(左から)岡崎真輝、岩井郁人、尾崎雄貴、尾崎和樹

2023年に新たな形で再始動したGalileo Galileiは、アルバム『Bee and The Whales』のリリースと積極的なライブ活動によってファンとの再会を果たした。その後、〈THE FIRST TAKE〉への出演、盟友ポーター・ロビンソンとの邂逅、「劇場版 僕らのGalileo Galilei 〜会えたね〜」の上映、北海道日本ハムファイターズの試合後にエスコンフィールドHOKKAIDOでのライブなど、怒涛の活動を続けている。

しかし、このバンドが居心地のよい安全地帯に留まり続けるはずもなく、前作のリリースからわずか1年4か月、4人から迸り溢れ出るエネルギーは新たな作品を生み出した。『MANSTER』と『MANTRAL』、14曲入りの大作が2枚同時にリリースされた。球速を緩めることなく全力投球し続ける彼らに、リスナーも必死でついていくしかない。

一人の人間の中に同居する〈多面的な本性〉にフォーカスを絞った、このコンセプチュアルな2作はどのようにして生まれたのか? そして、汲めども尽きない創作意欲の源泉とは? 尾崎雄貴(ボーカル/ギター)、岩井郁人(ギター)、尾崎和樹(ドラムス)、岡崎真輝(ベース)の4人が揃ったタイミングで話を聞くことができた。

Galileo Galilei 『MANSTER』 Ouchi Daisuki Club/Suzume Studios/VMG(2024)

Galileo Galilei 『MANTRAL』 Ouchi Daisuki Club/Suzume Studios/VMG(2024)

 

友だちと過ごしていたらアルバムが2枚できちゃった

――『MANSTER』『MANTRAL』はいつ頃から、どんなふうに制作されたのでしょうか?

尾崎雄貴「1年前にツアーのMCで〈最強のアルバムを作りたい〉と話したんですけど、その直後に〈最強のアルバムを2つ作ろう〉と思いついたんです。BBHFでは対になるEPを2枚出したり(2019年作『Mirror Mirror』『Family』)、2枚組の『BBHF1 -南下する青年-』(2020年)を作ったりしましたが、今回はそれぞれが独立したアルバムなんですよ。聴いた人から〈こっちは好きだけど、こっちは好きじゃない〉という意見が出てもいいくらい。思いついた時点では制作が大変になると思っていなくて、終盤は本当に大変だったんですけど」

――(笑)。

雄貴「〈MANSTER〉〈MANTRAL〉という2つのテーマを掲げつつも、それらを考えすぎないようにしていました。普段どおりスタジオに集まって曲を作る日もあれば、ほかのことをやる日もあって。曲ができないからみんなで野球の試合を見に行ったりとか。友だちと過ごしていたらアルバムが2枚できちゃった、というのがぴったりな表現かな」

――〈最強のアルバムを作ろう、しかも2枚も作っちゃおう〉というアイデアを聞いた時、みなさんはどう思いました?

岩井郁人「俺たちなら絶対できるな!って、それに尽きますね。『Bee and The Whales』はファンとの再会であり、メンバーとの再会であり、真輝くんという新しい遺伝子が加わった新生Galileo Galileiの1stアルバムでした。前作で実感したのは、自分たちの体力が無尽蔵だということ。ツアー後も不完全燃焼なパワーが有り余っていて、それを使えば無限に生み出せると思ったので、どこまで行けるか試してみたくて。

そのパワーの源はメンバーの関係性なんですよね。それぞれ世の中の色んなものに興味があって、互いの人間性にも興味があり、それらがエネルギーになってぐるぐる回り続ける永久機関的な面白さがあるんです。そのことが2枚のアルバムに落とし込まれたのはすごく自然でした。〈少し止まらないと〉って思うくらい回り続けるコマみたいなんです」

岡崎真輝「『Bee and The Whales』は僕にとって人生初のアルバム制作で、その過程でミュージックビデオも自分たちで作るとか、クリエイティブなことを深いところまで追求するメンバーの姿を目の当たりにしました。なので今回の方向性が決まった時、不安はまったくなく一つの目標に向かって突き進んでいくだけでしたね」

尾崎和樹「〈できる〉って思えること自体が特別なことなんだろうなって。そう思えているうちは、もし〈次はアルバムを3枚作ろう〉となっても全然作れるんじゃないかな」

雄貴「3枚じゃキリが悪いから4枚にすると思う」

岩井「偶数のほうがいいよね」

――次作は2枚組が2作同時リリースかもしれませんね(笑)。

 

作りたいから作るという意志を貫いてきた

――これほどアルバムに全力投球のバンドって、今なかなかいないと思います。アルバムというフォーマットに対してどんな考えを持っていますか?

