまでキーボードを使うのはバンドにとって新しくて、それがバンドのサウンドに新鮮な側面をもたらしてくれたと思う」

――〈いつも上昇中〉というアルバムのタイトルもすごくいいですよね。

「アルバムタイトルは、僕らの姿勢を表現していると思う。バンドとして、常に前に進み、上昇している。だからこそ、僕は全てのアルバムに100点ではなく95点をつけているんだ。僕らは、100点に向けてまだまだ前に進んでいる状態。それを表しているのが〈Always Asceding〉という言葉なんだよ」

 

『Hits To The Head』(2022年)

FRANZ FERDINAND 『Hits To The Head』 Domino/BEAT(2022)

 ――ちなみに、今回のベスト盤『Hits To The Head』は何点でしょう(笑)? これも95点?

「いや、このアルバムは違う! 96点だな(笑)。1点多いのは、これまでの作品のなかから厳選された曲が集まっているから。毎回アルバムのために20曲くらい曲を作っていて、そこから実際の収録曲を絞り込んでいく。全てのアルバムが、そのときに書いた曲のなかからベストな曲を集めたコンピレーションなわけだよね。そういう理由で『Hits To The Head』はコンピレーションのなかのコンピレーションということになる。つまり、ベスト・オブ・ザ・ベスト(笑)。だから、95点というわけにはいかないんだ。というわけで96点!」

――古今東西いろいろなベスト盤がありますが、あなたにとってベストなベスト盤といえば?

「デヴィッド・ボウイの『Changesbowie』(90年)。子供の頃に聴いた作品で、元々ボウイは好きだったけど、この作品を聴いて、彼をより理解することが出来たから。あの作品が、僕が知らないデヴィッド・ボウイの作品へと僕を導いてくれたんだ。あれを聴いたから、『“Heroes”』(77年)や『The Rise And Fall Of Ziggy Stardust And The Spiders From Mars』(72年)、『Station To Station』(77年)を聴くようになった。将来『Hits To The Head』もそういうレコードになってくれたらと思う」

――昨年、ポール・トンプソンの脱退とオードリー・テイト(ドラムス)の加入が発表され、バンドはふたたび新生フランツ・フェルディナンドとなりました。今年はバンドの結成20周年にもあたるわけですが、どういう年にしたいですか?

「とにかく今年はまたツアーをやりたい。人々の前で演奏がしたい。それが全てだね」

――近い未来での来日公演の実現も期待しています。最後に、今のあなたたちが〈Make Music For Girls To Dance〉みたいなコピーを掲げるとしたら、それはどんな言葉になるでしょう?

「〈Make Music For Girls To Dance〉というアティテュードは未だに変わらないと思うけど、最近は全てがジェンダーフリーになってきている傾向があるから、そういう表現はあまり適した言葉ではないのかも。ということで、〈Make Music For Non Gender Specific Persons To Dance〉だな(笑)」

『Hits To The Head』に収録された新曲“Curious”

 


RELEASE INFORMATION

FRANZ FERDINAND 『Hits To The Head』 Domino/BEAT(2022)

リリース日:2022年3月8日(火)
配信リンク:https://smarturl.it/HitsToTheHead

TRACKLIST
1. Darts Of Pleasure
2. Take Me Out
3. The Dark Of The Matinée
4. Michael
5. This Fire
6. Do You Want To
7. Walk Away
8. The Fallen
9. Outsiders
10. Lucid Dreams
11. Ulysses
12. No You Girls
13. Right Action
14. Evil Eye
15. Love Illumination
16. Stand On The Horizon
17. Always Ascending
18. Glimpse Of Love
19. Curious
20. Billy Goodbye
21. Eleanor Put Your Boots On (Single Version)  *Bonus Track

 

INFORMATION
DOMINO CAMPAIGN 2022

開催期間:2022年2月25日(金)~

■CAMPAIGN 1
対象商品に貼付された応募シールを3枚以上集めて応募すると、応募者全員に〈Domino〉ロゴトートバッグをもれなくプレゼント!

■CAMPAIGN 2
フランツ・フェルディナンド『Hits To The Head』(3月8日リリース)と、ウェット・レッグ『Wet Leg』(4月8日リリース)の国内盤CDの初回生産分に特製レーベルロゴステッカーを封入。

左:フランツ・フェルディナンド『Hits To The Head』封入ステッカー/右:ウェット・レッグ『Wet Leg』封入ステッカー

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