中欧・東欧の一国でありながら、隣国ドイツから流入してくる西欧の影響も強く存在し、独自の音楽的発展をし続けてきたポーランド。そこで生まれ育ったピアニスト=ミハウ・ヴルブレフスキの音楽性も例に漏れずまさに独特です。ヘヴィなドラムのアプローチに、癖がありながら何故かまっすぐ響くピアノのメロディが特徴的な(2)など、抑制された美意識が根底にありつつ、その重い扉が少しだけ開いた刹那漏れ伝う光のように、瞬間的な閃きによるフレーズの鋭さが強烈な印象を残します。前衛ではなく先鋭、異質にしてまさしく芸術肌、そんな才人の世界観がまるまる投影された本作。要注目です。