雄貴「僕らが音楽に出会った時、あるアーティストをいいなと思った時、音楽を聴く入り口がアルバムだったのは大きいんじゃないかな。今も僕はアルバムで音楽を聴くのが自然ですし。それこそ少年時代にレディオヘッドの『OK Computer』と『Kid A』のCDをゲオで借りてきて、友だちどうしで話したわけですよ。〈どっちが好きだった?〉〈『Kid A』はわかんなかったなー〉〈『OK Computer』にはかっこいい曲あるよね〉なんて。アルバムってそういうものじゃない?と思うんですよね。

好きなアーティストが1曲しか出してくれなかった時、がっかりしちゃうんです。〈1曲しか出さないなんて面白くないよ〉と音楽ファンとして思います。そこは忘れないでほしいな。アーティストが作ったワールドの中に呼び込んでよって思うんです。その世界に浸りたいし、浸ったうえでライブを見たいんですよね」

――本当にそうですよね。

雄貴「それは、僕らミュージシャンが啓蒙していくことだとも思います。曲を書いて送り出す僕らの意志でアルバムを作り続けて自信たっぷりに打ち出していかないと、リスナーがアルバムを聴く文化もどんどん消えていってしまう。〈えっ、アルバムを2枚も出すの?〉と聞かれたら、僕はそういう話をしますね。

ただ自分たちが〈よし、アルバムを作るぞ!〉と考えて制作しているかというと、そうでもない。作らなきゃいけないから作っているんじゃなくて、作りたいから作るという意志を貫いて守り通してきたのがGalileo Galileiなんです。周りのミュージシャンがぶつかっている壁は、アーティスト自身がゴーサインを出せないということなんですよね。決定権を他人に委ねちゃっている状態がよくないと思っていて。僕らはメジャーを離れて、自分たちでゴーサインが出せるようになったからこそ思うんですけど」

――この2作自体がメッセージやアティテュードの表明になっていますよね。

 

創作や表現が生活や人生の一部になっている

――制作経緯の話に戻りますが、曲を作っていって2作に割り振ったのか、2つのテーマに沿って曲を作ったのか、どちらでしたか?

雄貴「僕らの場合、サウンドが先にできて、そこに僕が歌詞をのせるので、作曲の時点でテーマはあまり考えていなかったですね。曲やMVのアイデアを思いつくこと、何かを作って表現することはみんなの生活と人生の一部に自然となっちゃっているので、〈よし、作るぞ!〉って構えなくてもどんどんできるんです。だから、それに任せていました。

不思議なことに僕らの作品って、自分たちがその時に考えていたことや僕らの身に起こったことが自然と表れているんです。しかも、それらに自分たちであとから納得することが多くて」

――なるほど。

雄貴「なので制作の後半、曲が出揃ったタイミングで振り分けましたが、面白いことに、ある曲を『MANSTER』に入れたら別の曲が『MANTRAL』から『MANSTER』に呼び戻される、みたいなことが起こって。曲数も当初は10曲ずつと考えていたのに、片方のアルバムの11曲目ができたらもう片方も11曲にしたくなっちゃって。それで止まらなくなった結果、14曲になりました。僕らの制作って予定は立てるけど、かなり行き当たりばったりなんですよね。でも、事故レベルにはならず間に合うんです」

――それもDIYで、ご自身たちで手綱を握っているからでしょうね。

雄貴「リスナーに作品を聴いてもらう前に他人に良い悪いを評価されるのが、すごく嫌なんです。僕らと顔を合わせてもいないような人がリリースの可否を決めているなんて、ファンが知ったら嫌でしょうし。Galileo Galileiを今の形にした理由の一つはそれなんです。曲作りからリスナーの元に届けるまでの過程をドキュメンタリーで赤裸々に見せた時、ファンが嫌な思いをしない状況を作りたいんですよ」

 

人間性は他者がいないと存在しない

――2つのコンセプトについてもお伺いしたいです。まず『MANSTER』は〈人間の外づら、他者から見た時の性質がテーマ〉。そして『MANTRAL』は〈ニュートラルな時の人間性〉〈ごく自然体でなにものにもなろうとしていない自分〉がテーマだとされています。これは雄貴さんの発案ですか?

