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NEW ORDER 『Brotherhood』 Factory/London/ワーナー(1986)

同時代のクラブ・ミュージックの変化なども睨みつつ、前作『Low-Life』のサウンド展開をより洗練させる形で成果を上げた4作目。大まかにロック系統の曲とエレクトロニックな曲でレコードの両面に振り分けられていて、テクノロジーの探求のみならず改めて演奏のバンド感が意識されているのもポイントかも。絶妙なポップネスが眩いダンス・トラック“Bizarre Love Triangle”はUSでもクラブ・ヒットを記録し、次の飛躍に向けた大きなステップを踏むことになった。

 

NEW ORDER 『Technique』 Factory/London/ワーナー(1989)

ベスト的なコンピ『Substance』(87年)、クインシー・ジョーンズによる“Blue Monday 1988”でひと回り成功の規模を大きくした彼らがより新しいシーンともリンクして完成させた大傑作。バレアリックへの傾倒を受けて一部はイビザ録音され、“Fine Time”や“Round & Round”ではアシッド・ハウスを明快に導入。一方ではアコースティックな音使いも取り入れて、マンチェスターの後進たちが大暴れした時代に懐の深さを見せつけた。キャリアを通じて初の全英1位を獲得。

 

NEW ORDER 『Republic』 London/ワーナー(1993)

全英1位に輝いた“World In Motion”(90年)前後からメンバー個別の動きが活発になるなか、前身の頃から所属していたファクトリーが倒産した煽りもあって、実に4年ぶりとなったカムバック作品。時代の変化もあって前作のハウス色はグッと後退し、スティーヴン・ヘイグと共同制作したオルタナ仕立てのヒット・シングル“Regret”を筆頭に普遍的なポップセンスが前に出されている。2作連続で全英1位をマークするも、この後バンドは活動休止することに。

 

NEW ORDER 『Get Ready』 London/ワーナー(2001)

マネージャーの進言によって98年に活動再開した彼らが、U2で知られるスティーヴ・オズボーンやフラッドを共同制作に迎えて仕上げた通算7作目。ビッグ・ビート隆盛を経たシーンに先行ヒット“Crystal”などで彼らなりの電子ロックを提示しつつ、ビリー・コーガンを迎えた“Turn My Way”やボビー・ギレスピー&アンドリュー・イネスとの“Rock The Shack”というゲスト入りの曲もあったり、全体的には柔軟な雰囲気だ。なお、本作をもってジリアンは育児のため脱退(後に復帰)。

 

NEW ORDER 『Waiting For The Sirens’ Call』 London(2005)

スティーヴン・ストリートやジョン・レッキー、スチュワート・プライスなど複数の大物プロデューサーを起用した8作目。当時は日本語版も話題となった“Krafty”、シザー・シスターズのアナ・マトロニックをフィーチャーした“Jetstream”、キャッチーな表題曲など、多面的なニュー・オーダー像が具現化されている。ジリアンの代わりに当時のツアー・メンバーだったフィル・カニンガム(元マリオン)が参加。結果的にピーター・フック在籍時の最後のアルバムとなった。

 


ジョイ・ディヴィジョン~ニュー・オーダー
76年に前身が結成されたジョイ・ディヴィジョンは、イアン・カーティス(ヴォーカル)、バーナード・サムナー(ギター)、ピーター・フック(ベース)、スティーヴン・モリス(ドラムス)の編成でファクトリーからデビュー。イアンの死を受けて、残る3人は80年にニュー・オーダーを結成。同年にジリアン・ギルバート(キーボード)が加入。2007年の解散騒動を経てフックが離脱し、2011年以降は元マリオンのフィル・カニンガム、トム・チャップマンを含む5人組で活動中