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愛憎まみれ、離別と再会を繰り返しながらロックを進化させてきたピンク・フロイドの60年史

 65年、ロジャー・ウォーターズ(ベース)、ニック・メイスン(ドラムス)、リチャード・ライト(キーボード)が在籍していた前身バンドに、シド・バレット(ギター)が加わって誕生したピンク・フロイド。イヴェント〈UFOクラブ〉を根城にロンドンの地下シーンで人気を博し、67年にファースト・アルバム『The Piper At The Gates Of Dawn』を発表した。サイケデリック・ムーヴメントの旗手として注目を集めるも、バレットが精神状態を悪化させ、代わりにデヴィッド・ギルモア(ギター)が加入。以降は、初の全英No.1を記録した『Atom Heart Mother』(70年)、736週にわたって全米ビルボードのTOP200入りを続けた『The Dark Side Of The Moon』(73年)などを代表作に、音響面での実験や精神世界の探求を深化させ、〈プログレ〉の象徴となった。71年には〈箱根アフロディーテ〉で初来日を果たしている。

 75年の『Wish You Were Here』、77年の『Animals』以降はウォーターズの独裁体制が強まり、私的なトラウマを重厚に描いた『The Wall』(79年)を経て、実質ソロ・アルバムとなった『The Final Cut』(83年)を機に彼はバンドを脱退。ウォーターズは裁判所にバンド名使用の差し止め請求を出すが、逆に反発したギルモアらは『A Momentary Lapse Of Reason』を87年にリリース。93年には『The Wall』制作時に解雇されていたライトが正式に復帰し、同年に発表された『The Division Bell』でのツアーを最後に、バンドは活動停止した。

 2005年の〈ライブ8〉で4人が再集合するという奇跡もありつつ、2008年にはライトが死去。ウォーターズは不参加ながらも2014年に〈ラスト・アルバム〉として『The Endless River』がリリースされた。これにて完全終了かと思われたが、2022年にロシアのウクライナ侵攻を受け、ウクライナ支援のためのシングル“Hey, Hey, Rise Up!”を発表。近年のソロ活動としては、2023年にウォーターズは73年作を新アレンジで再録した『The Dark Side Of The Moon Redux』を、2024年にギルモアは9年ぶりのアルバム『Luck And Strange』をリリースした。メイスンはフロイド初期曲を演奏するバンド、ニック・メイソンズ・ソーサーフル・オブ・シークレッツとして活動している。最近でもギルモアはウォーターズとの共演を〈絶対にない〉と語っており、両者の揃ったフロイド再始動の可能性は皆無に思える。夜明けが訪れることはあるのだろうか。 *田中亮太

ピンク・フロイドやメンバーの作品。
左から、67年作『The Piper At The Gates Of Dawn』(Columbia)、70年作『Atom Heart Mother』、73年作『The Dark Side Of The Moon』、75年作『Wish You Were Here』、79年作『The Wall』(すべてHarvest)、87年作『A Momentary Lapse Of Reason』、94年作『The Division Bell』(共にEMI)、2014年作『The Endless River』(Parlophone)、2022年のシングル“Hey, Hey, Rise Up”(Pink Floyd)、ロジャー・ウォーターズの2023年作『The Dark Side Of The Moon Redux』(Cooking Vinyl)、デヴィッド・ギルモアの2024年作『Luck And Strange』(Legacy)

 


INFORMATION
「ピンク・フロイド・アット・ポンペイ」大好評につき追加上映が決定

上映日程・上映劇場ほか詳細は公式HPをご確認ください。
https://www.culture-ville.jp/pinkfloyd