雄貴「自分発信ですが、メンバーと一緒に過ごしている中で人生の話から本当にくだらないことまで色んな話をしていて、そういうことのすべてがアイデアやテーマとして形になっていくんです。

人間の本性ってあるじゃないですか。普段は優しい人が急に逆のことをしたら、それが本性だと思われるとか。でも本性ってそういうことじゃなくない? 本性っていっぱいあるよね、という話をメンバーとしていたんですよね。たとえば、メンバーの誰かが恋人につらく当たるタイプだったとして、それを知ったからといって〈お前のこと嫌いだわ〉とはならないんじゃない?って。もちろん恋人を酷く扱うのは悪いことなんだけど、それはその人の本性の一つで、バンドで見せている面はまた別の本性だと考えられたら、みんな他人に優しくなれるんじゃない?っていう。そういう、人間がそれぞれの場所に向けた複数の本性が『MANSTER』のテーマですね」

――よくわかります。

雄貴「逆に、風呂上がりにパンツ一丁でソファーでぼーっとしているような一人の状態が『MANTRAL』。そういうタイミングに限って、〈そういえば小学校の先生がこんなことを言ってきたな~〉とか謎の記憶がピュって思い浮かんだりして。僕はそういう無の状態で思い起こす記憶が曲になりやすいんですけど、それを『MANTRAL』で描いてみたかったんです。

〈表裏一体〉と言うと表と裏だけで網羅したように聞こえるけど、そうじゃなくて、たくさんある人間性のうちの2つを切り取って作品にしてみようと思いました。描き足りないことはたくさんあるんですけど、ちょうどメンバーの人生のテーマになってきていることで、今の僕らが高い解像度で描けるのはこの2つかなと」

――このテーマをみなさんはどう受け止めていますか?

岩井「僕ら4人、似ているけど当然ちがうんですよね。共通している部分はあるけど、それぞれが別の場所で別の顔を持っていると思います。

それと人間性って、他者がいないと存在しないものじゃないですか。誰かの行動や発言への反応や反射で出てくるものが人間性だと思います。音楽を作る側と聴く側の関係に似ているかもしれないけど、結局、他者がいないと自分を定義できない。なので今回描いた2つの面以外の人間性が、ほかに無数に存在すると思います。

それと、このメンバーでずっと一緒にいるのに新しい面が見えてくることがパワーやエネルギーに繋がっていると思いますね。だから新しいものを作った実感はあるけど、この2作はすごくGalileo Galilei的だとも思います」

岡崎「打ち上げとかで話題になるのが、プライベートの自分とGalileo Galileiでの自分がいるってことだったんですよね。4人がリスペクトしあう状況が続いている環境で自分も人間として成長できている感覚があるので、その関係値が前作より濃く出ているのがこの2枚だと思います」

和樹「これだけ深くメンバーと関わっていると、全員の色んな面を見る機会が増えてくるんですよね」

岩井「酸いも甘いもね」

和樹「うん。いいところも、もちろん悪いところも。深く知っているメンバーだからこそ今回のテーマは身近に感じられたと思います」

 

〈どう彫るか〉ではなく〈どの素材を彫るか〉

――無用な比較かもしれませんが、『南下する青年』は突き詰めて作られたアルバムだと思います。でも、この2作はコンセプチュアルでありながらも、いい意味で自由さやラフさ、リラックスした感覚があるんです。

雄貴「作ろうとして作ったのが『南下する青年』なんです。でも今回は最初に素材があって、でっかい石の塊を前にして〈なんか見えるね〉〈うん、見える見える!〉〈タイトルは『MANSTER』と『MANTRAL』かな〉〈10曲ずつぐらいかな〉なんて言いながら、ぼんやり彫りはじめた感じでした。ゼロからイチにして作ったのが『南下する青年』で、今回は100あったものを削っていって20と20に分けた、みたいな感じがしますね」

