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刺激的な顔合わせで注目の新バンドがついにアルバムを完成……レディオヘッドともサンズ・オブ・ケメットとも異なる先鋭的で鮮やかなサウンドが自由に笑う!

サプライズだった登場

 ザ・スマイルは、トム・ヨーク、ジョニー・グリーンウッド、トム・スキナーの3人によるイギリスのバンドだ。バンド名は児童文学者で詩人のデッド・ヒューズが残した詩から取られたという。

 トム・ヨークとジョニー・グリーンウッドについては説明不要だろう。レディオヘッドのメンバーとして世界的に知られた存在であり、それぞれソロ活動も積極的に行っている。いまも音楽シーンにおいて絶大な影響力を持ち、一挙手一投足がメディアで伝えられる。

 一方でトム・スキナーは、アーティストたちの間で支持を集めるミュージシャンズ・ミュージシャンと言えるドラマーだ。ハロー・スキニー名義で先鋭的なエレクトロニック・ミュージックをコンスタントにリリースしつつ、サンズ・オブ・ケメットの一員としても活躍するなど多彩な遍歴を持つ。世間的にはジャズ寄りの人と思われがちだが、これまで仕事をしてきたアーティストは実にバラエティー豊かだ。フローティング・ポインツ、ジャーヴィス・コッカー、マシュー・ハーバート、クレア・マグワイア、アンジェリーク・キジョーなど、ジャンルを問わずさまざまな作品に参加してきた。

 そんなザ・スマイルの全貌が明らかになったのは、イギリスを代表する音楽フェスティヴァル、グラストンベリーが2021年5月22日に開催した有料配信イヴェント〈Live At Worthy Farm〉だった。ジョルジャ・スミスやケイノといった多くのアーティストが参加するなか、ザ・スマイルは特別ゲストとして迎えられた。このニュースが出るまでバンドの存在は一切知られておらず、文字通りサプライズ・デビューだった。

 〈Live At Worthy Farm〉でライヴして以降、ザ・スマイルは活動のスピードをどんどん速めている。2022年1月5日に“You Will Never Work In Television Again”を発表したのを皮切りに、“The Smoke”“Skrting On The Surface”“Pana-vision”“Free In The Knowledge”というシングル群を立て続けに放ち、多くのリスナーを喜ばせた。