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クロスオーヴァー・シーンの今後

 他にもブルーノートのコンピに提供したモアシル・サントスのカヴァー“Off And On”(2007年)や、ロドニー・フランクリンのカヴァー“Endless Flight”(2004年)など各時代の楽曲が並び、KJMがプロデュース/リミックスしたジャザノヴァやOrquesta De La Luz、Arvin Homa Ayaの楽曲も収録。なかでも印象的な楽曲というと?

修也「1曲挙げるとすると“Karmapa Chenno”ですかね。ヴォーカルのベンベがドン・チェリーの原曲にはない歌メロと歌詞を付けていて、ある意味オリジナル作品になっています」

好洋「僕としては大阪のNOONでのライヴ音源である2曲が印象深いです。2010年に行ったライヴの録音ですが、長年自分のDJでも使っていた曲で、いま聴いてもそのライヴの情景が目に浮かびます」

修也「あと、グロスター・ウィリアムズの“No Cross No Crown”は、当時すでにブギーの再評価が始まっていて、原曲のスラップ・ベースを残すか残さないかで、沖野兄弟と共同プロデューサーの池田憲一(ROOT SOUL)の間ですったもんだがあったと記憶しています。結局、スウェーデンのオポロポをアレンジャーに起用してエレクトリックなブギー・ファンクに落ち着いたわけですが、過去の曲を現代的にアレンジするという意味において、KJMではいちばん頭を悩ませた曲ですね」

 そのようにKJMとして、DJとして活動する一方、修也は東京でクラブ・The Roomを、好洋は大阪でレーベル/レコードショップのEspecial Recordsをそれぞれ長きにわたって運営している。この間のシーンの変化は二人の目にどう映っているのだろうか。

修也「海外ではレジェンド世代〜我々の世代〜若い世代と3世代に渡るジャズ~クロスオーヴァー・ミュージックのシーンが最近また活況を呈していて驚いています。2024年はロンドンで半年の間にバンドでKJMのライヴを3公演行っていますからね。ヨーロッパではパンデミック後の聴衆の音楽に対する渇望が物凄いエネルギーになっているんですよ。The Roomも幸いにして、インバウンドで海外の方に多くいらしていただいています。アシッド・ジャズや90年代のヒップホップ、R&B、歌モノのハウスを聴いて育った世代の子どもに当たる世代が20代になり、DJやオーディエンスになっているのは希望です。こうした世代を超えた協調が今後のクロスオーヴァー・シーンの鍵だと思いますね」

好洋「一時期〈アナログ・ブーム再燃〉みたいな話もありましたし、デジタルで音源を入手しやすくなっているとは思いますが、ミュージシャンやアーティストたちの利益に繋げるには多くの課題もあります。ただ、海外でも国内でもトップDJたちがアナログ回帰している傾向もあるので、我々はどのような状況でもリリースを続けていくことが大事だなと考えています」

 リリースといえば、KJMとしての3作目の制作状況はどうなっているのだろう。

修也「現在は歌メロ、ベースライン、ホーンのリフなどが800曲以上あって、そのなかからデモの作成を始めています。本当は今年中に完成させる予定だったんですが、2025年には完成するでしょう。レジェンドのジェイムズ・メイソン氏とコラボする予定もありますし、日本やフランスのジャズ・ジャイアンツにオファーすることも考えています。あとはヨーロッパだけでなく、アメリカやアジアでもライヴをできるといいですね。我々もいつかレジェンド枠に入れるように、シンプルにいい曲を作り続け、いいライヴを重ねていきたいと思います」

原曲を含む作品を一部紹介。
左から、ハリー・ウィテカーの77年作『Black Renaissance』(BAYSTATE)、ロドニー・フランクリンの81年作『Endless Flight』(RCA)、ドン・チェリーの77年作『Here & Now』(Atlantic)

左から、ヴァネッサ・フリーマンが参加したリール・ピープルの2023年作『Love2』(Reel People)、ベンベ・セグエが参加したガリアーノの2024年作『Halfway Somewhere』(Brownswood)

 


LIVE INFORMATION
KJM30 LIVE〜KYOTO JAZZ MASSIVE 30th Anniversary &『KJM COVERS』Release Party ft. Vanessa Freeman

2025年1月16日(木)東京・COTTON CLUB[Full Band Live]
2025年1月17日(金)愛知・24PILLARS[PA LIVE]
2025年1月18日(土)大阪・BAR Inc[PA LIVE]