――ルネサンス期の彫刻家みたいな考え方ですね。ミケランジェロが〈石の中にすでにある形を取り出すだけ〉と考えていた、というような。

雄貴「仏像を彫る方も〈木の中に仏が見える〉と言いますよね。今回は〈どんな形に彫るか〉じゃなくて、最初の素材選び、つまり〈何に対してミノを突き立てるか〉が重要で、その点で意識が統一できたのが大きかったんじゃないかな。何もない土台に粘土を足していく作品があれば素材を彫っていく作品もあって、今回は後者の作業でしたね」

 

個人のエゴより火花の綺麗さを捉えるのに必死だった

――ぴあのインタビューでは「Galileo Galileiっていう人格として生きている」とおっしゃっていましたが、反対に個々の考えやプレイヤーとしての個性が発揮された曲を挙げることは可能ですか?

岩井「う~ん……」

雄貴「インタビューって〈みなさん、どうですか?〉〈それぞれプレイヤーとして、どういう意識で……〉と聞くじゃないですか。それでベーシストが〈このベースが……〉と語ったり。正直、そういうことじゃないんですよね。Galileo Galileiは僕が考えたことをみんなで実現する場じゃないし、みんなGalileo Galileiとしてただ音楽をやっているだけなので」

岩井「このバンドは特にそれが顕著ですね」

雄貴「みんなが同じ方向を見ているとか統率されているとかじゃなくて、むしろその逆なんだけど……」

――バラバラだけど一丸としているというか。

雄貴「そう。歌詞についても話そうと思えばあえて深掘りした感じで話せますけど、みんなで素材を楽しくバキバキ彫っている中で生まれた歌詞です、というのが一番言えることかな」

岡崎「一曲一曲に対してのアプローチというよりアルバム全体でGalileo Galileiとして演奏しようと考えて突き進んでいたので、〈この曲のこのサウンドが〉というのがないんですよね。もっとでかいスケールで考えていました」

岩井「まだアルバムが肉体性を帯びていないのかも。ライブをすると自分たちの生の演奏がお客さんたちにどう聞こえるかを自覚してくると思うんですけど、レコーディングでは〈いいドラムを叩いてやったぜ!〉〈いいギターを弾いてやったぜ!〉みたいなのがなくて。たとえば、“ヴァルハラ”のサビのギターは真輝くんが弾いたのがよかったからそれを採用していたり。個人のエゴを出したい欲より瞬発的に起こった火花の綺麗さを捉えることに必死で、それを重視していたのが大きいんですよね」

――コミュニケーションやキャッチボールの中からすべてが生まれているんですね。

雄貴「まさにそうですね。制作中、実際にキャッチボールをずっとしていたんです。キャッチボールって、いい球を投げても〈ナイスボール!〉で終わりじゃないですか。制作もその感じでした。岡崎くんが“ヴァルハラ”のギターを弾いて〈ナイスギター!〉って言って、はい、レコーディングおしまいっていう。プレイヤーとして余計なプライドを燃やさないで作れたと思います」

 

少年性を守り続ける4人

――“カラスの歌”は尾崎兄弟のパーソナルな記憶がもとになっているにもかかわらず、全員が深く理解してレコーディングできたとコメントされていました。2作を通して子どもの視点や目線が特徴だと感じましたが、そのあたりも共有していたのでしょうか?

雄貴「子どもたちと一緒に遊んでいたんですよね。僕が野球好きになった理由の一つは、息子が野球にハマったことなんです。近くの公園に小学4、5年生の子が集まって野球をやっていて、メンバーで遊びに行くと人数が揃うから草野球をやったりして。その経験が“カラスの歌”になったんです。

大事なのは、一緒に過ごす中で、互いに興味がある状態で悲しい思いも含めて共有するというか、すべてを一緒に見ること。それが今のメンバーの強い繋がりになっているんじゃないかな。たとえば“SPIN!”は、野球とかスポーツへの思いと、娘のすずめちゃんが心臓の病気とトリソミーという障害を抱えて生まれてきたことを反映しています。すずめちゃんが生まれたばかりの頃の大変なことや体調を崩して救急車を呼んで入院したこと、全部を一緒に見て共有してしてしまっているのが言語化できないメンバーの繋がりになってるんじゃないかなって。

だから尾崎兄弟の昔話が、このメンバーなら曲に落とし込める。Galileo Galileiという共同体として音楽をやっている、Galileo Galileiとして生きている感覚が強い状態は変わらず続いていて、しかも特に今、顕著だと思います」

――“UFO”も尾崎兄弟のパーソナルな経験がベースにあるそうですね。みなさんはそういう個々の経験やエピソードをどう受け止めていますか?

岡崎「制作の合間や制作が終わったあと、自分たちが小学生だった1990年代に流行ったアニメや漫画、ゲームの話を共有して〈懐かしいね〉と語り合う時間が多かったんです。そうやって音楽以外のことを共有できた自然な時間が重要でしたね」

雄貴「制作の後半がめちゃくちゃ忙しくて〈制作終わった会〉ができていなかったので、この間、ピザやお酒を買ってきてここ(わんわんスタジオ)でアルバムを流しながら宅飲みしたんです。けど、まったくアルバムの話にならなくて。最終的に『うちゅう人 田中太郎』とか『コロコロコミック』の漫画の話をずっとしていました。〈なんでこんな漫画が僕らの心にめっちゃ響いたんだろう?〉〈うんちってなんであんなに魅力的だったんだろう?〉〈だって、うんちだぜ?〉という話で終わった(笑)」

岩井「アルバムの打ち上げなのにね(笑)」

雄貴「アルバム2枚流してたのに、聴き終わったことに誰も気づいていなくて(笑)」

岩井「ただ、意識的に互いの原風景を共有しようとしたことは一回もなくて。みんな、なぜか少年性を守り続けているんです。たぶんそれは、今のGalileo Galileiのスタンスに繋がっているんじゃないかな。プラットフォームの状況やレコード会社の思惑みたいな外的要因じゃなくて、自発的で内的なエネルギーだけで動いているという」

雄貴「たとえば、息子と瓜二つの人造人間が開発されたとして、彼を息子と同じように愛せるか?みたいな話を始めたらもう夜中コースですね(笑)。でも不思議とそこから曲が生まれたりするので、無駄なことが一つもない。普通に考えたら無駄なことをこのメンバーで一緒に体験すると、結果、無駄にならないんです。他人が見たら関係ないことばかりしていると思われるでしょうけど、全部が大事なんですよね。

だから今回のアルバムはリリースしてライブでリスナーに伝えて、みんながどう思うかを汲みとったあと、どういうアルバムだったのかがわかりそう。今の段階では〈なんかめっちゃいいとは思うんですけど、まだわかんないっす!〉って感じなんです」

 

僕らは本気で遊ぶ

――4人が楽しんでいる制作のスタイルや生き方について聞いていると、思い詰めすぎる人や仕事を突き詰めてやりすぎて苦しんでいる人へのメッセージになりそうですね。

岩井「僕らは中途半端に遊ばないんですよね。一筋縄ではいかないので、のめり込んじゃうんです。イコライザーやコンプレッサーやギターを触るにしても、なんとなくじゃなく本気で遊ぶので緩くないんですよ。音楽以外も同じで、たとえば岡崎くんはけん玉の段持ちですし。野球にハマったからといって、キャッチボールや草野球はしても、雄貴みたいに変化球を投げようとする人は少ないですよね(笑)」

雄貴「自分、変化球は自信あります。岡崎くんとめっちゃ練習した結果、急速はめちゃくちゃスローなんだけど、かなり曲がるカーブが投げられるようになりました(笑)。

むしろ、そういうことのほうが大事かも。音楽業界やリリースのフォーマットについて話すくらいだったら、『コロコロコミック』の話をしたり変化球の練習をしたりするほうが次に進むきっかけになるんです。“SPIN!”を作った時、〈この曲でファイターズガールが踊ってくれてたらいいね〉って言っていたら、実際にエスコンフィールド(HOKKAIDO)でライブができて、ファイターズガールが踊ってくれたんです。そうやって実現した、叶ったきっかけは音楽と関係なくて。

その体験がまた自分たちの音楽のパワーになるので、生きていくことって大事だなと思います。音楽以前に、まず生きることがテーマだなって。僕らが日々、ただ幸せに生きようともがいているだけの人間なんだということが、ファンのみんなに音楽で伝わったらいいですね」

――なるほど。

雄貴「もちろん、めちゃくちゃ大変な期間もあるんです。僕、好きな映像があって。『千と千尋の神隠し』の制作を追ったドキュメンタリーで、自分の制作が大変すぎて疲れると必ず見ちゃうんです。あの過酷さや確実に間に合わない感じ、それでも〈やるしかない〉と描いているアニメーターの様子、〈面倒くさい〉〈もうダメだ〉ってぼやきながらこだわりを捨てられない宮崎駿監督の姿が好きなんですよね。あれを見ると、風呂に入る時間すらないような状態で夜中まで作業していることも楽しく思えて。疲れている人におすすめです(笑)」

岩井「他人に動かされているわけじゃないのはでかいよね。本心でやりたいからやれているっていう」

雄貴「働いているアニメーターはそう思ってないかもしれないけど(笑)」

岩井「でも、やらされている人が一人もいない。全員、自発的に内的な要因で動いている」

雄貴「じゃあ、Galileo Galileiは全員宮崎駿?」

――Galileo Galileiのアルバム制作に密着したドキュメンタリーも見てみたいですね。

雄貴「たぶん、ずっと関係ないことをしていると思います(笑)」

 

尾崎雄貴の〈引用筋〉

――歌詞についてはいかがでしょう? この2作では雄貴さんの死生観というか、死が背中合わせにある生のきらめきや生をどう見つめるか、というようなテーマが特に表れていると思いました。

岩井「歌詞についてはまったくわからないですね」

雄貴「ははは(笑)」

岩井「聖域すぎて。和樹がよく雄貴の歌詞の考察をしているんです。解散したあと、夜中に〈こうだと思う〉という長文を書いてLINEで送ってくるんですけど、雄貴はそれに反応しない(笑)。謎のままなんです」

雄貴「和樹は考察したがりだからね。また言ってるな~って。でも、大体合ってないよ(笑)」

――和樹さんが考察したことを一つ教えてもらえませんか?

和樹「新作の歌詞は比較的伝わりやすいんじゃないかなと思います」

全員「(笑)」

和樹「聴いたまま読み取って感じたことがそのまま答えなんじゃないかなって」

雄貴「考察しがいがない!」

――深掘りはせず、そのまま受け取ればいいと。

和樹「1年後ぐらいに〈あれ、この歌詞ってもしかしたら?〉みたいな新しい発見があるかもしれませんが、現状はそうですね」

全員「(笑)」

岩井「同じソングライターとして雄貴がどう歌詞を書いているのか知りたいのに教えてくれないんです。雄貴は〈連想ゲームだよ〉ってよく言うけど、それでこの歌詞が書けるはずないよなって。連想力が半端ないんだよね。歌詞だけじゃなくて作曲やアレンジも引用力がすごいから、〈引用筋〉が発達してるんじゃないかな」

雄貴「〈引用筋〉って何(笑)?」

岩井「〈これってこのパズルのピースじゃない?〉って散らばったバラバラの欠片をくっつけるのが上手というか」

雄貴「僕は後悔ってあんまりしたことなくて。後悔しないようにするのは自分自身だと思っているから、間違いだったとしても間違いと認めない。33年生きてきた中で色んなものを見て感じたはずだから、それらに意味がないと悲しいじゃん。だから結局、過去の経験から引っ張ってきて表現するしかなくて、それを自分でよしとさせるしかない。〈僕にとってはこうなんだ〉というのがまかり通るように周りを作り変えていくしかないんです。なので〈アルバムを2枚も出したことはミスだったね〉となるかならないかは、僕ら自身の今後の動きや聴いてくれたファンとの関係にかかっていると思いますね」

 

“KING M”の謎はツアーで明らかになる?

――最後にお聞きしたいのですが、『MANSTER』のラストの曲“KING M”は歌詞が載っていなくて謎に包まれています。これはリスナーに解釈を委ねる曲でしょうか?

雄貴「あの曲は〈Tour M〉に来てもらったらちゃんと理解してもらえるか、理解してもらえないかのどちらかですね」

――(笑)。

岩井「ツアーに来てもらえば、たぶんわかります」

雄貴「わかるはず!」

――アーティスト写真の背景にあった肖像画と関係がありますか?

雄貴「あります」

岩井「CDを買ってもらえばわかります」

雄貴「CDにも歌詞は載っていないけどね」

――それを含めて聴き込みがいがある2作ですね。本日はありがとうございました。次は2枚組が2作同時リリースされることに期待しています(笑)。

雄貴「マジでやるかもしれないですよ(笑)!」

 


RELEASE INFORMATION
リリース日:2024年9月25日(水)
2タイトル同時デジタル & CDリリース

 

Galileo Galilei 『MANSTER』 Ouchi Daisuki Club/Suzume Studios/VMG(2024)

■CD
品番:POCS-23049
価格:3,300円(税込)

配信リンク:https://virginmusic.lnk.to/MANSTER

TRACKLIST
1. CHILD LOCK
2. SPIN!
3. MATTO LIFE
4. カメカメレオン
5. ナンバー
6. ブギーマン
7. ファンタジスト
8. MANSTER
9. ロリポップ
10. マイガール
11. PBJ
12. BABY I LOVE YOU
13. ヴァルハラ
14. KING M

 

Galileo Galilei 『MANTRAL』 Ouchi Daisuki Club/Suzume Studios/VMG(2024)

■CD
品番:POCS-23050
​価格:3,300円(税込)

配信リンク:https://virginmusic.lnk.to/MANTRAL

TRACKLIST
1. リトライ
2. 若者たちよ
3. 季節の魔物
4. オフィーリア
5. カラスの歌
6. カルテ
7. ブルペン
8. チャウダー
9. MANTRAL
10. 5
11. UFO
12. タタラ
13. きにしないでね
14. やさしいせかい.com

 

LIVE INFORMATION
Galileo Galilei Tour 2024
Tour M

2024年9月27日(金)北海道・札幌 Zepp Sapporo
開場/開演:18:00/19:00

2024年10月12日(土)福岡 Zepp Fukuoka
開場/開演:17:00/18:00​

2024年10月13日(日)広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO
開場/開演:17:00/18:00

​2024年10月19日(土)仙台 PIT
開場/開演:17:00/18:00

​2024年10月22日(火)愛知・名古屋 Zepp Nagoya
開場/開演:18:00/19:00

​2024年10月23日(水)大阪・難波 Zepp Namba (OSAKA)
開場/開演:18:00/19:00

​2024年10月25日(金)東京・羽田 Zepp Haneda (TOKYO)
開場/開演:18:00/19:00

■座席
1階スタンディング・前売り:5,500円(ドリンク代別)
2階指定席・前売り:6,600円(ドリンク代別)
東京のみ2階立ち見・前売り:5,500円(ドリンク代別)
※広島、仙台は2階席なし
※東京、福岡は2階指定席はSOLD OUT

■チケット
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/galileogalilei-hk/
ローソンチケット:https://l-tike.com/galileogalilei
イープラス:https://eplus.jp/galileogalilei/

各公演の詳細はスケジュールよりご確認ください
https://www.galileogalilei.jp/live_information/schedule/list

 


PROFILE: Galileo Galilei

尾崎雄貴(ボーカル/ギター)、尾崎和樹(ドラムス)の尾崎兄弟を中心に2007年に結成された北海道稚内市出身のロックバンド。2008年の〈閃光ライオット〉でグランプリを獲得して脚光を浴び、2010年にミニアルバム『ハマナスの花』でメジャーデビュー。一時活動拠点を東京へ移すも、2011年より札幌に〈わんわんスタジオ〉を創設し、楽曲制作を開始。リリース毎に幅広い音楽性で支持を獲得し、2014年に渋谷公会堂で初ホールワンマンライブを成功させるなどライブバンドとしても注目される存在に。シングル10作、アルバム4作を発表。2016年10月の日本武道館公演にて活動に終止符を打つが、2022年についに再始動を発表した。2012年にバンドを脱退した岩井郁人(ギター)を再度迎え、新たにベーシストの岡崎真輝を迎えた新体制で臨む。2023年5月31日に7年ぶりとなるオリジナルフルアルバム『Bee and The Whales』をリリースし、札幌公演を皮切りに全国5都市、全6公演の全国Zeppツアー〈“Bee and The Whales” Tour 2023〉を開催した。11月に札幌、大阪、東京をまわる〈Galileo Galilei Tour 2023 “WINTER HARVEST” - 冬の収穫祭〉を開催。2024年3月には自主企画イベント〈Tsunagari Daisuki Club〉を開催。そして9月25日にアルバム『MANSTER』『MANTRAL』の2枚同時リリースと、2作品の頭文字〈M〉から名付けられた全国6カ所を廻るツアー〈Tour M〉の開催を控えている。
オフィシャルサイト:https://www.galileogalilei.jp/
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